お役立ちコラム お墓の色々

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お墓にある「墓誌(霊標)」は左右どちらに建てる?〜設置の仕方、費用や注意点を解説します〜

墓地・墓石コラム

お墓にある「墓誌(霊標)」は左右どちらに建てる?〜設置の仕方、費用や注意点を解説します〜

亡くなった方の戒名や名前、没年月日などが記された石碑があるお墓を見かけたことはないでしょうか。この石碑は「墓誌(ぼし)」や「霊標(れいひょう)」と呼ばれるもので、大体はお墓の右側に建てられています。

ただ、墓誌がないお墓もあり、どのようなときに建てるのか?お墓のどちら側に建てるべきか?既にある墓誌に新しく亡くなった故人の名前を追加で入れたい時はどうしたら良いのか?など、詳しいことはわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は、墓誌を設置するメリット、設置する場所、設置や名前の追加をする際の流れや費用、注意点など、事前に知っておくと役立つ情報を解説していきます。

墓誌とは

「墓誌」とは、お墓に納められている故人の名前や戒名を刻むため、墓石の側に建てられる板状の石碑のことです。仏式の場合は「霊標(浄土真宗の場合は法名碑)」その他キリスト教や神道といった仏教以外の場合は、「墓誌」と呼ぶことが多いようです。

墓誌は絶対に必要?

墓誌は、お墓に必ず設置しなければいけないという決まりはありません。
墓誌が一般に設置され始めたのは、今から30〜40年ほど前のことと言われています。時代と共に個人墓から家族墓が主流となり、墓石(竿石)の側面だけでは故人の名前を彫るスペースが足りないケースが出てきたため、設置されるようになったのが墓誌です。

このような歴史からも、墓誌は必ず建てなければならないということはなく、墓地の広さや予算などの理由で設置しないケースもあります。近年では、夫婦のためだけに建てられるお墓も増えており、墓誌を必要としないお墓もあります。

ご先祖様との繋がりを感じられる良さも

ご先祖様の名前を残すスペースが必要という理由で建てられるようになった墓誌ですが、故人の名前を全て記しておくことで、お墓参りのたびに先に旅立った家族やご先祖様の名前に触れ、その存在に心を寄せることができるという良さがあります。

これは、世代を超えて命が繋がれていることや、先人への感謝を感じる機会にもなっており、数世代にわたるご先祖様の名前が刻まれた墓誌の存在が、自身の存在のルーツや尊さを感じさせてくれるという、大切な役割を担っていると言えるでしょう。

閉眼供養などの手間や時間、金銭面での負担を減らすことができる

故人の戒名や名前を墓石(竿石)自体に追加で彫刻する場合は、墓石から魂を抜いて、ただの石に戻すための「閉眼供養(お性根抜き・魂抜き)」を行ってから工事をするという流れが基本となっています。ただ、これでは手間も時間もかかってしまうため、四十九日の納骨に間に合わせたい場合などは大変です。
一方で、墓誌に彫刻する場合はこの必要がないため、時間や手間を減らすことができ、お布施などの費用も抑えることができます。

墓誌はお墓のどちら側に建てるの?

墓誌はここに設置しなければならないという決まりはなく、お墓全体のバランスを考えた場所に設置して問題ありません。しかし、設置場所に迷ってしまう時には、お墓における上座・下座を意識し、ご先祖様への敬意を示す意味でも、より上位とされる、墓石に向かって右隣への設置を検討されると良いでしょう。

日本では伝統的な作法として「左上位」という考え方があり、お墓でも、墓石から見て左側(墓石に向かって右側)の方が上座と考えられています。

お墓の上座・下座についての考え方は、こちらの記事を合わせてお読みください。
お墓における上座・下座

墓誌の設置や名前の追加をするタイミングや手順

墓誌の設置や名前を追加するタイミングについても特に決まりはありませんが、納骨までに間に合わせることが多いようです。石の加工や設置、名前の彫刻には1ヶ月程度かかる場合もあるので、石材店に予定を確認しながら進めると良いでしょう。

墓誌を設置する場合も、名前の追加彫刻のみ行う場合も、まずは石材店に相談して現地の状況を見てもらったのち、見積もりをしてもらいます。その後契約となったら、文字の内容や字体など細かい部分を決め、工事が進められていきます。

墓誌の設置については、お墓を新設する際に一緒に設置すると、費用が節約できる場合もあり、すぐに墓誌を使用する予定がなくても、将来使用することを見越してお墓の建立時に設置される場合もあります。
名前の追加彫刻は、加工技術の向上により現地で行われることが基本となっていますが、墓地・霊園の規則がある場合や、周囲への迷惑になりそうな場合など、現地での作業ができない時には、石材店へ持ち帰っての作業が必要となることもあります。

