お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
お盆のお墓参りで避けた方がいい花5選
8月13日~16日の期間、多くの地域ではご先祖様の霊をお迎えして供養するお盆の行事が行われます。実家に帰省し家族そろってお墓参りに行くというのが、お盆でよく見られる風景です。その、お墓参りで欠かかすことができないものの1つに、お供えの花があります。花屋や石材店で供花を買い求めて、お墓参りに行かれる方がきっと多いと思いますが、実は、お墓参りの際に「お供えには避けた方がいい花」があることをご存じでしょうか。
そもそも、なぜお墓に花を供えるの?
「避けた方がいい花」を説明する前に、「そもそも、なぜお墓に花を供えるのか?」というお話をいたしましょう。
はるかな昔、土葬やそれ以前の時代、花のもつ薬効成分によって、遺体の腐敗を遅らせたり、墓地を荒らす動物を遠ざけるための役割を花は果たしてきたものでした。
現在ではその役割はなくなり、死者への冥福を祈る気持ちを花で表す、お供えする人自身に穏やかな気持ちをもたらす、仏さまを美しくお飾りする、といったものがあり、心や想い、供養の象徴として花を供えるというのがよく言われています。
また厳しい自然の中で、雨にも風にも負けずに耐え続け、何度でも再生する花のその姿は生命力の象徴ともみなされ、故人の新生・成仏・転生を願い花を供えるともいわれています。
花を供えるときのポイント
お墓に花を供える際には、いくつかの押さえるべきポイントがあります。
供えるときの向き
お墓に花を供える際、何気なく私たちの方に向けて花を供えていませんか?
ご先祖さまや故人に向けてではなく、お墓に背を向けていることに、疑問をもったことはないでしょうか。
実は、花を供える向きには次の3種類あります。
①仏様の方へ花の表を向ける「向上相(こうじょうそう)」
②花を八方に向ける「向中相(こうちゅうそう)」
③花の背を仏様の方へ向ける「向下相(こうげそう)」
この3種類の中で「向下相」が一般的になったのは、今から約1100年前の平安時代に第59代宇多天皇が「向下相を用いるべし」と仰ったことがきっかけとされ、供養する側の心も清めるという意味が込められていると言われています。
供えるときの花の本数
お墓に供える花の本数は奇数が一般的です。これは、古代中国から伝わった「陰陽道」が由来となっており、基本的に、数字は"割れない"奇数が陽で「慶事」、"割り切れる"偶数が陰で「弔事」とされています。
花はお墓の左右に供えます。スペースを考えると、左右に3本ずつ、または5本ずつ、もしくは7本ずつ供えるのが妥当であるといえるでしょう。
花を持ち帰るべきかどうか
お墓に供えた花は、片づけるのが基本です。生花をそのままにしておくと、虫がついたり、枯れた花や葉がお墓を汚したりすることがあるからです。特にお盆の時期は夏の暑さで傷むのも早いです。遠方から来ている場合など、再度お参りすることができないのであれば、その日のうちに持ち帰りましょう。なお、墓地や霊園によっては、管理者が処分してくれる場合もあります。
造花をお供えしても問題はないのか?
結論から言うと、お供えの花は造花でも問題ありません。特にお盆は夏の暑さが厳しいので、枯れやすい生花ではなく、枯れない造花を使う地域もあるようです。枯れた花によりお墓が汚れることもありません。しかしながら、生花にこだわる考え方も根強くあり、周囲から花を替える手間を惜しんでいるように見られ、認識の違いから親族間のトラブルを招くおそれもあります。造花を使用する場合は、周囲の理解を得る配慮が必要と思われます。
供花にはどんな種類があるのか?
そもそも、お墓参りの際に供える花は何でもいいというわけではありません。
供花として一般的なものは菊です。菊の特徴には、日持ちする、枯れても散らかりにくいといったものがあります。大輪菊や小菊、洋菊などが、日本では昔から供花として使われています。
菊以外には、カーネーションやストックなども供花に適しているとされています。
お盆の時期となる夏ですと、リンドウ、グラジオラス、ケイトウ、ユリなどがあげられます。
お墓参りで避けた方がいい花
では、お墓参りで避けた方がいい花とは何でしょうか。
①トゲのある花
トゲのあるバラやアザミは、一般的に避けた方がいいとされています。トゲによってご自身やお墓参りに来られた方、霊園の管理者などがケガをしてしまう恐れがあるからです。
②毒のある花
スズラン、スイセン、ヒガンバナなどの毒がある花も避けるべきとされます。毒というものが人を傷つけたり死を連想させたりする方もいるからです。他の方への配慮として避けた方がよいでしょう。
③香りの強い花
香りの強い花は、虫を寄せ付けやすく、周囲のお墓やお墓参りに来た方などに迷惑をかける場合があります。該当するのはヤマユリなどです。
④縁起が悪いとされる花
ツバキは「おしべ」と「花びら」が全てつながっている構造で、そのために花びらだけではなく、花のまま落ちます。首が落ちる様子と重ねて縁起が悪いとして供えることを控える地域もあります。ツバキの他に、サザンカも花のまま落ちます。
その他、黒い花も縁起が悪いとする地域もあるそうです。
⑤花粉が飛びやすい花
花粉は墓石にとって「落ちにくい汚れ」になることをご存じでしょうか。墓石につくと黄色いシミとなり、表面に残ってしまいます。花粉が飛びやすい代表的な花はユリです。墓地自体が林の近くや山の中といったように、もともと花粉を浴びやすい環境にありますが、ご自身の、または他の方の墓石のことをよく考えて花を選ばれるとよいでしょう。
以上5つが「お墓参りで避けた方がいい花」とされていますが、宗派やその地域のしきたりなどによって異なる場合もあります。「習慣にとらわれず、故人の好きだった花を飾りたい」と考える方もいらっしゃるようです。周りや親族にマナーがなっていないと思われないためにも、事前に相談しておくといいでしょう。
また今回ご紹介した「お墓参りで避けた方がいい花」は絶対にダメというわけではありません。例えば、花はお店で購入したもの以外に、自身で育てたものを供えるという形でも問題ありません。マナーを気にしすぎてお墓参りに行かなくなることの方が問題です。
マナーも大切ですが、何よりも大切である「故人やご先祖様を思う気持ち」を持って、お墓参りに行きましょう。