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沖縄の位牌「トートーメー」とは?歴史や特徴などを解説します。

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沖縄の位牌「トートーメー」とは?歴史や特徴などを解説します。

ご先祖を信仰する「先祖崇拝」が息づく沖縄。ご先祖の位牌「トートーメー」はその先祖崇拝のシンボルともいえる存在です。沖縄の仏壇の中心にはトートーメーが置かれ、家の守り神として大切にされています。今回はこの「トートーメー」について解説します。

トートーメーとは

トートーメーは沖縄では「位牌」を指す言葉です。「尊い方」を意味する言葉「尊御前(トートーメー)」が由来といわれています。また、「お月様」のことも「トートーメー」といいます。「位牌」は「イフェー」ともいいますが、「尊い方」を意味する「トートーメー」と呼ばれていることからも、位牌がいかに大切なもの、尊いものとされているかが伝わってきます。

沖縄ではご先祖の魂はトートーメーに宿り、トートーメーに宿ったご先祖は子孫を見守ってくださると信じられています。そのため、トートーメーはお墓と同様に大事にされています。トートーメーがある家では毎月旧暦の1日、15日(もしくは毎朝)にはお茶をお供えし、手を合わせます。

トートーメーの歴史

沖縄でトートーメー(位牌)を通じて先祖供養するようになったのは15~16世紀からのようです。はじめは首里・那覇の士族階級がトートーメーをつくるようになり、その後、庶民へと広がったとみられます。庶民がトートーメーをつくるようになったのは明治以降が多いと思われます。

位牌を通じて先祖供養をする風習の発祥は中国だといわれています。沖縄に「位牌(トートーメー)」が入ってきたのは中国福建省から移住してきた人たちの住む「久米村」から広まったのと、日本本土から伝わった臨済宗を通して伝わった2つのルートからのようです。

トートーメーの特徴と継承のルール

他府県の位牌は1人1つが基本ですが、トートーメーは他府県の位牌と比べても大きく、幾人もの名前が刻まれています。
トートーメーには戒名と名前(俗名)、死亡年月日や享年を書く札がはめ込めるようになっています。トートーメーは屋根のある家のような形をしており、上の段と下の段があります。上の段に夫、下の段に妻の札を入れていき、夫婦は同じ列に並ぶようにします。札は5、7、9枚のいずれかで、亡くなった順に右から札を並べていきます。
一代につきひと組の夫婦の名前のみが刻まれて、長男が代々引き継ぐ決まりになっており、次男、三男が亡くなった際には新しいトートーメーをつくることになります。

他府県では婿養子が位牌を継ぐこともありますが、トートーメーは父系の男子しか継げない決まりになっています。また、女子はトートーメーを継ぐことができません。これらの決まりはトートーメーの継承を難しくしており、課題となっています。また、財産の相続ともからんで問題になることもあります。

沖縄ではご先祖は神になる

トートーメーがいっぱいになり、押し出される形となったご先祖は名前と我をなくし、祖霊の一部となって子孫を守る神になると考えられています。神となったご先祖は神棚(ウタナー)を設けてまつられます。

沖縄の家・仏壇の中心はトートーメー

沖縄の伝統的な家の間取りでは仏壇のある部屋は決まっています。表側に3つの部屋があり、その真ん中の「二番座」に仏壇が置かれるのが基本です。現在でも家の中心の部屋に仏壇を置くことが多いようです。

そして、トートーメーは仏壇の真ん中に置かれます。沖縄の仏壇にはご本尊はなく、トートーメーが中心に置かれます。歴史がある旧家などでトートーメーが2つ以上ある時は、古い順に右側から並べます。

沖縄の仏壇は大きく、3段あります。1段目に一対のロウソクと香炉、2段目の中央に水とお酒の杯、その両脇には仏飯椀、両端に一対のお茶を入れたお椀を台座付きで置きます。1番上の3段目の中央にトートーメー、両脇に花瓶が配されます。

また、仏壇の手前にも物が置けるようになっていて、お中元、お歳暮を仏壇の前に置いてご先祖にお供えするので、お盆・お正月の仏壇はにぎやかになります。
沖縄ではお盆と同様にお正月にもご先祖様にお供え物をして手を合わせる習慣があります。

他府県の位牌と仏壇について書いた記事もあります。興味のある方はこちらもどうぞ。
お墓と仏壇の気になる関係性

まとめ

今回は沖縄の位牌「トートーメー」をご紹介しました。
沖縄ではご先祖は神となり子孫を守ってくれると信じられており、ご先祖の名前が刻まれた位牌「トートーメー」にはご先祖の魂が宿るとされています。そのため、トートーメーは家の中心、仏壇の中心にまつられて大切にされています。

トートーメーは長男が継ぐのが理想とされ、父系の男子しか継げないというルールがありますが、少子化などもあり、最近では昔から決められている通りにトートーメーを継承するのは難しくなっています。継承に課題はありますが、沖縄県が行った意識調査では県民のほとんどが「誰が継いでもよい」と考えています。時代の流れに適応しながら、これからもご先祖を大切にする気持ちとともにトートーメーも引き継がれていくでしょう。