墓誌にスペースが亡くなった時の対処法

墓誌は、表と裏の両方に彫刻可能です。もし、それでもスペースが足りなくなった場合は、二通りの方法があります。

新しく墓誌を建てる

お墓のスペースに余裕があれば、新しい墓誌を建てる方法があります。古い家になると、墓誌を2枚以上並べているお墓も存在します。

ご先祖さまをまとめて記載する

できれば全員の名前を残したいと思いつつも、スペースなどの問題でどうしても墓誌を増やすことができないという場合もあるかもしれません。そのような時には、亡くなってから一定の年月を過ぎたご先祖様の名前を、墓誌の表面を削ることで消し、「先祖代々之霊位」などとまとめて記載した後に、それ以降亡くなった方の名前を刻んでいくという方法もあります。このようにご先祖様の名前をまとめる際には、33回忌を一区切りとする場合が多いようです。

費用について

墓誌の設置には、墓誌の石材費用、設置工事費用、彫刻費用などがかかります。

石材の費用は、石の産地やサイズなどによって10万円〜50万円ほどが相場と言われています。使用する石材に決まりはないため、好みや予算に合わせて検討すると良いでしょう。一般的には、墓石と同じ石材を選ぶ場合が多いようです。

墓誌の設置工事費用は、5万円~20万円ほどと言われており、墓誌の大きさ、設置場所の立地条件、墓地までの距離などで変わります。前述しましたが、お墓を新しく建てるタイミングで一緒に設置することで費用が抑えられることもあるので、石材店で聞いてみると良いでしょう。

彫刻費用は、一人分当たり3万円~5万円ほどが相場とされています。作業を現地でするのかどうかなどでも違いがあり、出張費や運搬費などが加算される場合もあるので、依頼する前に確認すると良いでしょう。

注意点

指定石材店制度に注意する

寺院や墓地、霊園によっては、指定の石材店があり、他の業者に墓誌の購入や工事を依頼することができない決まりになっている場合があります。その場合、先に他の業者で墓誌を購入してしまうと、設置できないという事態になりかねないため、事前に確認し、指定の石材店がある場合はその業者に依頼するようにしましょう。

書体や誤字脱字の確認をしっかりする

書体や誤字脱字についても、慎重にチェックをすることが大切です。文字を彫刻した後に修正するとなると、多くの時間と手間がかかり、別に料金が発生する可能性もあります。書体や内容についての確認をする際は、電話ではなく、画像や書面など目に見える方法で、慎重に依頼や確認を行いましょう。

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スケジュールの確認をする

依頼から工事完了までには、1ヶ月ほどかかるのが一般的です。特に、納骨の予定に合わせたい場合などは、その旨を伝え、スケジュールの調整や確認を念入りに行いましょう。

石材をネットで購入する場合は慎重に

墓誌を購入するだけであればネット購入も可能ですが、墓誌は買って終わりではなく、故人の名前や戒名などを彫刻したのち、お墓に設置する必要があります。彫刻も据付工事も高い技術力が必要であり、重い石の運搬には危険も伴うため、専門の石材店での購入がおすすめです。

ネット購入では、現物を直接確認することができない点にも注意が必要です。墓石を見慣れていなければ、石材の名称や写真で現物を想像するのはなかなか難いもの。同じ石材でも複数の名称があったり、イメージ画像が使われていたりする場合もあるため、リスクが高いと言えるでしょう。更に、前述した指定石材店制度によって、ネット購入した墓誌が設置できないという事態になる可能性もあります。

安心して、大切な故人の供養を進めるためにも、経験豊富なプロに依頼するのが良いでしょう。

まとめ

墓誌には、先祖様の存在に思いを馳せ、命のつながりを感じさせてくれる大切な役割があります。時代と共にお墓のあり方が変化しながらも、ご先祖様の名前を残し供養を続けることが墓誌という形で受け継がれているのは、命の繋がりに感謝して生きてきた私たちの心の表れと言えるのかもしれません。

墓誌を設置する意味や目的、形式などについてはこちらで解説していますので、合わせてお読みください。
墓誌とは?お墓に設ける意味や目的を解説します

墓誌の設置や名前の追加を依頼したい場合は、まずお墓を建てた石材店に相談しましょう。

しかしながら、承継したため分からない方や、忘れてしまった方、他店に依頼したいという方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合は、こちらからお近くの石材店をお探しいただけますので、ぜひご活用ください。
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