お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
お寺に紫陽花、アジサイが多いのはなぜ?おすすめのアジサイ寺も紹介

毎年梅雨の時期になると、全国各地にある「アジサイ寺」がニュースなどで取り上げられ、たくさんの参拝客で賑わいます。
しかし、なぜアジサイを植えているお寺がこんなに多いのか不思議に思ったことはありませんか。
実はアジサイとお寺には昔から深い関係があります。
今回はお寺にアジサイが植えられている理由や、おすすめのアジサイ寺も併せて紹介していきます。
なぜお寺にアジサイが多いのか
いくつかの説が存在しますが、ここでは代表的なものを解説します。
亡くなった人を弔うために植えたから
昔、梅雨のころは流行り病などで亡くなる人が少なくありませんでした。
アジサイは梅雨時に美しく咲きます。またかつては花びらが4枚あることから死(し)を連想させる花であり、死者に手向ける花とも考えられていたようです。そこで梅雨時に病が流行した地域のお寺では、故人を弔うための花としてアジサイが多く植えられたと言われています。また梅雨時に手に入りやすい仏花として利用されることもあったようです。
しかし昔とは逆に、現代では供花としたり、故人を供養するためにお墓や仏壇にアジサイを供えたりすることはあまりありません。アジサイには毒性があることや、死を連想させ縁起が悪いなどの理由で、一般的に供えることは避けるべき花とされているからです。
故人がアジサイを好んでいた場合は供えても問題ありませんが、故人の好みがわからない場合は避けるようにしましょう。ほかにもお墓に供えるべきではないとされている花は複数あります。詳細は下記をご覧ください。
仏教の教えを感じさせるから
アジサイにはさまざまな花言葉がありますが、その中に「無常」という花言葉があります。
ここから、アジサイは仏教における諸行無常の教えを感じさせる花だと考えられるようになりました。諸行無常は、この世のものは常に変化し続けている、変わらないものはないという意味です。 アジサイの花は、同じ花でも咲き始めてから咲き終わるまでの間に、次々と色が変わっていきます。その様子に、先人たちは仏教の教えを重ねて見ていたのでしょう。
お寺の立地と相性が良かったから
お寺はお坊さんの修行の場所であるため、静かな山の中に建てられることも多くあります。
日差しが当たりすぎず、地面が適度に湿っている状態の山は、アジサイとの相性がよかったようです。ほかの植物に比べ手入れの手間が少なく、育ちやすかったことも要因の一つと言われています。
またアジサイが山に根を張ることで、雨が降っても土砂崩れを起こしにくくなるという効果も得られました。 神奈川県鎌倉市はアジサイ寺が多いことで有名ですが、特にアジサイとの相性がよい土地だったのではないかと考えられています。
アジサイで有名なお寺
アジサイ寺と呼ばれるお寺は全国に存在します。ここでは有名なアジサイ寺の中から6ヵ寺を紹介します。
お寺によっては手水(ちょうず)を行うための手水鉢(ちょうずばち)にアジサイを美しく飾った花手水(はなちょうず)を見られるところもあります。見頃となる時期や公開時期は年によって変わるため、ホームページなどで詳細を確認してから出かけるとよいでしょう。
お寺という日常を離れた静かな空間では、アジサイの美しさがより一層際立ちます。一度は見る価値のあるすばらしい景色ですので、ぜひ出かけてみてください。
明月院(神奈川県鎌倉市)
明月院(めいげついん)は、昭和40年代からアジサイ寺として呼ばれてきたお寺です。
約2500株のアジサイのうち、ほとんどがヒメアジサイという品種です。明月院には青いアジサイが多く、その美しさを表す「明月院ブルー」という言葉もよく使われるようになりました。6月中旬から下旬ごろが見ごろです。
矢田寺(奈良県郡山市)
矢田寺(やたでら)は、日本の地蔵発祥の地と言われているお寺です。
1965年(昭和40年)ごろからアジサイを植え始め、現在は約60品種、1万株のアジサイがあります。中にはハート型のアジサイがあるとも言われており、探す人も多いようです。 アジサイ園の見頃は6月から7月上旬ごろまでと長く、長期間楽しめます。
三室戸寺(京都府宇治市)
三室戸寺(みむろとじ)は西国三十三所の10番札所で、奈良時代に開かれた歴史あるお寺です。
杉の木立の間に50種類、2万株のアジサイが植えられたアジサイ園があります。 通常の拝観時間は夕方ごろまでですが、見頃となる6月は19時から21時の間、アジサイ園のライトアップを見られます。
本土寺(千葉県松戸市)
本土寺(ほんどじ)は、日蓮宗のお寺で、開祖である日蓮にまつわる重要文化財を所蔵しています。
関東のお寺の中でもアジサイの数が特に多く、約40種類、5万株のアジサイを楽しめます。見頃は6月中旬から下旬。5000本の花菖蒲も植えられているため、時期が合えば一緒に観賞するのもよいでしょう。
誓欣院(静岡県熱海市)
誓欣院(せいごんいん)は、お釈迦様の遺骨である仏舎利(ぶっしゃり)が納められているお寺です。
12品種、約350株と数は少ないものの珍しい品種のアジサイが多く、ほかのアジサイ寺に行ったことがある人にもおすすめです。見頃は6月中旬ごろ。 誓欣院についてはこちらでも紹介しています。
◆誓欣院
千光寺(福岡県久留米市
千光寺(せんこうじ)は、臨済宗の開祖、栄西によって開かれたお寺です。現在は曹洞宗ですが、禅を大切にするお寺として長い歴史を持っています。
1980年代よりアジサイを植え始め、アジサイ寺と知られるようになりました。現在は約7000株のアジサイがあり、見頃となる6月には千光寺あじさい祭りも開かれます。
千光寺についてはこちらでも紹介しています。
◆千光寺
アジサイの季節にお寺を訪れてみては
お寺のアジサイは美しい見た目を楽しめるだけでなく、死者を弔う花、仏教の教えを感じさせてくれる花という役割も持っています。今回紹介しきれなかったアジサイ寺も全国にたくさんあります。地元のアジサイ寺を見つけたら、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
かつて死者を弔うために植えられていたアジサイを見ていると、「自分は死んだあとどこで眠りにつくのだろうか」と考えることもあるかもしれません。今はお墓の選び方も多様化していますが、自分の好きな花が咲く景観の中で眠りたいという人もいるでしょう。
下記のページでは、全国のさまざまな墓地や霊園を紹介しています。 あなたのお住まいの地域にも、花が咲く景色で有名な墓地があるかもしれません。この機会に、「この場所で眠りたい」と思える場所を探してみてはいかがでしょうか。