お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

沖縄でお墓を建てるのによいとされる「ユンヂチ」とは?

供養・埋葬・風習コラム

沖縄でお墓を建てるのによいとされる「ユンヂチ」とは?

一般にお墓を建てる時期には決まりはないとされていますが、沖縄にはお墓の新築やリフォーム、ひいては改葬や墓じまいにもよいとされている時期があります。それが「ユンヂチ」です。「ユンヂチ」は仏壇や仏具を新調するにもよいとされています。2023年は「ユンヂチ」に当たります。そこで今回はこの「ユンヂチ」をご紹介します。

ユンヂチとは

旧暦の閏月(うるうづき)のことを沖縄の方言では「ユンヂチ」または「ウルヂチ」といいます。近年では閏月のある1年を指して「ユンヂチ」ということも多くあります。

私たちが現在、使っている暦(新暦)にもうるう年はありますが、新暦のうるう年と旧暦のうるう年は異なるものです。
新暦のうるう年は4年に1回、通年28日までの2月が1日増えて29日になり、1年が366日になる年のことをいいます。それに対して、旧暦のうるう年はおおよそ3年(33か月)に1回、同じ月が繰り返されて1年が13か月(384日前後)になるので、その年をうるう年としています。

新暦は「太陽暦」で太陽の動きをもとにつくられた暦です。新暦では地球が太陽の周りを1周するのにかかる期間を1年としています。
しかし、実際に太陽が一周するのにかかる期間は365.25日と端数が出ます。そのため、平年を365日にし、端数の部分が1日分積み重なる4年に1回、2月を1日増やして調整しています。

一方、旧暦は「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」で月の満ち欠けと中国でつくられた四季や気候で1年を分ける24節気が基準となっている暦です。
旧暦では新月から次の新月までを1か月とし、これを12回で1年としています。新月から次の新月までは約29.53日と端数があるため、29日と30日の月を交互にして平年は1年を354日としています。旧暦は新暦に比べて11日短いのです。

また、旧暦のベースとなっている月の動きは太陽の動きと違って気候と連動していないために、季節とのずれがでてきてしまいます。それを防ぐために24節気を用いておおむね3年に1度、同じ月を繰り返して1年を13か月とし、実際の季節と暦がずれないように調整していました。沖縄ではこの繰り返されるひと月を閏月(ユンヂチ)といいます。

日常生活に「旧暦」がとけこむ沖縄

現在の日本で公式に使われているのは新暦です。沖縄でももちろん、新暦を使って生活しています。しかし、沖縄の日常生活、特に行事ごとには「旧暦」もとけこんでいます。

沖縄では毎月、旧暦の1日と15日には各家庭の台所にまつっている「火の神(ヒヌカン)」、ご先祖の位牌「トートーメー」にお供えをして、手を合わせます。また、お墓参りの行事「晴明祭(シーミー)」、あの世の正月「十六日(ジュウルクニチー)」も旧暦で行われますし、お盆も旧暦の旧盆で行われます。お正月は通常、新暦で行われますが、旧暦でのお正月「旧正月」も盛大に祝う地方もあります。

このため、「カレンダーには旧暦も載っていないと不便」という人も多く、旧暦が併記されている手帳も人気があります。

旧暦で行われている沖縄の先祖供養の行事についての記事もあります。
現世沖縄の先祖供養の行事① あの世のお正月「十六日」
沖縄の祖先供養の行事② お墓で賑やかに。ご先祖と楽しむ「晴明祭」

沖縄ではユンヂチがお墓を建築や仏壇・仏具の新調によいとされています

沖縄ではユンヂチはお墓を建てたり、リフォームしたりするのによいとされ、仏壇・仏具の新調にも適しているとされています。そのため、ユンヂチの年にはテレビやラジオでお墓や仏壇・仏具のコマーシャルが増えます。

一方、沖縄以外の地域ではうるう年(新暦)にこれらを避ける傾向があるそうです。
旧暦を使用していた昔は武士などの給金は年払いで支払われることが多く、うるう年は12か月分の給料で13か月を過ごさなくてはいけませんでした。そのため、節約する必要があり、うるう年にお墓を建てたり、仏壇・仏具の新調をしたりするのは避けていました。また、同じ月を繰り返すことから、「月が重なる」ひいては「悪いことも重なる」と考えられていました。これらの名残で現在の新暦でもうるう年にはお墓を建てたり、仏壇・仏具を新しくしたりするのを避ける地域もあります。

お墓を建てる時期についての記事もあります。
お墓を建てる時期に決まりはあるの?期限や避ける時期は?
生前墓(寿陵)についてメリットや注意点を解説

ユンヂチがお墓を建てたり仏壇・仏具を新調したりするのにいいとされる訳

なぜ、ユンヂチがお墓を建てたり仏壇・仏具を新しくしたりするのに最適とされているのでしょうか。それはユンヂチが神様の目が届かない「ヒーナシ(日無し)」とされているからです。

通常であれば、お墓の新築や仏壇、仏具の新調の際には日取りをユタや易者などに相談して決めないといけないとされています。しかし、ユンヂチは神様にとって日が無い「ヒーナシ(日無し)」とされ、吉凶の判断をする対象にはならないため、ユンヂチの間はお墓の新築などをいつ行っても差しさわりがないとされています。

本来であれば、ユンヂチは「閏月」の1か月間です。しかし、近年では旧暦のうるう年であれば1年を通してお墓の新築やリフォーム、改葬や墓じまい、また、仏壇・仏具の新調、買い替えによいとされる傾向があります。

まとめ

今回は沖縄でお墓の建築や仏壇・仏具の新調によいとされている時期「ユンヂチ」についてご紹介しました。
沖縄では旧暦のうるう年「ユンヂチ」はお墓を建てたり仏壇・仏具を新調したりするのによいとされますが、昔の習慣の名残で現在の新暦のうるう年でもこれらを避けた方がよいとする地域もあります。

このように、お墓や仏壇・仏具にまつわる習慣は地域で異なることもあります。お墓や仏壇・仏具などの新調などをお考えであれば、まずは信頼できるお近くの専門店に相談してみてはいかがでしょうか。お住まいの地域の習慣も踏まえたアドバイスがもらえるはずです。

本サイトでも信頼できる全国の石材店をご紹介しています。お墓を建てたい、リフォームしたい、または墓じまいや改葬をお考えであればぜひ、参考になさってください。
墓石店を探す