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花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花【春の花編】

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花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花【春の花編】

お墓参りのお供えとして欠かせない花。お墓にお供えする花には、場を清め参拝する人の心を穏やかにする、供養の気持ちを表す、仏様を美しくお飾りするなどの意味が込められています。

よく用いられるのは、仏花の定番と言える菊や百合などですが、季節の花や故人が好きだった花をお供えするのも良いとされています。中には、「供養の気持ちを表現するのに良い花が他にもないの?」と探している方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、「花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花」ということで、追悼や悲しみを表す花言葉を持つ花を中心に、気持ちに寄り添う、春のお墓参りにおすすめの花をご紹介していきます。

追悼や悲しみの花言葉をもつ春の花

カーネーション

母の日の定番となっているカーネーション。花持ちがよいこともあり、お供えにもよく使われる花です。開花の時期は4月〜6月ですが、秋に返り咲く種類もあります。

花言葉は「純粋な愛情」ですが、色によっても分かれており、よく出回る色では、赤は「母への愛」、ピンクは「感謝」「女性の愛」、白は「亡き母を偲ぶ」とされています。
そのため、母親が亡くなった際には白いカーネーションをお供えすることも多く、両親への仏花として人気のようです。四十九日までは白い花をお供えし、その後はピンクや赤をお供えするのも良いでしょう。

キンセンカ

オレンジや黄色の明るい花で、開花の時期は3月〜5月中旬頃です。キク科のキンセンカは、花持ちも良いため、お墓のお供えにもよく使われます。

花の明るい印象や、日当たりの良い場所に咲き、日の出とともに開花し日没時に一部の花弁が閉じる性質から、「太陽の花嫁」とも称されるキンセンカですが、花言葉に、「別れの悲しみ」「寂しさ」などがあります。ギリシャ神話に出てくる太陽神アポロンの恋にまつわる話が由来となっているようです。大切な人を失った悲しみに寄り添いつつ、太陽のような明るさで周りを照らし、お墓を彩ってくれるでしょう。

スターチス

カラフルな色合いと、茎先に小さな花を房のように咲かせる姿が特徴的で、ドライフラワーにもよく使われます。開花の時期は4〜7月頃ですが、ほぼ通年出回っているようです。色の種類が多い上に、少ない水分でも枯れづらいという点でも、お墓にお供えする花として人気があります。

花言葉には、「変わらぬ心」、「途絶えぬ記憶」などがあります。「いつまでも忘れずに思っている」という気持ちを伝える意味で、お供えされることも多いようです。

アリウム・ギガンチウム

長い茎先に、無数の小さな星型の花がボールのように丸く集まって咲く姿が印象的な花で、花葱(はなねぎ)とも呼ばれています。開花の時期は5〜6月頃とされ、花の形から、飾った時の雰囲気に変化が生まれることでも喜ばれます。

花言葉には、花姿がさみしく佇むようにも見えることから、「深い悲しみ」「無限の悲しみ」があり、悲しみに寄り添ってくれる花としてお供えに選ばれることもあります。一方で、ボール状に咲く花にちなんで、「円満」「優しい」といった花言葉もあるため、故人の人柄に合わせて選んでも良いかもしれません。

ライラック

枝先に小さな花を穂のように咲かせる花で、開花の時期は4〜6月頃です。花持ちが良いので、お供えなど切花に適していると言えます。また、小さな花が密集して咲き、春らしく華やかな雰囲気を感じられるため、お供え用の造花にもよく用いられています。

ライラックの花言葉には「友情」「思い出」「謙虚」「純潔」など、人間関係の深い絆や心の純粋さを象徴するものがあります。故人との思い出や、仲の良かった友人との関係を大切にする意味でお供えするのも良いでしょう。

その他の春のお墓参りにおすすめの花

追悼や悲しみといった花言葉はありませんが、お墓へのお供え、仏花として、春によく選ばれる花についても紹介します。

牡丹(ぼたん)

大きな花びらが何層にも重なった美しい花を咲かせる牡丹は、「立てば芍薬、座れば牡丹…」との言葉もあるように、美の象徴として昔から親しまれてきた花で、お供えにもよく用いられます。上品な雰囲気や、日本人の文化に根付いている花ということからも、供養という大切な場面に飾る花として選ばれてきたのかもしれません。ちなみに、春を代表する花ということで、春に仏前にもよくお供えされる「ぼたもち」の語源であるとも言われています。

マーガレット

上を向いて大きく開く花が可愛らしい印象のマーガレット。開花の時期は11〜5月頃と長く、キク科で花持ちが良いため、お墓のお供えとしても人気があります。種類が多く色や形も様々なので、雰囲気や好みに合わせて選ぶのも良さそうです。

