お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
終活の際に知っておこう!「老後の税金」について
終活をはじめたきっかけは人それぞれですが、中でも「老後のお金のことを心配して…」
という方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そして「老後は退職金と年金をやりくりすることになるのかな…だったら生活費はいくらくらいになるかな…」とイメージされていることでしょう。
そこで、あらためておさえておきたいことがあります。それは「税金」です。
多くの方が見落としがちな「老後の税金」について、 事前にきちんと把握しておけば、より現実的な生活設計を立てることができます。
退職金にも税金がかかります
退職金は老後の生活を支えるためのとても大切なお金です。
実は退職金にも税金がかかること、皆さんはご存知でしょうか。
退職金は以下の一覧にあるように「退職所得」という所得の中に含まれます。
<退職所得>
・退職により勤務先から受ける退職金(退職手当)などの所得
・社会保険制度などにより、退職をきっかけとして支給される一時金
・適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金
・解雇予告手当(労働基準法第20条の規定による)
・退職した労働者が弁済を受ける未払賃金(賃金の支払いの確保等に関する法律第7条の規定による)
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時的に高額の収入を得るものです。
しかしながら、給与などと同じ所得として扱うと、所得税率が高くなってしまいます。
そこで、退職所得には「退職所得控除」が設けられ、税負担が軽くなる配慮があるのです。
※退職所得控除額
勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数-20年)
<計算例>
例1:勤続年数が10年3ヶ月のAさんの場合 →退職所得控除額:440万円
40万円×勤続年数=40万円×11年=440万円
→勤続年数の端数3ヶ月は1年に切上げされ、勤続年数11年として計算します。
例2:勤続年数が30年のBさんの場合 →退職所得控除額:1,500万円
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=800万円+70万円×10年=1,500万円
それでは、退職所得にかかる3種類の税金を見ていきましょう。
①所得税
得た所得に対して段階的にかかる税金です。
ただし、退職所得控除と同様の理由から、退職金に対する税金は「分離課税方式」というやり方を用いて、他の所得とは分離して計算します。
※分離課税方式
収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引き、
残りの金額の2分の1に対して税率を掛けて計算します。
<計算例>
例3:勤続年数30年で2,000万円の退職金を受け取ったCさんの場合
退職所得控除額:勤続年数20年超の場合は…800万円+70万円×(勤続年数-20年)
→800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円
分離課税方式:退職所得-退職所得控除額×0.5
→(2,000万円-1,500万円)×0.5=250万円
つまり、Cさんは250万円に対して課税されます。
②復興特別所得税
東日本大震災からの復興のために令和19年まで納める税金です。基準所得税額に2.1%を掛けて算出します。
③住民税
退職所得には、住民税もかかります。
その金額は、所得税と同じ計算方法で計算した「課税退職所得金額」に一律10%(内訳:市町村民税が6%、道府県民税が4%)を掛けたものです。
退職金の支払いをする者が納付すべき住民税の額を計算し、退職金支払いの際に特別徴収して翌月の10日までに納入することになります。
なお、退職金の支払を受けるときまでに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出している方は、源泉徴収だけで所得税及び復興特別所得税の課税関係が終了(分離課税)します。原則として確定申告をする必要はありません。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない方は、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されますので、確定申告で精算することになります。
なお、退職金を全額一時金で受け取る場合は、健康保険、雇用保険、厚生年金保険等の社会保険料はかかりません。
一方で、分割で年金として受け取る場合は、年金の収入金額に対して「公的年金等控除額」が適用され、公的年金等と合算されて計算されます。
では、その年金には、どのような税金がかかってくるのでしょうか。
年金にも税金がかかる
給付される公的年金は3種類あります。
老齢年金:老齢に達した人に支払われる
障害年金:障害状態になった人に支払われる
遺族年金:亡くなった人の遺族に支払われる
上記のうち、障害年金と遺族年金は非課税です。
後に説明いたしますが、一定額以上の老齢年金は課税の対象となります。
その年金収入に対してかかる税金は先ほどの退職所得と同じ下記の3つです。
・所得税
・復興特別所得税
・住民税
所得税と復興特別所得税に関しては給料と同様に天引きで源泉徴収されますが、全ての方が源泉徴収されるわけでありません。下記の条件に該当する方が対象となります。
※所得税と復興特別所得税が源泉徴収される方の条件
65歳未満:該当年の年金受給額が108万円以上の方
65歳以上:該当年の年金受給額が158万円以上の方
なお住民税は天引きの特別徴収が基本の支払い方法になります。
「年金にかかる税金」とは別に、定期的に支払う可能性のある税金は?
「年金にかかる税金」とは別に、定期的に支払う可能性のある税金には以下のものが考えられます。
固定資産税
土地や建物、償却資産などにかかる地方税。
市町村の固定資産課税台帳などに所有者として記載されている人が支払います。
【土地】宅地のほかに、田畑、山林、牧場、原野など
【建物】住宅、店舗、工場、倉庫など
【償却資産】法人や個人事業者が、工場、商店、農業などその事業のために用いることができる土地や建物以外の有形資産のこと
各資産の評価額によって固定資産税額が大きく異なります。
そのため税額がいくらになるかは一概には言えませんが、持ち家の場合は年間20万円程度、マンションの場合は年間15万円程度が税額の目安です。
自動車税/軽自動車税
自動車の排気量に応じて課される税金。
老後は免許を自主返納される方もいらっしゃると思いますが、毎年4月1日時点の所有者に対して自動車税や軽自動車税が課せられます。
2019年10月の税制改正により、購入時期によっても税額が変わることになりました。
2019年10月以降に車を購入した場合は新税額、2019年9月までに購入した場合は今後も今まで通りの金額で課税されます。
自動車重量税
自動車の重さに応じて課される税金。
購入からの経過年数によって税額が異なり、車検の時に車検証の有効期間分(初回は3年、その後は2年)をまとめて支払います。
まとめ
今回は老後の生活に影響する税金について解説してきました。
「退職金と年金」を主な生活資金と考え、そこからおおよそ使える生活費が割り出せると思いますが、税金の項目を見逃すと、見積もりが大きく狂ってしまうことでしょう。
あらためて、税金のことを考慮して、老後の生活設計を立ててみてください。
以前話題になりました「老後2000万円問題」についての記事もありますので、是非ご覧ください。
◆終活を進めるうえで直面する「老後2000万円問題」を振り返る