お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

お墓参り・お墓掃除で、お墓に水をかけるのはOK?NG?〜水をかける際の作法や習わしも解説します〜

墓地・墓石コラム

お墓参りというと、バケツと柄杓(ひしゃく)のセットを想像する方も多いかと思います。水はお墓参りに欠かせないものとされることが多いですが、お墓に水をかけることについては、「ご先祖様や故人の飲み水になる」などとしてかける方がいる一方で、「失礼に当たるからしない方がいい」といった理由でかけない方もいます。お墓に水をかけることは、果たして良いことなのでしょうか?それとも控えた方が良いのでしょうか?

今回は、お墓参りで水をお供えする意味にも触れながら、お墓に水をかけてもいいのかどうかについて解説していきます。

お墓に水をお供えする意味

まずは、「お墓」と「水」との関係についてみて行きましょう。

仏教では、「五供(ごく)」と呼ばれる基本的なお供え物(香・花・灯燭・浄水・飮食)があり、水(浄水)は、仏様やご先祖様の喉が渇かないように、そして、清らかさを象徴するという意味合いから重要視されてきました。

また、神道においても、神様やご先祖様へのお供え物である「神饌(しんせん)」の基本は米・酒・塩・水とされ、水は感謝や清浄を示す大事なお供物とされています。

このように、水は、神仏やご先祖様へのお供えとして重要なものとなっており、お墓参りのお供えにも欠かせないものとなっています。

また、お供えの他にも、お寺や神社での参拝の際に手水舎で手や口を清める作法があるなど、日本では昔から、水を用いてその場所や心身を清める文化が受け継がれてきました。

お墓(墓石)に水をかけてもいいの?

お供えやお清めの意味を込めて、お墓参りの際に用いられる水ですが、お墓に水をかけるという行為については、どのように考えれば良いのでしょうか?

結論は、水をかけても、かけなくても、どちらでも構いません。

お墓に水をかけるか否かについて厳密な決まりはなく、下に紹介するように両者ともに様々な理由がありますが、どれもご先祖様や故人、そしてその魂が宿るお墓を大切にしたいという想いから来ているものです。それぞれの考えを尊重しながら、ご自身やご家族が思う方法でお参りすると良いでしょう。

お墓に水をかける理由、かけない理由をそれぞれ紹介します。

お墓に水をかける理由

・ご先祖様に水を飲んでもらうため

・ご先祖様に感謝を伝えるため

・お墓を清めるため

・お墓参りに来たことをお知らせするため

・お墓の周りに集まるとされる、喉の渇きに苦しむ「餓鬼(がき)」への施しのため

このように、お墓に水をかける行為には、ご先祖様や故人、さらには供養されない魂への供養の想いが込められています。また、場を清める意味でも行われており、お墓が清められることで、ご先祖様にもそのことが伝わるとも考えられています。

お墓に水をかけない理由

・ご先祖様の頭から水をかけるようで、失礼にあたるから

・水が染み込んで墓石が劣化することを避けるため

・水をお供えする必要がないから(浄土真宗やキリスト教など)

故人やご先祖様の魂が宿るお墓は、ご先祖様の身体に見立てることもでき、その頭から水をかけるのは失礼だと考える方もおられます。その他、水をかけることでのお墓の劣化を心配される方もいらっしゃいます。これらも、故人やご先祖様、そして、その魂が宿るとされるお墓を大切にしようという想いの表れと言えるでしょう。

また、浄土真宗では、亡くなった人はすぐに極楽浄土へ行けるため供養の必要がないと考えられていることから、供養するための水のお供えはせず、ご先祖様に飲んでもらうためにお墓に水をかけるということもしないのが一般的です。キリスト教についても、水をお供えする考え方はありません。

墓石が割れることはないの?

水をかけることでのお墓の影響については、夏の酷暑で表面が熱くなった墓石に急に冷たい水をかけたり、冬の寒さで墓石に吸収された水が凍結することで、墓石が割れたり欠けたりする恐れがあると言われることもあります。

しかし、自然の中では、猛暑の日に急に夕立が降って雨水で濡れることなどはよくあることですし、お墓を掃除する時にも水を使うのが一般的ですので、お墓参りの際に水をかけることで大きく破損するというのは考えにくいと言えます。

また、墓石の隙間や内部に水が残ったまま凍結することで墓石が劣化することは確かにありますが、冬に雨や露、雪解け水にさらされることも自然にあることですので、基本的には経年劣化の範囲と言えるでしょう。

ただ、すでに、ひび割れや欠け、目地の劣化がある場合には、そこから破損や劣化が大きくなることが考えられます。墓石を長く大切にするためには、普段から点検をし、何かあれば早めに補修を進めることが大切です。

お墓のダメージを早期発見、早期対応できるよう、点検のためのチェックリストもご用意しております。チェックシートをダウンロードすることもできますので、ぜひご活用ください。

お墓参りの時に確認!お墓の点検チェックリスト

お墓掃除の時はどうするの?

