お役立ちコラム お墓の色々

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沖縄のお墓について解説します!種類や特徴、その歴史

墓地・墓石コラム

沖縄のお墓について解説します!種類や特徴、その歴史

かつて中国や日本、アジアの国々と交易し独特の文化を育んだ沖縄。お墓も他府県のお墓とは大きく違います。ニュースで沖縄のお墓参りの様子を見聞きしたり、観光などで訪れた際にふと見かけたりして独特なお墓の形や大きさに驚かれた方もいるのではないでしょうか。今回は沖縄のお墓について解説します。

沖縄のお墓の種類

まずは沖縄の墓の種類をご紹介します。
現在、よく見るのは破風墓(はふばか)と亀甲墓(かめこうばか)です。
ほかに宮古・八重山では平地に石を積み上げた石積墓(宮古ではミャーカと呼ばれる)があるほか、自然の洞くつを覆ったもの、斜面や崖に横穴を掘った掘込墓(フインチャー)もあります。

破風墓、亀甲墓は琉球王国時代、庶民がつくることは禁じられていました。庶民が破風墓、亀甲墓をつくるようになったのは1872年の廃藩置県後です。

破風墓

破風とは屋根の側面の造形を指し、破風墓はその名の通り三角の屋根がついたお墓です。琉球王国時代は王族のみに許された形のお墓でした。破風墓で有名なのは王家のお墓「玉陵」(たまうどぅん)です。玉陵のように崖や斜面を利用して屋根をつけ、装飾を加えたもののほか、平地にコンクリートや石材を使って建てられたものもあります。

亀甲墓

屋根が丸みを帯びた亀の甲羅のような形をしているお墓で「きっこうばか」とも呼ばれています。屋根の形を妊娠している女性のお腹に見立てて「母体をかたどったお墓」とする説もあります。人は死ぬと再び胎内に戻るという思想があったようです。
亀甲墓は中国の影響を受けており、台湾、中国福建省などでもよく似た形のお墓が見られるそうです。

現存する最大・最古の破風墓で琉球王国王家のお墓「玉陵」について書いた記事もあります。気になる方はこちらもどうぞ。
世界遺産「玉陵」名君・尚真王が築いた歴代琉球国王の墓

沖縄のお墓の所有形態

現在は他府県と同じように家族墓が主流になっていますが、父系親族の集まり「門中(むんちゅー)」や仲間同士で一定のお金を積み立てる「模合(もあい)」のグループでお墓を共有することもありました。

村墓

同じ集落に住む人たち共同のお墓。現在はあまり利用されず、神墓として「神御晴明(カミウシーミー)に拝まれることが多いようです。

門中墓(ムンチューバカ)

父系親族の複数の家族で共有するお墓です。集落の父系親族の集団が一体となった規模の大きなものから、兄弟の複数の家族が共同で使うものまで大きさはさまざまです。

家族墓

家族単位のお墓です。首里・那覇では琉球王国時代から採用されていました。明治・大正時代に沖縄全体に普及し、最近は沖縄でも家族墓が主流になっています。

模合墓(ムエーバカ)

沖縄では模合が盛んに行われていて、一部ではありますが、友人・知人など気の合ったもの同士がお金を出し合ってつくったお墓もあります。

沖縄のお墓のつくりと特徴

沖縄のお墓のつくりと特徴は「大きさ」。そして庭や屋根があり「家」のようなつくりをしていることです。

沖縄のお墓のつくり

破風墓、亀甲墓の違いは屋根の形ですが、屋根の形が違ってもお墓のつくりはほぼ同じです。

沖縄ではお墓は「永遠の住み家」とされ、家の形をしていて、屋根、墓室、墓庭があります。
庭の入口には門があり、墓庭は石垣やコンクリートの壁などで囲われています。
また、墓室と呼ばれる石室があり、小さくても大人ひとり入れるくらいの広さがあります。
墓室には風葬のために遺体を安置する場所があり、その奥にお骨が入っている厨子を安置する場所が設けられています。厨子を安置する場所は階段状になっていて、厨子は亡くなったばかりの人を手前(下)に、古いものは奥(上)に並べます。
お墓がいっぱいにならないよう、33年忌を過ぎたお骨を厨子から出して合葬する場所もあります。

沖縄のお墓の特徴

沖縄のお墓の特徴として挙げられるのはその大きさではないでしょうか。沖縄のお墓が大きいのは風葬、洗骨の風習のためです。お墓には風葬で遺体を安置する場所、厨子を納める場所が必要とされました。加えて、洗骨後にお骨を納める厨子も他府県の骨壺に比べると大きく、スペースを必要とします。

また、複数の家族で使うために一定の大きさが必要だったことも沖縄のお墓が大きくなった理由のひとつでしょう。

墓庭があるのも沖縄のお墓の特徴といえます。沖縄には親戚一同でお墓参りをする習慣「シーミー(晴明祭)」、「ジュールクニチー(十六日)」があります。最近では昔と違い家族墓が増え、火葬が一般的になり、風葬は行われなくなったためにお墓は小さくなっていますが、墓庭のスペースは取ってあるお墓が多いです。高齢者や足の不自由な人のために墓庭にベンチがついているお墓もあります。

まとめ

今回は沖縄のお墓の種類や特徴についてご紹介しました。
沖縄ではかつて、遺体をいったん墓室に安置する風葬の後、数年後に骨を洗い清めてから葬る洗骨の習慣があったために他府県のお墓に比べて大きいのが特徴です。また、沖縄ではお墓は「永遠の住み家」とされ、屋根や庭があり、まるで家のようなつくりになっています。親戚一同でお墓参りする行事「ジュールクニチー(十六日)」や「シーミー(晴明祭)」があるのも関係しているのかもしれません。

沖縄の人にとってお墓は親戚一同が集いご先祖様と語らう場所であり、「永遠の住み家」でもあります。決して寂しい場所ではなく、一族みんなでご先祖様に思いをはせ、元気をもらえる温かな場所でもあるのです。沖縄に旅行などで行かれる機会がありましたら、沖縄特有のお墓にも目を向け、ご先祖様を大切にする文化にも触れてみてはいかがでしょうか。

沖縄のお墓参りの行事「ジュールクニチー(十六日)」についての記事もあります。
現世沖縄の先祖供養の行事① あの世のお正月「十六日」