お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

競馬の名馬たちにお墓はある?代表的な墓所、お墓参りのマナーについて解説します

墓地・墓石コラム

人と深く関わってきた動物たちの中には、その生涯を終えたあとも、多くの人の記憶に残り、大切に供養されている存在がいます。

午(うま)年にあたる今年(2026年)、馬という存在にあらためて目を向ける機会が増えています。

実在する競走馬のエピソードをもとに制作され、世界的な人気を博しているアニメ・ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』や、2025年にTBS系列で放送された、競馬の世界を舞台にした連続ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』も、その一因といえるでしょう。これらをきっかけに、競走馬の生涯や、人と競走馬との関わりにあらためて関心が集まっています。

ドラマでは、人と馬との絆や、引退後の馬の姿も描かれていました。レースで活躍する姿を見守り、応援してきた馬がその生涯を終えたとき、「花を手向けたい」「手を合わせに行きたい」と感じる方もいるでしょう。また、作品を通して知った“推し”のモチーフとなった名馬のお墓参りをしてみたい、と思う方もいるかもしれません。

では、多くの人に感動を与えてくれた競馬界の名馬たちには、お墓があるのでしょうか。どこに、どのような形で供養されているのでしょう。

今回は、名馬のお墓や供養のあり方、代表的な墓所、そしてお参りの際に心がけたいマナーについて解説していきます。

名馬のお墓

名馬にもお墓があるの?

競馬に出場している競走馬にも、お墓や供養の場があります。

お墓とは、人々の想いをカタチにしたもの。競走馬のお墓も、その形は一つではなく、馬とともに歩んできた人々や、それを見守ってきた人々の想いによって、さまざまです。

競走馬に限らず馬を育ててきた牧場では昔から、亡くなった馬を弔うため、敷地の一角に「馬頭観音(ばとうかんのん)」を祀り石碑や供養塔を建てているところが多くあります。また、数々の功績を残した名馬については、馬主や牧場などの意向により、生まれ育った故郷の牧場や、引退後に過ごした牧場に、個別のお墓が建てられることもあります。とくに、競走馬の繁殖牧場が数多く集まる北海道には、名馬のお墓が多数残されています。

お墓には遺灰や遺骨を埋葬することが多いですが、馬頭観音を本尊とする寺院では、遺灰や遺骨の代わりに、たてがみや蹄鉄(ていてつ)、手綱などを納めて供養している場合もあります。

さらに競馬場でも、レース中や厩舎で命を落とした競走馬を弔うために、馬頭観音や馬霊塔などの供養塔、名馬の名前が刻まれた石碑が建てられているところがあり、花や人参を手向け、静かに手を合わせるファンの姿が見られます。

亡くなった競走馬の火葬や埋葬はどのように行われる?

競走馬が亡くなった場合、法律や自治体の条例に則り、都道府県からの許可が降りた施設(牧場を含む)において、火葬、もしくは土葬されることが基本とされています。体が大きな馬の火葬には大型炉が必要となるため、対応できる施設は限られていますが、近年は火葬可能な施設も増えているようです。

また、一部の牧場では、引退後の馬を支援してきた会員や、関わりの深いファンも、葬儀に参列できる場合があるようです。供花やお供え物を受け入れ、馬とともに埋葬したり、馬房に飾ったりといったかたちで弔われています。

供養の想い

レースを通して見てきたその馬の性格や生き様に、特別な想いを寄せるファンも多くいます。また、その生涯を見守る関係者にとっても、馬は家族のようなかけがえのない存在です。

「きちんと弔いたい」「功績を讃えたい」「ファンとのつながりを大切にしたい」

そうした想いから、競走馬たちのお墓や供養の場が大切に守られています。

名馬のお墓、墓石の種類は?

名馬のお墓の多くは、横長で背が低い洋型のつくりで、人のお墓と同じ御影石が用いられています。

竿石と呼ばれる、人のお墓では家名などが入る一番上の部分には、馬の名前や没年月日のほか、生年月日や出生地、毛色、父馬と母馬の名前、戦績や受賞歴、馬へのメッセージが刻まれているものも多く、馬の姿がレリーフとして刻まれることもあります。また、お墓によっては、戦績や受賞歴などを墓誌に刻んで、設置しているところもあります。

代表的な、名馬の墓所、お墓参りスポットを紹介

ここでは、日本国内の名馬の墓所となっている場所のなかから、いくつかのスポットと、そこに眠る代表的な名馬についてご紹介します。

優駿(ゆうしゅん)メモリアルパーク/北海道新冠(にいかっぷ)町

種牡馬(しゅぼば/優秀な子を残すために飼育されている雄馬)を繋養している牧場「優駿スタリオンステーション」に隣接し、「芦毛の怪物」とも呼ばれたオグリキャップの功績を讃える優駿記念館や墓碑のほか、競走馬として、また強い競走馬を産む親馬として活躍した、新冠(にいかっぷ)にゆかりのある名馬が眠る施設です。

