お役立ちコラム お墓の色々

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世界の偉人のお墓 西洋の画家編 ~ゴッホ~

墓地・墓石コラム

世界の偉人のお墓 西洋の画家編 ~ゴッホ~

ドラマや映画、展示会などで見た偉人たちは、どのような生涯を送り、どこの地で永遠の眠りについているのでしょうか。彼らの伝説的エピソードは語られますが、終の棲家について知られることは少ないでしょう。

世界の偉人の1人、ゴッホことフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890年)は、強烈な色彩と大胆なタッチで見る人の心を別世界に引き込む作品を数多く残した画家です。
その証拠として、2024年を通して各地で行われた展示会「ゴッホ・アライブ」は、世界100都市以上、延べ900万人以上を動員しました。

今回は「西洋の画家編~ゴッホ~」と題して、ゴッホの知られざる生涯と最期、お墓についてお伝えします。有名人・偉人のお墓巡りを趣味にしている方々は「墓マイラー」と呼ばれ、実は秘かなブームにもなっています。

そもそもゴッホとは何者?

ポスト印象派とも言われるゴッホは、見たままの風景を描くのではなく、その時の心情や見たときに感じた感情を描き表す画家です。ゴッホの作品が見る人の心を一瞬で奪う魔法のような力を秘めているのは、37年の生涯、画家としては10年という短い人生で、多くの悲劇に見舞われた背景が投影されているからかもしれません。

宣教師の道を諦め画家となった

世界の偉人のお墓 西洋の画家編 ~ゴッホ~

ゴッホは、プロテスタントの牧師である父の影響から、キリスト教を広める仕事である宣教師を目指していましたが、自分を犠牲にして貧しい人を助けようとする極端な姿勢が周囲に受け入れられず、資格をはく奪されてしまいます。
ボロ布をまとったような貧相な身なりや奇怪な行動をしたために、宣教師の道を諦めざるを得なくなったゴッホは、こうして画家の道を歩み出すのです。

当初は、宣教師の道を諦めきれない執着心から、聖書に登場する農民や労働者を暗い色調で描いていましたが、パリでの生活が劇的な変化をもたらします。
水彩画や印象派画家との出会いのなかで、ゴッホにもっとも影響を与えたのは、日本の浮世絵でした。遠い異国の風景や人々の生活が描かれた浮世絵から、希望の光と新しい表現方法を手に入れたのです。

そしてゴッホは、南仏プロバンス地方のアルルにこそ、憧れの日本に近い景色が広がっている、芸術の未来があると信じてパリをあとにします。

幸福と悲劇と最期

南仏に移ったゴッホは、生涯でもっとも創作意欲と希望に満ちた時間を過ごし、「夜のカフェテラス」や「太陽と種をまく人」、「ひまわり」など明るい色使いの作品を多く描きました。
また、南仏に芸術家のアトリエを築くという大きな夢も抱いていました。

しかし、幸福は長く続かず、共同生活をしていた画家ポール・ゴーギャンとの価値観や意見のズレから、衝突が生じ、ついには、自分の耳を切り落とすほどの精神病を患い入院、再び夢への道が絶たれたのです。

入院中のゴッホは、理想と現実が激しく衝突するかのような、荒々しい作品を描くようになります。色彩も光の黄色と闇の青や深緑、相反する色でキャンバスを塗り尽くしたのです。
その代表作が「星月夜」です。夢を追い続けようとする「光」と精神が侵されている恐怖や失墜の「闇」が表されており、まさにゴッホの人生の葛藤が表現されています。

世界の偉人のお墓 西洋の画家編 ~ゴッホ~

ゴッホと弟テオの関係

ゴッホを語るうえで、4つ下の弟であり、5人兄弟のなかで特に親密な関係にあった弟テオとのエピソードは外せません。なぜなら、ゴッホはテオの献身的な支えがあったからこそ、数々の名作を生みだしたと言っても過言ではないからです。

テオは、ゴッホが絵を独学で描き始めた頃から仕送りを続け、何百通もの文通を交わしながら、貧しくとも夢を負い続ける兄を応援していました。

ゴッホのお墓はどこにある?

世界の偉人のお墓 西洋の画家編 ~ゴッホ~

ゴッホは、人生最後の2か月をフランスのパリ北西部にあるオーヴェール・シュル・オワーズで過ごしました。死への恐怖を払拭するかのように作品づくりに没頭し、最期は拳銃で自ら命を絶ったのです。

ゴッホが眠る場所として一躍有名になったオヴェール・シュル・オワーズは、生前ゴッホが住んでいた家や作品のモデルになった教会など、ゴッホが見ていた風景が広がっています。
また、ゴッホの死から半年後に亡くなったテオのお墓も隣にあり、彼らは、オーヴェール・シュル・オワーズの穏やかで美しい景色が広がる村で寄り添うかのように眠っています。
お墓がある裏手には広大な麦畑が広がっており、この麦畑こそ、ゴッホが自らの命を絶った場所であり、晩年の代表作「カラスのいる麦畑」のモデルになった場所です。

まとめ

今回は、ゴッホのお墓の場所と生涯にまつわるエピソードをいくつか紹介しました。
お墓参りの際、今後の抱負や約束事を墓前に誓う方は多いと思われます。お墓の厳かな雰囲気はこうした気持ちを引き締めるのにピッタリですし、約束事を破ると故人が見ているかのような感覚も覚悟を決めるのにはふさわしいものです。私たちは、神社やお寺にお参りするかのように、お墓参りをしている面もあるのです。
家のお墓の前で誓いを建てるのも良いですが、尊敬する偉人・生きざまに憧れる偉人のお墓に誓いを建てるのも、より一層気が引き締まって良いでしょう。
もしパリ旅行に行く際は、彼が晩年を過ごし、最愛の弟と穏やかに眠っているオヴェール・シュル・オワーズを訪れてみてください。

同コラムでは、世界最古の長編小説『源氏物語』の作者で知られる紫式部のお墓も紹介していますので、ぜひご覧ください。

『光る君へ』地獄に落ちたって本当?「源氏物語」の作者・紫式部のお墓

フィンセント・ファン・ゴッホのお墓へのアクセス

  • 住所:Av. du Cimetie’re, 95430 Auvers sur Oise(シムティエール通り95430番地)
  • 行き方:フランス パリから
    1. パリ北駅(Gare du Nord)からトランシリアンH線(Transilien)に乗車(所要時間:約45分)
    2. ヴァルモンドワ駅でオヴェール・シュル・オワーズ( Auvers sur Oise)行きに乗り換える(所要時間約:10分)
    3. オーヴェル・シュル・オワーズ駅から徒歩約10分
  • 開門時間:10:00~19:30
  • 入場料:無料
  • 注意点:ゴッホのためだけに建てられた墓地ではありません。
    一般の人々も眠っている市立墓地であることを忘れず静かに参拝しましょう。