お役立ちコラム お墓の色々

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お盆に飾る蓮の花とお墓の関係は?お盆のお供えは何にする?

供養・埋葬・風習コラム

お盆に飾る蓮の花とお墓の関係は?お盆のお供えは何にする?

だんだんと梅雨明けが近づき、夏の暑さを感じる季節となってきました。

梅雨明けごろは、全国的に蓮の花が見ごろとなります。蓮の花というと、お盆のお供えをはじめ、仏式の葬儀などで用いられる不祝儀(香典袋)や喪中ハガキの絵柄、お墓や位牌のデザインなど、仏教や供養のイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

今回は、蓮の花と仏教やお墓との関係や、蓮の花に込められた意味とともに、お盆のお供えについても合わせてご紹介していきます。

「蓮の花」と、仏教やお墓との関係

仏教と蓮の花の関係

仏教において蓮の花は、睡蓮(すいれん)とともに「蓮華(れんげ)」と称され、仏様が座る蓮華座、仏式のお墓や仏壇・位牌の装飾、仏事に関わる道具の絵柄やお菓子のモチーフなどとして至る所で用いられています。これは、蓮や睡蓮が、仏教における最上の花と考えられているためです。

蓮や睡蓮は、泥の中に根付いて水面には綺麗な花を咲かせます。「蓮は泥より出でて泥に染まらず」といった言葉もあるように、泥の中にありながらまっすぐに茎を伸ばし美しく咲く姿が、煩悩にあふれた俗世に染まらず清らかに美しく生きること(悟りを開くこと)を目指す仏教の教えに通じるとして、昔から大切にされてきました。蓮は仏教の発祥地インドの国花にもなっています。
さらに、「蓮華はお釈迦様の誕生を告げて花を開いた」「極楽浄土には4種類の蓮が咲く」との言い伝えもあります。こうしたことから、蓮の花や睡蓮は、仏教における最上の花として、仏教や悟りの世界を象徴する花となっているのです。

お墓の「蓮華台」の意味

お墓の中には、「○○家之墓」などの彫刻がされている棹石の下に、蓮の花びらを模った台座が設置されているものがあり、この蓮華型の台座を「蓮華台(れんげだい)」または「蓮華」と言います。

仏教において蓮華の上に乗っている様子は、
煩悩にまみれたこの世を抜け出て、汚れのない悟りの世界に至っていることの証と考えられています。仏様が蓮華に乗っている絵画や像を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
日本で古くに建てられた供養塔にも、台座に蓮の花の模様が施されたものが多く残されていますが、故人やご先祖さまが無事に成仏し、極楽浄土で安らかに暮らしていけるようにという祈りを込めて、故人の魂が宿るとされる棹石の下に、悟りを開き極楽浄土へ行ったことを表す蓮華台を置くようになったようです。

なお、蓮華台を簡略化し、座布団のような形にしたものを「スリン」と呼び、蓮華台よりもシンプルにしたいという場合に設置する方もいらっしゃいます。

お墓の構造については、こちらの記事で詳しく解説しています。
お墓の一番上にある竿石・棹石・仏石ってなに?お墓の構造を種類とあわせてご紹介します

お盆の「最上のお迎え」とも言われる蓮の花

ここまでにご紹介してきたように仏教の象徴とされる蓮の花は、昔からお盆のお供えや儀式にも多く用いられてきました。花をお供えするのはもちろん、蓮の花をモチーフにしたお菓子をお供えしたり、蓮の葉をお供えに用いたりすることもあります。

お盆は、先祖の霊を家に迎えて供養する行事です。お盆に蓮を用いるのは、蓮の花7月末から8月頃というお盆の時期に見頃となることから、「最上の花で故人をお迎えする」という意味があるとも言われています。

迎え火や送り火の際、蓮の葉に溜めた水で火を消す、もち米を蒸したものを蓮の葉包みお供えする、供え物を蓮の葉に乗せて墓前や仏前に供えるなどの風習が残る地域もあるようです。

蓮ってどんな植物?睡蓮との違いは?

