お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
お墓のレンタル(サブスク)とは?月額制で借りるメリット・デメリットなどを解説

近年、樹木葬や納骨堂など供養の仕方も多様化しています。しかし、「やっぱり昔ながらの墓石があるお墓で眠りたい」「大切な人には墓石のあるお墓でゆっくり眠ってほしい」と思っている人もいるのではないでしょうか。
しかしお墓を建てると、自分の死後も長い間管理してくれる人を見つける必要があるため、「自分には難しい」と悩んでいる人もいるかもしれません。
そういった人のために、近年レンタル型のお墓が登場し、注目されるようになっています。
そこで今回はレンタル墓のメリットとデメリット、永代供養との違い、費用の目安などについて解説します。
レンタル墓(サブスク墓)とは?
契約時に利用できる期間を定めた上で、建てて使うお墓のことです。有期限墓地や期限付き墓地、期限付き墓石とも呼ばれ、メディアでは「お墓のサブスク」として紹介されることもあります。
従来型のお墓は建てたあとは子供や孫に受け継ぎ、自分たちで末永く管理を続けるというスタイルでした。一方、レンタル墓は契約時に10年など借りる年数を決めて建て、レンタル期間終了後は墓地・墓石を返却して、遺骨を永代供養してもらう契約が主流です。
従来型のお墓が欲しくても、子供や孫の代まで管理の手間をかけさせることには抵抗があるといったケースで役立ちます。
仕組みは永代供養付きの個人墓に近いものの、レンタル墓は「お墓のサブスク」とも呼ばれるように、月額制でわかりやすい料金プランもあるなど今風にアレンジされているのが特徴です。
お寺や霊園、お墓のレンタルサービスに特化した業者などでサービスが提供されています。
なお、すでに墓地の場所は確保しており、墓石をこれから建てる予定の人向けに、墓石だけを借りられるサービスも存在するようです。
レンタル墓と永代供養はどう違う?
近年人気の永代供養は、遺骨をお墓や納骨堂に納めたり、合祀したりするなどして、遺族に代わってお寺や霊園の側で管理・供養してくれる仕組みです。
お墓は不要だと思う人や、子供や家族がいない、またはお墓のことで手間をかけさせたくない人に選ばれています。
ただし遺骨の保管方法や保管場所の形態など、永代供養の具体的な中身は多種多様です。お墓の形も、必ずしも墓石のあるタイプとは限りません。
例えば、コインロッカーのような納骨堂に、遺骨を納めた骨壺を安置する形で永代供養を行うタイプや、見知らぬ人の遺骨と合わせて祀る合祀タイプなどもあります。
コインロッカータイプの納骨堂や合祀タイプの供養方法は、墓石のあるお墓を持つより費用が安く済むため、お墓は不要と考える人にとっては便利だと捉えられています。しかし中には、こうした供養の方法に抵抗感がある人もいるでしょう。
「自分たちが元気な間はできるだけ墓参りをしたい。でも跡継ぎもいないし、自分たちでお墓参りをすることも難しくなってきたら永代供養を検討したい」「子供たちが元気な間は、自分たち夫婦のお墓参りをしてほしい。子供たちが年を取ってお墓参りが負担になるようだったら合祀になってもいい」と考えているなら、レンタル墓を利用し、レンタル期間が終わったら合祀タイプの永代供養にしてもらうのも選択肢の一つです。
永代供養については、下記のページで詳しく解説しています。
レンタル墓のメリット
自分たちのお墓を持てる安心感だけでなく、従来型のお墓では解決が難しかった費用面での安心感もあります。
費用がわかりやすい
従来型のお墓を建てる場合、墓石の種類やデザイン、お墓を建てる場所などさまざまな要素によって費用が大きく変わります。そのため、自分が建てたいお墓の値段がいくらになるのか、把握するには時間がかかります。
一方、ある程度墓石の種類やデザインが決められているレンタル墓などの場合は、初期費用(墓石代など)と、建てたあとにかかる月額利用料(管理費など)で構成されているのが主流です。
お墓関係の費用があらかじめ明確になっているほうが安心できるという人には大きなメリットとなります。
従来のようなお墓参りができる
レンタル墓は墓石のある個別のお墓を持てるため、お盆やお彼岸には、昔と同じような感覚でお墓参りができます。
永代供養の納骨堂や集合型のお墓では、お墓参り自体はできても、お供え物に制限がつくなど、自分たちが望むお墓参りができない場合があります。
レンタル墓なら自分たちのお墓の前で、故人が好きだったものをお供えし、ゆっくりと手を合わせる時間を持つことが可能です。
