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仲間の死を悼む動物たち~ゾウ編

供養・埋葬・風習コラム

仲間の死を悼む動物たち~ゾウ編

人間にとっての「死」は、単に亡くなった故人の生死の問題だけでなく、周囲に対して大きな悲しみと、取り残された感覚を与えてしまいます。そのため故人の安息を祈り、生きている人の悲しみを慰め、前に進む力を見い出すために「葬儀」や「供養」を行います。
では人間以外の動物たちは「死」をどう受け止めているのでしょうか?

私たちが生活する中で動物との触れ合いは切っても切れないものです。その動物たちは実際どうなのでしょうか?
今回は「仲間の死を悼む動物たち」ということでゾウを紹介します。

動物たちにとっての「死」

動物には感情があるのでしょうか?人間とは異なる動物たちの感情を知るのは困難で、有識者の間でもその意見が分かれています。
ある学者は「言葉を扱うことが人間と動物の境目であり、社会性の高さこそが人間の特徴だ」と主張しています。しかしコミュニティを持つ動物は少なからず存在します。人間に最も近い霊長類などがその代表格ですが、他にもいろんな動物がコミュニティを持ち、その中で優劣を決め、共に暮らしています。そしてその中でも「仲間の死を悼む」という行為をする動物がいるといいます。
イルカやキリン、猫など、野生あるいは飼育下にある様々な動物が「仲間の死を悼んでいる」としか思えない行動を示す例が数多く報告されています。動物の「感情」を客観的に調べるのは非常に困難ですが、動物たちにも「他者の死を深く悲しむという人間で見られるような特性を垣間見ることができる」と考えられます。

ゾウの知性

世界に生息するゾウはアフリカゾウとアジアゾウの2つに分類されます。ゾウの寿命は60年程度で、小ゾウは女系の群れで育てられます。またゾウはイルカのように周波数10Hzあたりの超低周波を使って仲間と会話すると言われています。基本的におよそ10㎞圏内の仲間に向けて周波を出しますが、青天時や深夜などの特定の条件下では最大100㎞あたり先の仲間と意思疎通ができるといいます。

周波以外にも、耳や鼻などの身振りや鼻の絡め合い、ひづめから出る化学物質のにおいなどを使用して複雑なコミュニケーションを取っているとされています。
ゾウの知能はとても高く、鏡を見て自身の姿を認知できるそうです。

ゾウは仲間を弔う

ゾウは、仲間の死を悲しんでいると思わせる行動を取ることで知られています。
仲間のゾウが死んだとき死骸に関心を示して亡くなったゾウを引き寄せようとしたり、立たせようと試みたり、身体を揺すったりします。
めったにない行動ですが、死骸の周りの土を掘り返しその土を残された体の上に置くゾウや、茂みの枝を折ったり草をむしってそれを死骸に被せる象もいたそうです。
またリーダーのゾウが亡くなった時は、死亡から1週間、ゾウたちがやってきては同じように確かめて列を作っていたそうです。
牙を切り離し、それを数キロまで持ち運ぶと言う行動も報告されています。
このような事実からゾウも仲間の死を悼み、死を仲間と分かち合っているかのように思えます。

ゾウは人の死も理解する

ゾウが弔うのはゾウ同士だけではありません。南アフリカのズールーランドに「トゥラ・トゥラ」と言う野生動物の保護を目的とした私設の動物保護区を設立した「ローレンス・アンソニー」と言う男性は、野生のゾウの群れを保護しながら暮らしていました。最初は反抗したゾウたちも、ローレンスの献身的なお世話や問いかけにより次第に心を通じ合わせるようになっていき、互いに愛情を深めていきました。その後国際的な自然環境保護活動団体「The Earth Organization」を設立。ローレンスは戦争中の国からゾウを救出するなど、献身的にゾウの保護に尽力しました。
2012年、心臓発作によりローレンスは亡くなります。その後どうやって彼の死を知ったのか、ローレンスが世話したゾウたちのリーダーが仲間を率いて、およそ20㎞の道のりを超え、ローレンスの家に集まり一列になって家を囲みました。合計31頭のゾウが2日もの間飲み食いせず、家の前に並んで佇んで、そして荘厳な空気を残し帰っていったそうです。

まとめ

このように、ゾウは死の意味を理解し、仲間以外にお世話をしてくれた人間をも弔うと考えられます。
人間と動物、言葉も通じないし見た目も違いますが、仲間の死を悼むと言う気持ちは共通しているのかも知れません。
ただ「 墓標に名を刻み記憶に残す」という行為は人間だけが行う特別な儀式です。 供養とよばれる行為が子々孫々に渡り受け継がれ形作られてきたもの、それが墓石です。
私たち日本人はお墓を偲ぶ場所であるとともに亡くなった家族やご先祖様と繋がりを持つ場所としても、大切にしてきました。ご先祖さまに感謝し自分のルーツを大切にすることは、その先に生まれた自分自身も大切にするということです。そして、感謝し大切にすることは、ありがたさや豊かさを感じるということでもあり、幸せにも繋がっていきます。
ご先祖様とつながり、自分の存在を大切にできるようになるお墓文化。その文化と供養の心を次の世代まで受け継いでいきたいものですね。
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