蓮の特徴

蓮は、水底に根と地下茎を伸ばし、水面まで茎や葉を伸ばして花を咲かせる水生植物です。ご存知ない方も多いのですが、この地下茎部分が、野菜でおなじみの「レンコン(蓮根)」です。レンコンとして食べられるのは食用の品種のみですが、同じ蓮の一種として綺麗な花を咲かせます。

蓮の開花時期は、梅雨明けの7月後半頃から8月中旬頃まで。色は、白、ピンク、黄色の3種類があり、グラデーションになっているものもあります。花が開くのは午前中のみで、午後には閉じ、これを4日ほど繰り返すと花びらは散って芯の部分が残ります。

葉の表面は、水を弾き、その水が流れ落ちる時には汚れなどを絡めていくという特殊な構造になっており、濡れたり汚れたりすることがありません。このような姿も、蓮の美しく清らかなイメージに繋がっているかもしれません。

蓮(ハス)と睡蓮(スイレン)の違い

見た目がよく似ており名前にも「蓮」という漢字が使われていることから、同じ種類のように思われがちな蓮と睡蓮ですが、蓮はハス科ハス属、睡蓮はスイレン科スイレン属と、実は全く別の種類の植物で、見た目にも違いがあります。

蓮は、水面から高く伸びた茎の先に花を咲かせます。葉も花と同じように水面より高い位置にあり、表面には艶がありません。

一方の睡蓮は、水面近くで花を咲かせます。葉は水面に浮くようについており、表面には光沢があり大きく切れ込みが入っています。蓮と似ていて、日が登ると開花し夕方に眠るように閉じることから、「眠る蓮」という意味で「睡蓮」と名付けられたようです。

蓮の花言葉

蓮の花言葉は、「清らかな心」「休養」「神聖」「救済」「救ってください」「沈着」「雄弁」「離れゆく愛」です。

中でも、「清らかな心」は泥の中から美しい花を咲かせる姿から、「休養」は規則正しく咲き夕方には休むように花を閉じる様子から、「神聖」はお釈迦さまの誕生に関わり極楽浄土に咲く花とされていることから、付けられた花言葉と言われています。
また「救ってください(救済を求める)」は、悟りの世界へ連れて行ってほしいというお釈迦様に向けた願いが由来のようです。

花言葉の中にも、その美しさや仏教とのつながりを感じさせるものがあります。このような意味を知って蓮の花をお供えすることで、亡くなった方が安らかに眠れるようにと祈る気持ちをより一層感じられ、お供えする側の気持ちも清らかに整っていきそうです。

お盆の花は蓮で決まり!他には何をお供えする?

最後に、蓮の花以外のお盆におすすめの花、お盆のお墓参りでお供えするべきものについてご紹介します。

お盆におすすめの花

蓮の花の他に、お盆の時期に咲き「盆花」「精霊花」とも呼ばれる「ミソハギ」や、先祖の霊が帰ってくる際の目印となる提灯に見立ててお供えされる「ホオズキ」、日本人に昔から馴染みがある「リンドウ」も、お盆のお供えとしてよく知られています。また「クルクマ」も色や咲き方が蓮の花に似ていることから、蓮の花の代わりに用いられることが増えているようです。

その他、夏に咲き日持ちも良い、トルコキキョウ、ケイトウ、グラジオラスなども、お墓参りの定番と言われる菊などと合わせて、お供えによく用いられています。

花の他には何をお供えする?

仏教のお供え物は、「お香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」の「五供(ごくう)」が基本とされています。
お墓参りの際にも、ここまでにご紹介した花の他に、お香にあたる線香、灯燭にあたるろうそく、お墓のお清めやご先祖さまの飲み物となる水、お菓子などの食べ物を持参し、マナーを守ってお参りするようにしましょう。

お墓参りの持ち物については、こちらの記事をご覧ください。
お墓参りに何を持っていくとよいの?お供え物・道具・お手入れ用品に分けて持ち物をご紹介します

まとめ

蓮の花と仏教やお墓との関係と共に、お盆に蓮の花をお供えする理由や、その他お盆にお供えするものについてご紹介してきました。
蓮の花は、美しく生きようとする人々の心に寄り添い、大切な人が亡くなった後も安らかに暮らしていくことを祈る花として、昔から多くの人に親しまれ、大切にされてきました。
花だけでなく、その絵柄もさまざまな場面で使われています。蓮の清らかで神秘的な姿は、生命の神秘にも繋がり、いつの時代も人の心を捉えるのかもしれません。

全国各地には、蓮の名所となっている公園や、蓮を植えている寺院がたくさんあります。見頃となる梅雨明けには、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

お墓にゆかりのある花や、お墓参りにおすすめの季節の花について他にもまとめていますので、合わせてご覧ください。
花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花【夏の花編】
花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花【春の花編】
お墓と桜の関係は?花言葉から探す追悼や悲しみをあらわす春の花

夏のお墓参り、お盆のお墓参りの準備には、こちらの記事を参考になさってください。
お盆にお墓参りをするべき理由と必要なものとは
夏のお墓参りの注意点〜熱中症への備えと気をつけるべきポイント〜