お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
日本の銘石をめぐる~宮城県伊具郡丸森町・伊達冠石
家族の心の拠りどころであるお墓は、日本の季節、土地や人に馴染んだ日本の石を選んでいただくのが一番です。ここでは、日本各地で産出される銘石をご紹介し、その魅力と背景にせまります。今回は宮城県伊具郡丸森町の「伊達冠石(だてかんむりいし)」です。
伊達冠石の産地
伊達冠石は、宮城県の最南端・伊具郡丸森町の大蔵山で採石されます。
大蔵山は阿武隈山系北端に位置し、西には蔵王連峰、東には「日本棚田百選」にも選ばれた石垣で組まれた「沢尻の棚田」、そしてはるか北には仙台湾を望む標高300mほどの里山です。
伊達冠石の特徴
伊達冠石は別名「泥冠(どろかぶり)」「どろかむり」とも呼ばれています。採石してすぐの外面に泥が付着していることがその由来です。
伊達冠石の磨かれた表面は、2~3年経過すると太陽光線によって岩石中に含まれる鉄分が酸化し、灰色から鉄褐色へと変化していきます。
そのため、表面には高級なチェロやバイオリンなどの裏板に用いられる楓の「トラ目」と呼ばれる木目模様のような灰色と鉄褐色の2色の紋様が出てくるものもあります。
その美しさは独特の趣をかもし出し、石としての希少性の高さや個性もあって、高い人気を誇っています。
<伊達冠石の石材物性データ>
■見掛け比重 2.87 t/㎥ ■吸水率 0.09% ■圧縮強度 343.00 N/㎟
伊達冠石の採石
伊達冠石は両輝石玄武岩質安山岩に属する玄武岩溶岩・火成岩です。
大蔵山の尾根沿いに採石場があり、伊達冠石の岩盤は、鉄分を多く含む赤土に覆われた大地を約10m掘り下げたところにあります。
この岩盤は約2000万年前に活発に起こった火山活動によって形成されたと考えられていて、マグマの冷え固まり方や、海面の上昇や陸地の沈降によって海が陸に入り込んでくる「海進」の影響などで、丸玉石や柱状、鋭角的なカーブの形状をした石など、さまざまな形の石が生まれました。
原石の大きさは幅1.2メートル前後。50センチから1メートル前後の石が、質も量も安定して採石されています。原石の形や膚の色、土の付き具合は、原石の産出する場所や地層によって、微妙に違いがあります。
伊達冠石の加工
伊達冠石は柱状節理と呼ばれる柱状の割れ目がある地層から採石されます。そのため、原石自体にキズを含んでいるものも多く、採石した原石は一旦大きさごとに分け、乾燥を兼ねてストックしていきます。加工の工程においても、そのひとつひとつをしっかりと見極め、工程ごとに細心の注意を払って作業を行います。
伊達冠石は自然の玉石であり、その石目はひとつひとつ微妙に違います。
そのため、石目合わせが必要な場合は、いくつもの原石を加工して目合わせ作業を行うことになり、時には困難な作業となります。
伊達冠石の墓石
伊達冠石の墓石には、玉石をそのまま活かした自然石風のものがいくつかあります。
例えば、加工を最小限におさえて、石肌や丸みといった自然の表情を最大限に取り込んだデザインの墓石は、自然と熟練の職人技が織りなすオンリーワンの作品であり、唯一無二を選ばれる方々の人気を集めています。
伊達冠石の魅力のひとつは、石肌と磨き面とのコントラストです。石肌の一部分をそのままにし、アクセントとした墓石には、加工する職人の洗練された技術と優れたセンスが表現されています。絶妙なバランス、そしてちらりと垣間見える遊び心。感性の鋭い方の琴線に触れること請け合いです。
かの世界的彫刻家、イサム・ノグチも伊達冠石に魅了された者のひとり。
香川県高松市牟礼町にある「イサム・ノグチ庭園美術館」には、伊達冠石で製作された彫刻作品が収蔵されています。
お墓きわめびとの会のショールームも同じく高松市牟礼町にあります。伊達冠石のお墓も展示しておりますので、庭園美術館にお立ち寄りの際は、是非ショールームにも足をお運びください。実際に石に触れてみてその感覚の違いを体感していただくと、伊達冠石の本当の価値を知っていただけると思います。
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