墓石は、水で濡らした方が汚れを綺麗に落とすことができますし、乾いたまま拭いたり擦ったりすると、ゴミなどで表面に傷がつく恐れもあるため、石材店でも、水洗い(水で濡らして掃除すること)をおすすめしています。

このときも、柄杓などで水をかけてから、濡らしたスポンジや柔らかい布を使って掃除すると良いですが、水をかけることに抵抗があるという場合には、スポンジや布に水を十分含ませてから拭いていくようにすると良いでしょう。

汚れが取れた後は、乾いたタオルで水分を吹き上げておくことで、水垢が残りにくく、新しい汚れもつきにくくなります。

お墓掃除の方法についてはこちらもご覧ください。

お墓のお掃除 総まとめ!— 年末はお墓も大掃除 —

お墓に水をかけたりお供えしたりする際の作法や習わし

水のかけ方

お墓参りでお墓に水をかける場合は、墓石全体に行き渡るよう、均等にかけるのが一般的です。

一番上からかけなければならないという決まりはないため、頭から水をかけるようで失礼に感じるという場合や、お墓の高さがあってとどかないといった場合には、墓石の側面から流すのも良いでしょう。 ただ、水をかけてもよいからといって、バケツの水を勢いよくかけたりペットボトルの水をそのままかけたりするのは、ご先祖様を供養する行いとしてあまり相応しいとはいえません。柄杓を使って少しずつゆっくりとかけるようにしましょう。

水のお供え方法

水をお供えする際は、お墓のお供え物などを置くあたりにある「水受け(水鉢/みずばち)」と呼ばれるくぼみ、または湯呑みなどに、水を注ぎましょう。お墓に水をかけない場合でも、この方法で十分感謝を伝え供養することができます。

ただしこれは、お供えの水となるため、掃除に使った水や汚れた水は避け、新しく汲んだ水やお供え用に持参したきれいな水を注ぐようにしましょう。

水をお供えする「水受け」についてはこちらで解説しています。

お墓のくぼみは何のためにあるの?

水をかけたりお供えする際の注意点

➖お酒やジュースをお墓にかけたり、水受けに入れたりしない

たとえ故人の好物であったとしても、水以外のものをお墓にかけたり水受けに注いだりすることは、墓石を傷める原因になるためやめましょう。もし、故人の好きだったお酒やジュースをお供えしたいという場合は、缶や瓶のままやコップに入れてお供えし、お参りの後は持ち帰るのがマナーです。

宗派による考え方や霊園・寺院の規則を確認する

お墓に水をかけるかどうかの考え方はそれぞれで、厳密な決まりはないと書きましたが、中には、お墓を守る観点から、かけ水を禁止している墓地もあります。また、お墓に水をかけることについては、真言宗では供養のために積極的に水をかけることを推奨しているなど、宗派や寺院によっても考え方が異なります。

どうすべきかわからない場合には、事前に霊園や寺院の規則を確認したり、家族や住職にお墓参りについての考え方を聞いたりしておくと安心です。

まとめ

お墓に水をかけるか否かには、さまざまな考え方がありますが、水をかけることも、かけないことも、その根底にあるのは、ご先祖様や故人、そしてその魂が宿るお墓を大切にしたい、感謝を伝えたいという温かい気持ちです。

お墓参りという文化の中で受け継がれてきた作法や習わしも、そうした想いから生まれ、今に伝えられてきました。その背景にある気持ちを大切にしながら、丁寧にお墓参りやお墓掃除を行うことで、私たちの心も清らかに整い、今まで以上に想いの届くお墓参りとなることでしょう。

今一度、お墓参りの作法やお供え物の意味への理解を深め、お墓参りをしてみてはいかがでしょうか?

お墓参りやお供えの基本の作法などについて解説している記事もございますので、合わせてお読みください。