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日本の銘石をめぐる~福岡県京都郡みやこ町犀川・内垣石

墓地・墓石コラム

日本の銘石をめぐる~福岡県京都郡みやこ町犀川・内垣石

家族の心の拠りどころであるお墓は、日本の季節、土地や人に馴染んだ日本の石を選んでいただくのが一番です。ここでは、日本各地で産出される銘石をご紹介し、その魅力と背景にせまります。今回は福岡県京都(みやこ)郡みやこ町犀川の「内垣石(うちがきいし)」です。

内垣石の産地

「内垣石」は、福岡県京都郡みやこ町犀川で採掘されます。
みやこ町は福岡県の北東部に位置し、2006年に豊津町・犀川町・勝山町の3町が合併して発足しました。歴史的に重要な遺跡や遺物などが数多く発見されていて、豊前国の国府跡や国分寺跡も発見されており、豊前国の中心地だったとされています。

犀川地区は南高北低で急峻な山々に囲まれており、田川郡添田町にある英彦山(ひこさん)を源にする今川、祓川(はらいがわ)がみやこ町内を貫流し周防灘へ注ぐ地形です。

犀川という地名は、中心部を流れる今川の旧称から来たと伝えられているそうです。塞の神(村境に立っていて、外から入ってくる敵や危険なものを防ぎ、さえぎる神)の信仰があり、集落の境であった今川の渡し場に塞神を祀っていたことからサイ(塞)川→犀川となったと言われています。

みやこ町にある、不思議な力が宿る石

京都郡みやこ町犀川には、「安産の神様」として知られる「二児神社(二兒神社)」があります。
その昔、豊前国京都(みやこ)郡には馬ヶ岳城という城がありました。この城の初代城主・太宰少弐(だざいのしょうに)橘為頼の妻が臨月を過ぎても出産の気配がなく、為頼はそのことを気に病んでいたそうです。

そこで、二児神社に御籠もりしたところ、夢に「社前の双石(ふたごいわ)に触れさせれば安産間違いなし」というお告げがあり、実行するとたちまち産気づき玉のような子を授かることができたそうです。
この物語が言い伝えられ、現在では安産の神様として各地から多くの人が祈願に訪れるようになっています。

犀川地区の石には、不思議な力が宿っているのかもしれません。

内垣石の特徴

内垣石は、採掘量が少なく、またこれまでは九州で消費される割合が高かったため、関西では“幻の銘石”と呼ばれたことがあるほどの希少性の高い石です。最近では、九州だけでなく広い地域で大変人気のある石となっています。

その石目は、細かすぎず粗すぎない中細目であり、均整がとれていて優美な表情を見せます。色は、青みを帯びた濃いグレーで、丹念に磨き上げると、表面には輝くような美しい艶が現れれ、青味を帯びたそのきめ細かい石目をさらに際立たせることで上質さを醸し出しています。

細粒で硬度の高い石質の内垣石は吸水率が格段に低い点も特徴です。雨による変色や日光による色褪せが少なく、艶もちもよいため、その採掘量のほとんどが墓石材として使用されるほど、墓石材の理想を体現した石と言えます。

<内垣石の石材物性データ>
■見掛け比重:2.65 t/㎥ ■吸水率:0.14% ■圧縮強度:171 N/㎟

内垣石の採石

採掘の歴史は大正8年にまでさかのぼります。

採石は、継続的に山作り(石山を採掘しやすいように平らにすること)を行い、内垣石の岩盤と対峙していく根気のいる作業です。自然を相手にする仕事ゆえの苦労がそこにはあります。

丁場(採掘現場)ではたくさんの石が採れますが、スジ、ムラ、キズなどがあるため、墓石材に使用できる石はわずか3~4%程度にすぎません。内垣石が高い希少性をもつ理由がここにあります。

石と山を知り尽くしているベテラン職人が採石してきた内垣石は、古くから石屋の間ではよく知られた存在で、現在では全国的にも有名になった高品質な石材です。国内の石材の中では、耐久性と美しさのバランス面において最高峰に位置しています。

墓石材の理想を体現する石

お墓は、何代にもわたって継承されていくものです。そんなお墓に用いられる「石」は、「建てた当初の美しさがいつまでも残る」ことが理想の1つではないでしょうか。

吸水率が格段に低い内垣石の硬く強い石質は、丹念に磨き上げた表面のツヤを長く維持します。そして美しさの点でも、内垣石の落ち着いた青みを帯びた濃いグレーと粒の細かな石肌は供養の風景にとけ込み、安らかな雰囲気を感じさせてくれます。

何十年、ときには100年以上という単位の時間の流れの中で、美しさを保つ要素をもつ内垣石。この石であなたもお墓を作られてみてはいかがでしょうか?

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