お墓の継承に悩まなくていい
レンタル期間が終了したあとは、墓石の撤去、合祀などをしてもらえます。お墓を受け継ぐ人がいなくなっても、自分たちのお墓が放置される心配をしなくて済みます。
お墓のデザインを選べる
業者によっては、お墓のデザインや墓石に刻む文字を選べるプランも用意されています。
自分たちで選んだお墓を建てることで、「我が家のお墓がここにある」という安心感を得られるでしょう。
レンタル墓のデメリット
従来型のお墓とは違う分、注意点もよく理解した上で利用を検討しましょう。
対応しているお寺や霊園が限られる
レンタル墓は、どこのお寺や霊園でも建てられるわけではありません。レンタル墓を提供しているお寺や、レンタル墓業者が指定する霊園にお墓を建てることが一般的です。
お墓を建てるからには、お墓参りのしやすさや景観にもこだわりたいという人もいるでしょう。しかし、希望する場所がレンタル墓に対応しているとは限らないことには注意が必要です。
契約前にレンタル期間終了後のことも考慮が必要
お墓のレンタル期間は、5年や10年など、比較的短い期間が主流です。
レンタル期間終了後は、契約を更新して今のお墓を使い続ける、墓石を撤去して遺骨は永代供養してもらう(墓じまいする)、お墓を別の場所を引っ越すなどの選択肢があります。
ただし墓じまいをする場合、永代供養の料金などは別途発生するケースもあります。またレンタル期間を更新したい場合、更新できる年数に上限がないかもチェックが必要です。
レンタル期間が終了したあとのことまで考えた上で契約する業者などを選びましょう。
長期間利用するなら割高になる可能性がある
このあとの項目「費用の目安」で詳しく解説していますが、20年や30年などの長い期間利用するなら、レンタル墓は一般的なお墓を建てるよりも割高になる可能性があります。
もし長期間利用する可能性があるなら、一般的なお墓を建て、のちに墓じまいした場合にかかる費用との比較もしたほうがよいでしょう。
レンタル終了後に合祀したら遺骨は取り出せない
レンタル墓を利用している間は、遺骨は自分たちのお墓にあるため、必要ならお墓から遺骨を取り出すことも可能です。
しかしレンタル終了後に遺骨を合祀して永代供養してもらうことを選んだ場合、故人の遺骨を取り出すことはできなくなります。本当にこの選択でいいのかどうかは慎重に考えましょう。
費用の目安
業者によって費用やサービス内容の違いが大きいためあくまで一例ですが、シンプルなデザインの墓石をレンタルする場合、初期費用20~30万円、月額利用料3000~4000円程度から利用可能です。10年利用した場合、60~80万円以内が目安となります。
レンタル終了後の永代供養料については別料金となっている業者が多いようです。
3年、5年など、より短期間のレンタルが可能な業者もあります。レンタル期間を短くするほど支払総額は安くなりますが、月額費用や初期費用が10年プランに比べ割高になる点は考慮しましょう。また月額ではなく年額で契約するところや、初期費用がかからないところなど、料金プランは業者ごとの違いが大きいため、十分な確認が必要です。
一般的なお墓を新しく建てる場合、子供や孫の代まで20年、30年と受け継ぐ前提もあり、敷地による違いはあっても平均80万~100万円以上の予算は見込む必要があります。10年以内の限られた短い間だけ利用したいようなケースでは、レンタル墓のほうが安くなることが多いようです。
自分の価値観に合ったお墓の選択を
レンタル墓を利用すれば、家族が管理できる間だけ従来型のお墓を持ち、そのあとはお寺で永代供養してもらうといった方法が可能です。
お墓を持つか持たないか、どうやって管理していくかについてはメディアでもさまざまな情報があふれ、どれを選ぶべきか迷うときもあるかもしれません。しかし「やっぱり墓石のあるお墓で眠りたい」「お盆には家族が眠るお墓の前で手を合わせたい」と思うあなたの気持ちを大切にしてください。
人々のライフスタイルに合わせてお墓の多様化が進んでいますが、どのタイプにもメリットとデメリットが存在します。今回紹介したレンタル墓も短い期間であれば安くなることが多いものの、長期間利用するなら車や家電などほかのレンタル・サブスクサービスと同じように最初から購入するよりも支払額が多くなってしまうでしょう。
新しいサービスを含めたさまざまな選択肢を十分に検討して、自分たちのライフスタイルにあった、自分も家族もよかったと思える選択をしましょう。
下記のページではさまざまなお墓の種類について解説しています。