お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
「お彼岸団子」とは?ぼたもちでもおはぎでもないお彼岸のお菓子
ぼたもちとおはぎは、どちらも餅をあんこで包んだ食べ物で、よく似ています。「ぼたもちはもち米で、おはぎはうるち米」「ぼたもちは粒あんで、おはぎはこしあん」といった微妙な違いもありますが、一番の違いは「お供えする時期」です。ぼたもちは春に咲く牡丹が名前の由来で春のお彼岸にお供えします。おはぎは萩の花の頃、秋のお彼岸にお供えするものです。
ぼたもちやおはぎをお供えするのはお彼岸を代表する風習ですが、実は他にもお彼岸を代表するお供え物があるのです。
そのお供え物とは「お彼岸団子」。地域やご家庭によってはぼたもちやおはぎのように、お彼岸に欠かせないお供えものとして用意されています。本記事では、そんなお彼岸団子についてご紹介します。
お彼岸団子ってどんなお団子?
名前の通り、お彼岸の頃に仏壇やお墓にお供えするお団子のことを指します。材料はとてもシンプルで「上新粉」と「塩」の2つだけ。少量のお湯で溶きながらこねて、丸く成形。最後は蒸し上げて作ります。地域やご家庭によって多少違いはあるかもしれませんが、「十五夜のお月見団子」とほぼ同じものです。
ご家庭や地域によってぼたもち・おはぎをお供えするか、お彼岸団子をお供えするかは異なります。「お彼岸団子なんて初めて知った!」という方もいらっしゃるかと思います。また、「ぼたもちまたはおはぎ+お彼岸団子もお供えする」というご家庭もある様子。
お彼岸の時期が近づくとスーパーや和菓子屋に並んでいることもあるので、「なんでお団子?」と、気になっていた方もいらっしゃるかもしれません。
お彼岸団子はいつお供えするの?
地域やご家庭によって異なる場合がありますが、一般的には、お彼岸の初日と最終日にお供えすることが多いようです。
お彼岸の初日とは、春分・秋分の日の3日前を指します。2023年春のお彼岸の場合は、3月18日土曜日です。この時にお供えする団子は「(お彼岸の)入り団子」と呼ばれます。お彼岸最終日は春分・秋分の日の3日後を指します。2023年春のお彼岸の場合は、3月24日を指します。こちらは「(お彼岸の)明け団子」と呼ばれます。
「彼岸入りか明けのどちらか1日だけ」「入り・明け両日お供えする」「中日(春分・秋分の日)だけお供えする」など、お彼岸団子をお供えする時期には、地域や家庭によって複数の習慣があるようです。
ちなみに、ぼたもち・おはぎは中日にお供えするのが一般的なので、お彼岸団子とはお供えの仕方も異なっています。
ぼたもち・おはぎをお供えするのとは意味が異なるの?
ぼたもち・おはぎをお供えする理由は諸説ありますが、そのひとつに「小豆の赤色に邪気を払う効果がある」というものがあります。しかし、お彼岸団子には小豆は使われていません。「じゃあ、なんでお団子を?」と疑問に思われるかもしれませんが、お団子をお供えするのにはまた別の意味合いがあるのです。
お彼岸は、「ご先祖様の住むあの世」と「私たちの住むこの世」が最も近づく日という考え方をもとに、お墓参りやご供養の適期とされています。ご先祖様がこの世に近づきやすい日なのです。このような時期にお彼岸団子をお供えすることは、以下のような意味合いを持ちます。
・遠路はるばるこの世までいらしたご先祖様に一休みしてもらうため(入り団子)
・無事あの世へお戻りになれるように願っていることを表現するため(空け団子)
・ご先祖様への感謝や敬意を表すため
・この世のものを一緒に食べることでご先祖様との繋がりを強く感じるため
お彼岸は、ご先祖様とのつながりをあらためて実感するための行事といえるでしょう。
ちなみに、お供え後のお団子は、食べてしまってもご供養に問題はありません。むしろ、ご先祖様と食べ物を分け合う行為として薦められています。ただし、お彼岸団子には味が付いていないので、きなこや砂糖などお好みで味付けをしてから頂きましょう。
その他、お彼岸団子の豆知識
お彼岸団子の飾り方は?
明確な決まりがあるわけではありませんが、お皿の上にピラミッドのような三角形に飾られることが多いようです。団子の下には半紙を敷くことも。こちらもお月見団子に似ていますね。
お供えする数は?
こちらも明確な決まりはありません。一例として、いくつかの例とその由来をご紹介します。
6個
仏教には死後に生まれ変わる「六道」という世界があります。それにちなんで6個をお供えするという考え方です。また仏教には仏様の境地に至るための「六波羅蜜」という修行もあります。6という数字は仏教と縁の深いものなのです。
7個
先ほどの「六道で6個」という発想をもとに、「六道の輪廻転生を抜けて極楽浄土へ」という意味で「6+1」で7個をお供えしている地域やご家庭もあるそうです。
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その他、初七日から三回忌までの10の節目にちなんで10個、十三仏信仰にちなんで13個、四十九日にちなんで49個をお供えするところもあります。
今年のお彼岸はお団子を作ってみては?
おはぎやぼたもちを自分で作るのは少々骨が折れますが、お彼岸団子は材料がシンプル。料理が苦手な方、忙しい方でも気軽に取り組むことが可能です。今年のお彼岸はぜひお団子づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。故人やご先祖様のために手を掛けて準備をすることで、また違った気持ちでお彼岸を過ごせると思います。
良いお彼岸をお迎えください。
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