お役立ちコラム お墓の色々

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【国指定重要文化財】宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅ゆかりの3つのお墓「豊見親墓」

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【国指定重要文化財】宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅ゆかりの3つのお墓「豊見親墓」

日本国内の建造物や工芸品などで歴史上、芸術上の価値が高いもの、学術上の価値が高いものは文化財保護法によって重要文化財に指定され、保護されています。

お墓の中にも国や自治体の重要指定文化財に指定されているものがあり、お墓を引き継いできたご子孫や地域の人たちに大切に守られてきました。

今回はその中から、沖縄県宮古島にある「豊見親墓(とぅゆみやばか)」をご紹介します。
「豊見親墓」は宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅(なかそねとぅゆみやげんが)ゆかりの3つのお墓で3つの墓で構成され国指定重要文化財に指定されています。

仲宗根豊見親玄雅とは

仲宗根豊見親玄雅(なかそねとぅゆみやげんが)は16世紀前半に宮古島を統治していた人物です。子供の頃から才能非凡と評判の人物であったと伝わります。

琉球王国を尚真王(しょうしんおう)が治めていた1500年、八重山の豪族オヤケアカハチが首里の王府に従わなかったとして討伐軍が派遣された際に玄雅は先陣を務め、オヤケアカハチを倒しています。
また、宮古各地の支配者らと協力し合って井戸を掘り飲料水を確保しました。ほかにも、道路を整備したほか、納税の制度を定めて税を管理する役所「蔵元(くらもと)」を設置しています。これらの業績で、玄雅は宮古でもっとも有名な英雄となりました。

「豊見親(とぅゆみや)」は宮古の支配者を指す敬称で支配者の中でも特に優れた人物を「豊見親」と呼んだそうです。
玄雅の子孫からは要職につく者が多く出て、宮古の名門として栄えました。

玄雅が仕えた尚真王がつくった「玉陵(たまうどぅん」の記事もあります。
世界遺産「玉陵」名君・尚真王が築いた歴代琉球国王の墓

「豊見親墓(とぅゆみやばか)」とは

玄雅ゆかりの3つの墓「仲宗根豊見親(なかそねとぅゆみや)の墓」、「知利真良豊見親(ちりまらとぅみや)の墓」「あとんま墓」の3つのお墓で構成されています。1993年に国指定重要文化財に指定されました。

【国指定重要文化財】宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅ゆかりの3つのお墓「豊見親墓」

仲宗根豊見親の墓(なかそねとぅゆみやのはか)

玄雅の父・真誉之子豊見親(まゆぬふぁとぅゆみや)を弔うために玄雅によってつくられたお墓です。玄雅と玄雅の子孫(忠導氏・ちゅうどううじ)も葬られています。
宮古独特の平地式「ミャーカ」(巨大な石造りの石室を巨石で囲った風葬墓地)と沖縄本島の亀甲墓に代表される「横穴式」の中間形式のお墓で、琉球王府と宮古の交流をうかがわせます。

お墓の前面は琉球石灰岩の切石で13段の階段状になっており、当時の石工技術を知ることができます。お墓の上部には7本の石柱があり、墓庭には井戸があります。
石室は沖縄本島のお墓と同様に大きく、風葬のために遺体を安置する場所と洗骨後の骨を納める厨子を納める場所に分かれています。

仲宗根豊見親の墓へのアクセス

住所:〒906-0006 沖縄県宮古島市平良西仲宗根3−4

宮古空港から車で約10分、平良港・マリンターミナルから徒歩で約10分。

知利真良豊見親の墓(ちりまらとぅゆみやのはか)

【国指定重要文化財】宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅ゆかりの3つのお墓「豊見親墓」
仲宗根豊見親の墓に隣接して建つ玄雅の三男・知利真良豊見親と一族のお墓です。知利真良豊見親は首里の王府から八重山の頭職に任命され、善政を行って功績をあげた人物です。このお墓は知利真良豊見親の子孫が1750年頃、つくったとされています。

知利真良豊見親の墓も仲宗根豊見親の墓と同様に「ミャーカ」と「横穴式」の中間形式のお墓で、宮古のお墓の変遷を知る手がかりとなっています。

お墓の前面は2段の石垣でできており、石室の上部に6本の石柱が立っています。

知利真良豊見親墓へのアクセス

住所:〒906-0006 沖縄県宮古島市平良西仲宗根2

宮古空港から車で15分、平良港マリンターミナルから徒歩で約10分

あとんま墓

玄雅の子孫・忠導氏の側室「あとんま」が葬られているお墓です。岩盤を掘り込み、切石と組み合わせてつくられており、いつ建造されたかは分かっていません。当時の風習で本妻と同じ墓に葬ることができなかった「あとんま」を弔ったとみられます。

あとんま墓へのアクセス

住所:〒906-0006 沖縄県宮古島市平良西仲宗根3−4

宮古空港から車で15分、平良港マリンターミナルから徒歩で約10分

日本各地には重要文化財に指定されている石仏や石塔もあります。関心のある方はこちらの記事もどうぞ。
一度は見ておきたい重要文化財シリーズ・奈良の旅編・その7

まとめ

今回は沖縄県宮古島にある国指定重要文化財「豊見親墓」をご紹介しました。
「豊見親墓」は宮古の英雄・仲宗根豊見親玄雅ゆかりの3つのお墓です。
この3つのお墓は入口に沖縄の伝統的家屋で外部からの目隠しと魔除けのために設けられている屏風のような壁「ひんぷん」があり、お墓の石室の上部に石柱が並んでいます。祭祀の時には石柱のへこみに木材をのせてお墓を屋根で覆うことができます。この構造はほかの地域では見られない貴重なものです。

旅行などで宮古島に行く機会があれば、この独特な形状と迫力を合わせ持つ「豊見親墓」に足を運び、宮古の歴史や3つのお墓を大切に継承してきた地域の人々の思いに触れてみてはいかがでしょうか。