ストック

冬から春にかけて咲くストックは、茎先に小さい花が穂のように咲く、ボリュームのある花です。色が豊富で花持ちも良く、お墓のお供えとしても人気があります。白には「思いやり」、紫には「おおらかな愛情」という花言葉もあるため、故人への気持ちを込めて選ぶのも良いでしょう。

アイリス

アイリスは、春の終わりから初夏にかけて咲くアヤメ科の植物の総称で、アヤメやハナショウブ、カキツバタなどがあります。色や佇まいに和の雰囲気があり、色が鮮やかで花持ちが良いことから、お墓のお供えに選ばれることも少なくありません。「希望」「信じる心」「メッセージ」などの花言葉もあり、故人とのつながりを感じさせてくれそうです。

桜や梅

日本中で親しまれている春の代表的な花に、桜や梅があります。いわゆる「草花」ではない、木に咲く花ではありますが、これらもお墓にお供えすることができます。特に桜は、「慰霊」「鎮魂」といった意味でも、各地に植えられており、桜の名所となっている霊園があるほどです。

桜や梅をお墓に供えする際に配慮することや、お墓と桜の関係についてまとめた記事もありますので、よろしければ合わせてご覧ください。
【あり?なし?】桜や梅の花をお墓にお供えしてもいいの?
お墓と桜の関係は?花言葉から探す追悼や悲しみをあらわす春の花

お供えにはタブーとされている春の花

お墓にお供えする花は、故人の好みや季節に合わせて比較的自由に選ぶことができますが、中には、相応しくないとされ避けた方が良い花もあります。棘や毒がある花、ツル状の花、香りが強すぎる花、縁起が悪いと言われる花などです。

「故人が特に好きだった」ということであれば、絶対にダメということはありませんが、お墓の場合、周りの迷惑になってしまう可能性もあります。
棘などを取り除いた上で、お参りの時間だけお供えしてすぐに持ち帰る、お墓へのお供えは控えて仏壇などに飾るなど、周囲に配慮すると良いでしょう。

春に注意した方が良いとされる花を紹介しておきます。

毒のある花

「チューリップ」「スズラン」「スイセン」などは、春を代表する花として人気がありますが、実は、花や茎、葉、球根などに毒を持っています。鑑賞する分には特に問題ないのですが、誤って口にすると危険であり、人によっては直接触れると皮膚炎を起こすことがあるため、お墓のお供えには適さないとされています。

また、同様に毒のある花に、「ヒヤシンス」があります。花言葉に「悲しみを超えた愛」「悲しみ」「悲哀」などがあり、悲しみに寄り添う花とも言えますが、どうしてもお墓にお供えしたいという強い理由がある場合を除いては、仏壇に留めるなど配慮するほうが良いでしょう。

棘のある花

バラも春に咲く種類の多く人気ですが、棘があることでお供えには相応しくないとされています。

白い花には「冥福を祈る」という意味があり、特に白いバラは、葬儀の際に「亡くなった後も愛しています」という意味合いを持つとされています。そのため、参列者の手に触れないお供えのアレンジメントとして用いることもありますが、お墓参りの際には避ける方が良いでしょう。

ツル状の花

春から咲き始め庭を彩る花として人気の「クロマチス」も、ツル状の植物ということでお供えには向かないとされています。

ツル状の植物は生命力が強く、そのままにするとツルが伸び、周囲に巻き付いてしまう可能性があります。また、ツルが絡みつく様子が成仏できないことを連想させることから、縁起が悪いと感じる人もいるため、お墓へのお供えは控える方が良いでしょう。

まとめ

暖かさが戻り、多くの植物が芽吹き花を咲かせる春は、1年の中でも、色とりどりの多種多様な花を楽しめる季節と言えます。咲き誇る花々は、季節の巡りやあふれる生命力とともに、途切れず巡る命のあり方も感じさせてくれます。

花を楽しむというと不謹慎に感じるかもしれませんが、故人やご先祖さまを思いながら花を選ぶこと、お墓に足を運んで心を込めて花を供えることは、その行為自体が供養になるとともに、お墓にお参りする私たちの心も清らかにしてくれます。

春は、お墓参りがしやすい季節でもあります。時には巡る季節を感じながら、故人の人柄や、自身の気持ちを表す花をお墓に手向け、故人と過ごした日々に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

お墓に花を供える意味や、マナー、花選びについては、他の記事でも解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。
なぜ?お墓に花を供える理由とは?
お墓に菊をお供えするのはなぜ?
樒(しきみ・しきび)と榊(さかき)の違い〜樒をお供えする意味や使われ方を紹介します〜