お役立ちコラム お墓の色々

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お墓が地震で崩れてしまったら…お墓の地震対策

墓地・墓石コラム

お墓が地震で崩れてしまったら…お墓の地震対策

世界で発生しているマグニチュード6以上の地震の約2割が日本周辺で発生するなど日本は地震大国です。地震が起こると住宅などはもちろんですが、お墓も大きな被害を受けます。
今回は、地震の被害から大切なお墓をどのようにして守っていくのか、また地震にあった時はどのように対応したら良いのか、それぞれ見ていきましょう。

お墓が地震にあった時は…

自分の家のお墓が地震にあった時は、たとえお墓が倒れたり壊れたりしていなくても、絶対に触れないようにしましょう。なぜなら以下のような可能性が考えられるためです。

・地震でズレた墓石が触れることによって倒れ、ケガをする恐れがある。
・見えない所にヒビが入っている可能性があり、墓石がさらに損傷する可能性がある。
・余震でお墓が倒れたり壊れたりし、ケガをする恐れがある。

お墓が倒壊したり損傷した場合の対応は、その状況によって異なります。以下で見ていきましょう。

ご自身の墓所内で墓石が倒れた場合、墓石が損傷した場合

墓石が地震の被害を受けた時は、施工してもらった石材店に相談しましょう。
例えば、墓石が倒れただけで損傷がない場合は、元に戻す作業で済みます。一方、倒れた時に墓石が割れたり、ヒビが入ったりするなど損傷がひどい場合は、修繕や建て替えとなる場合もあります。施工時の不具合が墓石にあった場合を除いては、修繕費は必要となりますのであらかじめ認識しておきましょう。
いずれの場合でも、自分で判断したりせずに、現状を石材店に見てもらうことが大切です。

自分の家の墓石が倒れて、隣のお墓を損傷させてしまった時は…

例えば、地震によりAさんの家の墓石が倒れて、隣のBさんのお墓を損傷させてしまった場合は、原則としてその修繕費をAさんが支払うことになります。ただし、地震の規模が大きいなど不可抗力による損傷の可能性も考えられますので、まずは自らの墓石に保険や保証があるのかを確認し、専門家に相談するようにしましょう。

お墓の地震対策

日本は地震が多く発生することもあり、災害自体を無くすことは難しいですが、あらかじめ災害に備えておくことはできます。どのような備えができるか見ていきましょう。

耐震/免震施工のお墓にする

地震のニュース映像等でお墓が倒壊している様子が流れることがありますが、そのほとんどは実は古いお墓です。近年建てられたお墓は高性能のボンドなどによる耐震施工がされており、ほとんど倒壊していません。

建ててから10年以上経過しているお墓は、耐震や免震施工を行わずに建てられた可能性があります。まずは自分の家のお墓を確認し、地震対策がされていない場合はその対策を検討されてみてはいかがでしょうか。

地震対策には耐震と免震があります。その違いは次の通りです。

〇耐震
耐震工法は、揺れに耐えるための施工法です。
墓石の耐震の方法としては、以下のようなものがあります。

▶耐震一体墓工法
日本のお墓でよくみられる和形墓石は、下台・中台・竿石の順に積み木のように重ねられた造りになっています。その中でも特に古いお墓は、石を積み重ねただけのものが多く、その場合地震の揺れに耐えられず、縦長の竿石は一番最初に倒れてしまいます。
耐震一体墓工法は、一つの石から下台・中台・竿石を造ることで、下から上までがつながり、強い揺れに耐えられるようになります。また、下にいくほど広がっているので重心も安定します。

▶耐震ピン工法
耐震ピン工法は、墓石同士をつなぎ合わせるために、両方の墓石に穴をあけて、そこにダボと呼ばれる金属の棒を差し込み石を連結させる工法です。
差し込むダボの本数は、墓石の中心に1本の場合や、墓石の周りに複数差し込む場合があります。いずれも表からは見えないので、墓石の外観が変わることはありません。

▶耐震基礎工事
住宅やマンションなどの建物と同様に、地盤に杭を打ち込んで鉄筋コンクリートの土台を造ります。耐震効果がとても高く、長期間に渡って地震からお墓を守ってくれるというメリットはありますが、ただ、工事前には地盤調査と墓地管理者への事前許可が必要です。また、工事全体の費用も他の工法と比べ高くなります。


〇免震
免震工法は、地震の力を分散させるための施工法です。
耐震工法と比べると、免震工法は比較的工期も短く、費用も抑えられるので、近年では免震工法を採用される方が増えています。

▶接着材工法
接着剤工法は、下台・中台・竿石とそれぞれの接合部に接着剤をつけて、強固に固める工法です。すでに建っているお墓に対して施工することができます。

▶ゲル工法
夏の炎天下から冬の雪でも、特性に変化が少ないシリコンゲルを下台・中台・竿石の接合面の四隅にはさんでいく工法です。耐熱、耐寒に優れています。
シリコンゲルはシート状のものが使われることが多く、適度な荷重で変形します。墓石を安定させる金属と、ゴムでできているダブルクッションプレートを併用することで、免震能力がより増します。

あらかじめ耐震面から霊園を選ぶ

例えば、家を建てるために土地を探す際は、いろいろな土地をご覧になり、比べてみて、検討されることと思います。その検討内容は「水害の心配はないか」「地盤は弱くないか」といったことではないでしょうか。
お墓を建てる場合も同じです。お墓を建てる土地探しがまず重要になってきます。費用や時間はかかりますが、お墓を建てる地盤の状況を調べてみるのも選択肢の1つです。また、手間のかからない方法として1つ挙げられるのが、近隣の石材店に相談してみることです。長年の経験の基づいた意見をもらえることもあり、良いお墓を建てたいと願うあなたの強い味方になるでしょう。

地震に備えて、大切なお墓をいつまでも

日本は地震大国ですが、その対策は年々進化してきています。お近くの石材店や専門家に相談すれば、あなたにとって最善の方法が見つかるかもしれません。お墓で眠るご先祖様や、将来お墓を守ることになる子や孫の世代のことを考え、安心してお参りできる地震に備えたお墓を検討してみてはいかがでしょうか。