お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
【あり?なし?】桜や梅の花をお墓にお供えしてもいいの?
お墓参りに「花(供花)」は欠かせません。その定番といえば、菊や季節の花です。他にも、キンセンカ、リンドウ、ユリ、カーネーションがよく選ばれています。
これらの植物は草本植物、「草」にあたります。では、桜や梅といった木本植物、「木」の花を供えても構わないのでしょうか。春のお彼岸の頃は、地方によっては桜の時期にあたりますので、一度は考えた方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、供花のしきたり・ルールをもとにその是非を解説します。
供花のしきたり — 避けたほうがいい花とは? —
「桜や梅の花をお供えしてもいいのか」。そもそも、それは誰が判断するのでしょうか。仏教の教えでしょうか?それとも、墓地の管理者でしょうか?
仏教の教えに「この花じゃなくてはダメ!」「この花はNG!」といった決めごとは、実はありません。また、墓地の規約で供花のあれこれが決められているというケースも極めて稀でしょう。ですから、桜や梅の花がいいかどうかは、仏教の教えではなく「伝統的な風習」を参考にするのが良いでしょう。
以下の植物は、供花として避けるべきものと考えられています。
①トゲのある植物
バラやアザミといったトゲのある植物は、ふさわしくないとされています。
トゲには攻撃性を感じますし、お墓参りに来られた方や枯れた花を片付けようとした霊園の管理者の方がケガをしてしまう恐れがあるからです。
②毒を持つ植物
スズラン、ヒガンバナ、スイセンといった毒を持つ植物も避けるべきです。「毒」のイメージから、健康を害したり亡くなることを連想したりする方もいらっしゃるからです。マナーとして避けた方がよいでしょう。
③香りの強い植物
ヤマユリなどの香りの強い植物は「虫を寄せ付けやすい」という特徴があります。虫が苦手な方はたくさんいらっしゃいます(蜂やアブなどの刺す虫は特に)。お墓参りに来た方に不快な思いをさせてしまうかもしれませんので、避けるのが無難です。
④縁起が悪いとされる花
桜のように花弁が一枚ずつ落ちるのではなく、房ごと“ぼとっ”と落ちるツバキやサザンカ。その有り様は「首が落ちる様子」と重ねられ、「縁起が悪いもの」と見なされることもあります。実際に「病気のお見舞いにNGな花」の代表格であり、お墓に供えるのにも適していない花と考えられます。
⑤花粉が飛びやすい花
墓石にとって、花粉は落ちにくい汚れのひとつです。放置すると、石の表面にこびりついたりシミになったりする可能性があります。しつこい花粉の代表的な花は、ユリです。その堂々とした姿にはファンも多く、彫刻として墓石に刻まれていることもありますが、実のところ、ユリの生花は供花には適していません。
*「避けるべき花」は、宗派やその地域のしきたりなどによって異なる場合もあります。また、ユリやバラは愛好家も多いものです。故人の好きな花を供えることは、ご供養として好ましいものですので、一概にNGというわけではありません。怪我の危険のあるバラも、トゲを切り落とせば心配はありません。花粉の多いユリも、こまめにお墓を掃除すれば問題ありません。お墓参りで最も大切なのは「故人やご先祖様への感謝の気持ち・偲ぶ想い」です。こうした花々をひと手間かけてお供えすることは、立派なご供養と言えるでしょう。
結論・桜や梅の花は…
前項を参考にすると、桜や梅は「トゲ」があるわけではないですし、「毒」があるわけでもありません。「香り」も強くありませんし、「縁起は良いもの」です。「花粉」も特別多いわけではありません。
結論を申し上げますと、桜や梅といった木の花を供えることに問題はありません。ただし、配慮が必要な面も少しあります。次項では、一応気にしておくべき点をご説明します。
桜や梅を供える場合の注意点
本項では、トラブルを防ぐために気に留めておくべき点をご紹介します。
「枝を折った!?」と勘違いされてしまうかも…
桜や梅の枝は、時期になると花屋で売っています。これらを購入してお供えすれば、何も問題はありません。ただし…桜や梅を敷地内に植樹している墓地・霊園もあります。周りでお墓参りしている人・後からお墓参りする人に「墓地・霊園の木の枝を折ったの!?」と誤解されてしまうケースもあるかもしれません。悲しいことですが、ちゃんと購入したもの(もしくは自宅で採ったもの・所有者の許可を得て採ったもの)であれば恥ずべきことはありません。何か言われたら落ち着いて説明しましょう。
*誤解されるのが心配な方は、プリザーブドフラワーやハーバリウムの桜を飾るという手もあります。珍しい方法ではありますが、禁止されているわけではありません。
お参りが終わったら「その日のうちに持って帰る」のがおすすめ
桜や梅などの木本は、花が落ちたらただの枝になってしまいます。花立に枝が刺さっていたら殺風景で悲しい印象になりますし、後からお参りにいらした方が「なんだこれ?」と思うかもしれません。お墓参りが終わったら持ち帰ることを推奨します。
ご家族・ご親戚の意見にも耳を傾けて
供花といえば、仏花(菊)を中心に揃えるのが一般的です。そのため、桜や梅といった「木の花」をお供えすることに違和感を覚えたり抵抗を感じたりする方が、ご家族・ご親戚にいらっしゃるかもしれません。その場合、「故人は桜が大好きだったから」「いつもと違う花を供えて、故人を楽しませたいから」など、あなたの想いを丁寧に説明しましょう。
桜も梅も問題なし!
供花として避けるべき花を参考に、桜や梅といった「木の花」を供えるのが問題ないことを解説いたしました。次回の春のお彼岸は、普段お供えしている仏花から気分を変えて、桜の花をご用意してみてはいかがでしょうか(「注意点」にはご配慮ください)。あなたもきっと、いつもとはまた違った気持ちでお墓参りができるはずです。
供花におすすめの花、詳しい供え方はこちらの記事でご紹介
◆お彼岸に供える花の選び方 菊じゃなくても大丈夫