ここに眠る主な名馬

  • オグリキャップ
  • ナリタブライアン
  • マヤノトップガン 他

社台(しゃだい)スタリオンステーション/北海道勇払(ゆうふつ)郡安平(あびら)町

日本を代表する種牡馬繁養牧場です。パリで行われる世界最高峰のレース凱旋門賞で2年連続2着という成績を残したことで知られるオルフェーブルも、種牡馬として過ごしており、ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』のロケ地にもなりました。敷地内の高台には、ここで亡くなった馬が埋葬され、中には一般展示期間中に訪問可能な名馬の墓所もあります。

ここに眠る主な名馬

  • トウカイテイオー
  • ディープインパクト
  • クロフネ 他

東京競馬場(通称:府中競馬場)馬霊塔/東京都府中市

競走馬の供養のために建てられた馬霊塔があり、その左右には、「幻の名馬」とも呼ばれるトキノミノルをはじめ往年の名馬の墓碑が十数基並んでいます。東京競馬の開催期間中は、各厩舎から奉納された赤や白ののぼりが立ち並び、名馬を偲んで、またレースの無事を祈って手を合わせるファンも少なくありません。

ここに眠る主な名馬

  • トキノミノル
  • トキノセフト
  • フェアマンナ 他

妙光院/神戸市中央区

馬たちが埋葬されている墓所ではありませんが、日本最大級の馬頭観世音菩薩を祀る動物愛護の寺院として知られ、境内にある愛馬供養塔には多くの名馬のたてがみが奉納され供養されています。

亡くなった動物の供養のほか、動物の健康長寿などを祈願して、多くの競馬・乗馬の関係者やファン、動物に関わる職業の方、動物愛護者などが足を運んでいるようです。

ここで供養されている主な名馬

  • サイレンススズカ
  • テンポイント
  • ライスシャワー 他

その他の競走馬の墓所

ここまでに紹介した場所のほか、牧場では、ノーザンホースパーク(北海道苫小牧市)や桜舞馬公園(オウマイホースパーク/北海道新ひだか町)なども、多くの名馬のお墓がある牧場としてよく知られています。また、京都競馬場や阪神競馬場にも馬頭観音が祀られており、定期的に法要や慰霊祭が執り行われています。

名馬の墓所にお参りするときの注意点・マナー

見学やお墓参りができない場合もあることを知っておく

名馬のお墓の多くは、競走馬や繁殖馬を飼育する牧場の敷地内にあります。馬は非常に敏感で繊細な動物ですので、私たち人間にとってはなんでもない行動が馬を驚かせてしまい、時には馬や人の命に関わる事態に発展してしまう可能性もあります。そのため、お墓参りや見学ができない場所もあるということは知っておきましょう。

見学やお参りの可否を「ふるさと案内所・連絡センター」に問い合わせる

「ふるさと案内所・連絡センター」とは、全国6ヶ所に設置されている、引退名馬や繁殖馬の見学や牧場巡り、競走馬のお墓参りなどをサポートするための施設です。

馬の見学やお墓参りがしたい場合には、まずここに連絡し、見学やお墓参りの可否、受け入れてもらえる時間帯を確認しましょう。牧場に直接問い合わせたり、突然押しかけたりすることは、仕事の妨げになってしまうため避けましょう。

牧場を訪れる際のルールをしっかり確認する

動物の命を預かる牧場では、馬にストレスをかけないことや、馬と人双方の安全、伝染病の予防といった観点から、注意しなければいけないことがたくさんあります。

例えば、決まった場所以外に無断で立ち入らない、大きな音や声を出さない、馬に触らない、カメラのフラッシュをたかないなど、「ふるさと案内所」のホームページにも、牧場見学のマナーが掲載されています。牧場ごとのルールもありますので、事前に確認し、注意事項をしっかり守りましょう。

まとめ

名馬のお墓や供養のあり方はさまざまで、家族のように、あるいは大切な友人のように馬を思う気持ちや、人と馬との深い絆から、それぞれのかたちで大切に供養されています。

お墓や供養塔の前で手を合わせることは、馬たちが歩んできた時間や、それを支えてきた人々の想いに心を向け、そして私たちに感動を与えてくれたことに改めて感謝を伝えるひとときとなるでしょう。

近年では、偉人や著名人の功績や足跡に思いを馳せ、その人物ゆかりの地とともにお墓を巡る人も増えており、そうした人々は「墓マイラー」とも呼ばれています。名馬のお墓を訪ね、馬たちが生きた風景に触れることもまた、競走馬としての活躍だけでなく、その生涯や物語に思いを重ねる行為の一つと言えるかもしれません。

もしお参りに行く機会があれば、その場所が大切に守られてきた背景に目を向け、節度ある振る舞いを心がけながら、静かに手を合わせましょう。

実際に各地のお墓に足を運ぶことができなくても、馬を供養する仏としても知られる馬頭観音を祀る寺院にお参りするという方法もあります。

各地の偉人のお墓を巡る「墓マイラー」について、お墓参りのマナーや、全国の偉人のお墓を紹介している記事もあります。

また、より身近で人と共に生きる動物であるペットたちの供養について解説していますので、あわせてお読みください。