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お水取り(修二会 しゅにえ)とは?なぜ行う?何をする?わかりやすく解説

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お水取り(修二会 しゅにえ)とは?なぜ行う?何をする?わかりやすく解説

3月になると、ニュースなどで東大寺に大きな松明(たいまつ)が掲げられる様子が放映されることがあります。
お堂が燃えているのかと思うほど大きな炎が上がり、たくさんの火の粉が落ちる様子が印象に残った人もいるのではないでしょうか。

この行事は、お水取りや修二会と呼ばれている仏教行事です。
しかし、松明を燃やしているのに「お水取り」という名前であることを疑問に思うかもしれません。

この記事では、お水取りと松明の関係や、修二会とは何か、なぜ行うのかについて解説します。

なぜ松明を燃やしているのにお水取りと呼ぶ?

実は、ニュースなどで使われる「お水取り」という言葉は、多くの場合、奈良県の東大寺で行われる「修二会(しゅにえ)」を指しています。

修二会は、東大寺にある二月堂で、毎年行われる法会です。拝観者も非常に多く、さまざまな法要や行法(仏教での修行)を、2週間かけて行います。

「お水取り」は修二会で行う行法の一つですが、現在では修二会全体を表す言葉としても使われるようになりました。
そのため、一見水とは関係がなさそうな儀式も、お水取りとして紹介されることがあります。

なお、お堂で大きな松明を燃やす行法には、「お松明」という名前がついています。この名前なら、火を扱う儀式であることにも納得がいくでしょう。
お松明もまた、修二会を構成する行法の一つです。

修二会とは

現代では観光の一環として訪れる人もたくさんいますが、本来の修二会は人々の幸せを祈る仏教の行事です。

修二会自体は、東大寺以外のお寺でも行われています。しかし、やはり東大寺で行われる修二会の人気は高く、毎年多くの人が拝観に訪れています。

修二会はいつ行われる?

修二会の本行は、3月1日から14日までです。
実際には準備期間や別火(べっか)と呼ばれる前行もあるため、すべてを終えるまでには数ヶ月かかります。

修二会という名前の由来は?

昔は旧暦2月に行っていたため、2月に修める法会という意味で修二会と呼ぶようになりました。
ただし、現在は旧暦の2月に近い日程になるよう、3月上旬に変更されています。
奈良では修二会が終わると春が来ると言われ、昔から親しまれています。

修二会はいつから始まった?

東大寺の修二会は西暦752年、大仏の開眼(かいげん)と同じ年に始まりました。
それ以来、1200年以上、一度も途切れたことがありません。感染症対策として一般の人には非公開になっていた時期もありますが、修二会そのものは行われていました。
このことから修二会は「不退の行法」とも呼ばれています。

修二会では何をする?

練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる11人の僧侶が、昼から夜明けまで、さまざまな法要や行法を行います。
法要は、一般の人も聞く(聴聞する)ことが可能です。五体投地(ごたいとうち)と呼ばれる、板に膝を強く打ち付ける独特の作法も見られます。

また3月12日から14日までの3日間は、深夜に達陀(だったん)と呼ばれる行法も行われます。
達陀帽(だったんぼう)という帽子をかぶった練行衆が、松明を持って二月堂の中を駆け回る姿に圧倒される拝観者も少なくないようです。

お水取りの行法では何をする?

お水取りの行法では、練行衆が二月堂の近くにある井戸から香水(こうずい、お供え用の水)を汲んで観音に捧げる儀式です。

この儀式は、本行の後半、3月12日の深夜に行われます。
深夜にもかかわらず、この儀式を見るために訪れる拝観者も少なくないようです。

なお、実際に水を汲んでいるところは、一般の人は見ることができません。練行衆が水を運ぶ姿は見学可能です。

修二会のハイライトとも呼ばれるお松明とは

ツアー旅行では「修二会のハイライト」と紹介されることもあるお松明ですが、本来の意味合いは異なっています。

お松明の目的

大きな松明は、かつて二月堂へ向かう練行衆の足元を照らすために用意されたものでした。

修二会の間、練行衆は昼や夕方にも法要を行っています。その後、いったん二月堂を離れ、午後7時ごろに戻ってきます。
その際、松明の明かりが必要となるのです。練行衆はこの明かりを頼りに二月堂に入り、夜明けまでさまざまな法要や儀式を続けます。

お松明はいつ見られる?

お松明は、修二会の本行期間である3月1日から14日の間、毎日行われます。ほとんどの日が19時開始ですが、一部、開始時間が異なる日もあります。見に行く場合には、事前にホームページなどを確認しましょう。

3月12日は、籠松明(かごたいまつ)と呼ばれるひときわ大きな松明が使われます。12日だけでも2万~3万人が東大寺に入り、周辺の交通規制が行われるほど混み合います。

お松明のご利益

松明からはたくさんの火の粉が落ちますが、これを浴びると、無病息災でいられると言われています。
燃えかすもまた無病息災の御利益があるとされ、持ち帰る人も多いようです。

修二会はなぜ行う?その理由

2週間、昼から夜明けまでたくさんの法要や儀式を続ける修二会。なぜこうした大規模な法会を行うのでしょうか。その意味や理由を紹介します。

修二会の意味と正式名称の関係

修二会を行う理由を知る前に、まずは正式名称を見てみましょう。
修二会は、正式には十一面悔過(じゅういちめんけか)法要といいます。

ここでの十一面は、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩のことです。

悔過は、懺悔(さんげ、ざんげ)とも呼びます。
悔いるという文字があるとおり、私たちが日々の生活の中で、意図せず犯してしまった過ちを悔いて、仏様(修二会の場合は菩薩)の前で告白し、許しを乞うことです。

なお、懺悔と聞いてキリスト教における罪の告白をイメージする人もいるかもしれませんが、懺悔はもともと仏教用語で「さんげ」と読みます。

なぜ懺悔するのか

仏教では、万人が日々犯している過ちが積み重なると、大きな災いの原因になると考えられています。

そこで練行衆が人々に成り代わり、仏様の前で懺悔し、天災や疫病といった大きな災いを取り除こうとしました。災いがなくなれば、世の中はきっと幸せにあふれるはずです。
こうして修二会は仏様への懺悔を通して、人々の幸せを願うために続けられているのです。

修二会を通して自分を振り返ってみませんか

修二会は1200年以上にわたり、災いのない幸せな世界を願って続けられてきました。
現在の修二会は、お松明を「見る」という印象が強いかもしれませんが、本来の意味を知って、自分を振り返る機会にしてみてはいかがでしょうか。

過ちを犯すつもりはなくても、誰かに迷惑をかけてしまったり、嘘をついてしまったりした経験がある人もいるでしょう。
改めて自分を見つめ直し、もう同じことは繰り返さないと心に決めてみませんか。

お墓参りに行って、あなたの決意をご先祖様に伝えてみるのもおすすめです。
墓前で抱負を語り、誓いを立てれば、ご先祖様もきっと応援してくれるでしょう。

お墓参りに行く際は、基本をおさらいしておくと安心です。
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう