お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
日本の銘石をめぐる~福島県いわき市・紀山石
家族の心の拠りどころであるお墓は、日本の季節、土地や人に馴染んだ日本の石を選んでいただくのが一番です。ここでは、日本各地で産出される銘石をご紹介し、その魅力と背景にせまります。今回は福島県いわき市の「紀山石(きざんせき)」です。
紀山石の産地
紀山石は、福島県いわき市三和町と平田村にまたがる上三坂(かみみさか)地区の芝山で採石されています。
芝山はなだらかな山容の独立峰で、山頂からの眺望は見事の一言につきます。芝山自然公園として整備されており、車で簡単に頂上まで上がることができます。地元の人々によって大切にされている芝山自然公園の美しい緑は、昭和60年にふくしま緑の百景にも選定されています。
上三坂地区は芝山自然公園以外にも、綿津海(わたつみ)神社や耕山寺、三倉城跡などがあり、地区内外の多くの人々に親しまれています。
また、しだれ栗自生地やあじさいロード、芝山千本桜などの花木が季節ごとに美しい花を咲かせる土地です。
県指定重要無形民俗文化財である「やっちき踊り」が伝承されていることでも知られ、軽快な囃子詞と躍動感あふれる踊りは、訪れる人を魅了しています。
紀山石の特徴
紀山石は、1982年から採掘が開始されました。国産の石の中では比較的まだ歴史の浅い「新しい石」です。
みちのく産らしい粘りを持った石質で、細目の粒子が美しく、気品をそなえた深みのある色合いが特徴の白御影石です。縦目・横目の違いがなく、均一で安定した石目を持っており、そのシルクのような美しい目合いは多くの人を魅了しています。また、青みを帯びた色合いと細目の石目から、愛媛県の大島石にも似ていると言われています。
どのようなデザインの石塔にも合うため、一般的な和型のお墓はもちろんのこと、五輪塔や洋型のお墓に用いる方も多いです。
紀山石は高硬度で吸水率が低く、長年の風化にも耐えることができます。
産出量も豊富で、東北や関東のみならず、北陸や関西など全国各地で広く使われている銘石です。
<紀山石の石材物性データ>
■見掛け比重:2.658 t/㎥ ■吸水率:0.163% ■圧縮強度:189 N/㎟
紀山石の採石
紀山石の丁場は、開発面積が甲子園球場の約1.2倍に相当する大きさです。
そこでは、石のキズを読む熟練した職人の目を頼りに、火薬による発破と、ワイヤーソーと呼ばれる切断工具を併用して採石が進められています。大きなものでは5m~10mの岩盤を一度に切断していきます。
紀山石の丁場の岩盤は南北にキズが入っていることが多く、岩盤に対して東西に入るキズやスクイ(石の目に対して垂直に入る石英質のキズ)を見極め、掘った穴に火薬をつめて発破をかけていきます。穴を掘る場所や火薬の量は、長年の経験に基づく勘が頼り。職人の腕の見せ所です。
また、岩盤から外れた大きな石のかたまりも、職人が石の目を読み、石の「癖」を感じ取りながら、セリ矢(くさびのような鉄製の矢)を適切な場所に差し込んで、石を割っていきます。
自然が創り出した岩盤の品質は一定ではないため、良質の墓石材を生産するためには熟練した職人の見極めが必要です。
紀山石のお墓の魅力
お墓は、一世代でその役割を追えるものではなく、何世代にも渡って継承されていくものです。そのため、墓石材にはその土地の気候や風土にあった耐久性が求められます。
紀山石は、高硬度で吸水率が低く、また粘りを持った石質で、経年劣化も少なく、四季の変化に富み高温多湿な日本の風土に適しているといえます。
加えて生産性も高く、価格もリーズナブル。そのため、全国各地で幅広く用いられている人気墓石材となっています。
一人でも多くのお客様に「選んで良かった」と喜んでいただけるよう、職人や山の石職人が一生懸命に取り組んで作られる紀山石のお墓。
永代にわたり祈りの気持ちを託す。
そして、家族の絆の象徴となるお墓を、ぜひこの紀山石で作られてはいかがでしょうか。
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