お役立ちコラム お墓の色々

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なぜ?お墓に花を供える理由とは?

供養・埋葬・風習コラム

なぜ?お墓に花を供える理由とは?

お墓参りに、花は欠かせないものです。でも、なぜ「お供えといえば花」なのでしょうか?気持ちが明るくなるから?故人が花を愛していたから?こうした理由もありますが、実は仏教的にもれっきとした理由があるのです。
本記事では、そんなお墓に花を供える理由を、仏教のお話を交えながら紹介します。

最初に花を供えたのは誰?

お彼岸・お盆の頃になると、花屋やスーパーに並ぶ「仏花」。お墓参りと花は切っても切れない関係です。また、お墓参りの場だけではなく、葬儀や法要など、ご供養の場面には必ずと言っていいほど用意されています。ご供養と花の関係は、あまりにも当たり前のこと過ぎて「なぜ?」なんて考えもしなかったかもしれませんが、その起源は他ならぬ仏教の開祖・お釈迦様なのです。

お釈迦様と青蓮華の花

これはお釈迦様が、儒童梵士(じゅどうぼんし)という名前で修行をしていたころの話です。ある時、燃灯仏(ねんとうぶつ)という仏が都に現れることを、儒童梵士は知りました。「何かお供えしたい」と考えた儒童梵士でしたが、捧げるものがありません。そこで近くにいた花売りの女性から、5本の青蓮華(しょうれんげ)というお花を買って燃灯仏に捧げたところ、その5本の青蓮花は空中にとどまり燃灯仏のまわりで輝いたそうです。これを見た燃灯仏は「来世のあなたは、きっと仏となるだろう」という予言を儒童梵士に授けました。これが仏教に伝わる供花の起源と考えられています。

仏教には「五供」という教えも

五供(ごく・ごくう)とは、ご供養の際に故人に供えることが薦められている、「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」からなる5つの供物です。それぞれ解説していきます。

「香」

「香」とは、お線香のことです。仏教では、故人や仏様は香りを召し上がると考えられています。また、上に向かって立ちぼるお線香の煙が「現世と死後の世界をつなぐ」という解釈もあります。

「花」

「花」はそのまま、花のことです。仏花として売られている花束は、菊を使ったものが多いですが、菊でなければいけないではありません。トゲのある花・毒のある花・香りの強い花は不向きとされていますが、基本的には故人の好きだった花やあなたが故人のためにお供えしたいと思う花で大丈夫です。また、生花が望ましいですが、造花でも問題はありません。

「灯燭(とうしょく)」

灯燭(とうしょく)とは、ろうそくに火を灯すことを指します。明かりは、暗い煩悩を捨て、悟りに至ることの象徴とされています。

「浄水」

浄水(じょうすい)は、お墓や仏壇に水やお茶を供えることです。「仏様に澄んだ水を捧げる」という意味だけではなく、「献身的な行為によって自分たちの心を浄化する」という意味があります。

「飲食(おんじき)」

飲食(おんじき)とは、仏前に食べ物を供えることを指します。持ち帰る都合上、お墓では菓子や果物などをお供えする場合が多いですが、仏壇の場合は普段から自分たちが食べているもの(お米など)を供えるのが良いとされています。

お墓参りの際、私たちは一対の花を手向け、お線香を焚き、水や故人の好きだった食べ物などをお供えします。これはまさに五供をなぞっているのです。

供花にまつわるその他の理由

前項までは、供花にまつわる仏教での起源・教えをご説明しました。本項では、実利的な面や情緒的な面から、供花の理由をご紹介します。

1.植物の薬効成分を利用していた

土葬やそれ以前の時代では、「遺体の腐敗を遅らせる」「墓地を荒らす動物を遠ざける」といった目的で、花の薬効成分を用いていたという説があります。

2.情緒的な美しさから用いられた

「お供えする人自身に穏やかな気持ちをもたらす」「仏様を美しくお飾りする」といった意味で、心や想い、供養の気持ちの象徴として供えられるものでもあります。

3.再生の象徴として

厳しい自然の中で雨風に耐えながら育ち、たとえ枯れても同じ場所から再び次の芽を出す植物の姿は、生命力の象徴とみなされました。花を供えることは、故人の新生・成仏・転生の願いの表れとも考えられています。

花でつながる故人と私たち

私たちは亡くなった方々と話すことはできません。姿や形も見えません。しかし、そこに彼らがいるかのように、お墓や仏壇に花を捧げて祈ることで、その存在をあらためて感じることができます。作法にのっとって、故人のために手をかけるのは、私たち自身の心を慰めることにつながるのです。お墓参りの際は、仏花をどうかお忘れなく。時には故人を思い出しながら、菊ではないものを選んでみるのも良いでしょう。

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