お役立ちコラム お墓の色々
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高級感漂う「大理石」でお墓は建てられる?大理石の特徴からお墓に使われにくい理由まで解説します

高級なイメージの石材と聞いて、まず「大理石」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
上品で光沢のある大理石は、ホテルや美術館のような高級感のある空間を創り出してくれます。
「大理石をお墓に使ったら、とても綺麗なお墓ができるのでは?」と考えたことがある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、結論からお伝えすると、大理石は長持ちしにくいため、日本ではあまりおすすめされません。とはいえ、絶対に使えないわけではなく、配慮次第で取り入れることも可能です。
今回は、大理石の基礎知識から、なぜお墓に使うには配慮が必要なのか、その理由と対策を詳しく解説します。
大理石とはどんな石?
大理石は、建築材や装飾品として古くから利用されてきた格式の高い素材の一つです。
最大の魅力は、世界に二つとない流れるようなマーブル模様と、磨き上げるほどに深まる気品ある光沢にあります。複数の色が自然に溶け合い、渦を巻くように現れる表情は、まさに天然石ならではの美しさです。その上品な佇まいから、美術館の建材や高級家具、さらには繊細な彫刻作品まで、格調の高さが求められるあらゆる場所で利用されてきました。 まずは、お墓への適性を知る前に、大理石がどのようにして生まれ、どんな種類があるのかを詳しく見ていきましょう。
名前の由来
大理石は、英語ではMarble(マーブル)と呼ばれ、この語源はギリシャ語の「mármaros(マーマロス:輝くもの)」に由来しており、光を浴びてキラキラと輝く大理石の姿を象徴しています。
一方、漢字の「大理石」は、かつて中国に存在した「大理国」(現在の雲南地方周辺)で多く産出されたことに由来し、「大理で採れる石」から「大理石」となりました。
大理石ができる成り立ち
石材はその成り立ちによって、大きく3種類に分けられます。
- 火成岩:マグマが冷えて固まったもの。お墓の主流である「御影石」はこれにあたります。
- 堆積岩:土、泥、火山灰などが長い年月をかけて積み重なって固まったもの。
- 変成岩:火成岩や堆積岩が圧力や熱の影響を受けて性質が変化したもの。
それぞれの石材で成分や構造、見た目などの特性が異なり、大理石は、サンゴや貝の死骸(炭酸カルシウム)が堆積してできた「石灰岩」が、マグマの熱などで再結晶化した変成岩の一種です。
唯一無二の美しいマーブル模様は、不純物の混じり方によって、白、ベージュ、赤、緑、黒など、様々な色になります。例えば、酸化鉄が含まれると赤や褐色に、蛇紋石(じゃもんせき)が含まれると緑色になります。
日本にあるお墓のそのほとんどが作られている「御影石」について詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。
大理石の種類
素材として用いられる大理石は、大きく以下の2種類に分けられます。
- 天然大理石:自然から得られる素材
- 人工大理石 (樹脂製)・人造大理石 (砕石+樹脂/セメント):人工で作られた素材
天然大理石
その名の通り、自然界で長い年月をかけて作られた本物の石です。
一つとして同じものがない、唯一無二の模様と質感が最大の魅力です。磨き上げることで生まれる美しい光沢は、天然石にしか出せない味わいがあります。
希少性が高く加工にも手間がかかるため、価格は高価になりがちです。また、自然の産物ゆえに小さな穴やひびが含まれることもあります。
人工大理石
アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした樹脂製の素材です。石成分を含まないものも多く、加工がしやすくカラーバリエーションが豊富です。
見た目は天然大理石に似ていますが、人工的に作られるため、色や模様を均一に仕上げることができます。天然石に比べるとコストが安く、屋内屋外を問わず住宅などにも用いられることが多いです。
人造大理石
天然大理石の砕石をセメントや樹脂で固めた素材です。天然に近い質感を出しつつ、品質を均一に保てるメリットがあります。
天然石に近い質感と重厚感が特徴で、人工大理石よりも材質がやや硬質なため、キッチンや床材などの板状の製品として多く使用されています。
大理石はどこで採れる?国内外の主要な産地
日本の主な大理石産地
現在、日本で用いられる大理石のほぼすべてが外国産ですが、かつては十分な量が採掘されていた時期もあり、歴史的に重要な場所がいくつかあります。
- 山口県 (美祢市・秋吉台周辺)
日本を代表する産地の一つです。「秋吉大理石」として知られ、白、グレー、赤、黒など多彩な色の石が採れます。国会議事堂の内部装飾にも、ここの大理石が使われています。
- 岐阜県 (大垣市赤坂など)
「金生山(きんしょうざん)」が有名です。ここでは古くから大理石の採掘が行われており、化石を含んだ珍しい模様の石が採れることでも知られています。
- 茨城県 (日立市など)
「寒水石(かんすいせき)」と呼ばれる白い大理石が有名です。真っ白で美しいことから、建築の壁材や庭石、彫刻の材料として重宝されています。
海外の主な大理石産地
- イタリア
イタリア全土に多くの産地が点在する、世界トップクラスの大理石生産国です。なかでもトスカーナ地方の「カッラーラ」は世界最高峰のブランドとして知られ、ミケランジェロの「ダヴィデ像」やローマのパンテオン神殿にも使用されています。白地に淡いグレーの模様が入る美しい石種をはじめ、多種多様な銘柄を世界中に送り出しています。
- ギリシャ
古くから良質な大理石の産地として知られ、アテネ近郊で採れる「ペンテリコン大理石」はパルテノン神殿にも使用されています。優れた耐久性と気品ある美しさを併せ持ち、歴史的な彫刻や建築に欠かせない存在です。
- インド
大理石をはじめ多様な石材を産出するインド。なかでも、ラジャスタン州の「マクラナ大理石」はタージ・マハルに使用されたことで有名です。不純物の少ない純白な色調が特徴で、その高級感から世界中で高い評価を得ています。
- トルコ
世界有数の大理石生産国で、白やベージュを基調とした種類が多く、価格と品質のバランスが良いため、現代の建築現場でも世界中に輸出され、広く愛用されています。
大理石はお墓に向いている?知っておきたい「強み」と「弱点」
世界中の歴史的建造物や高級ホテルを彩る大理石は、実は私たちの身近な場所にも広く浸透しています。
しかし、現実的に日本でお墓の素材として用いられることは、ほとんどありません。
それはなぜでしょうか?
その答えは、大理石が持つ「特有の性質」にあります。
もし「大理石でお墓を作りたい」と考えるのであれば、大理石の「強み」と「弱み」を正しく理解しておく必要があります。
ここからは、大理石の特性について詳しく解説していきます。
大理石がお墓に向いているポイント
- 圧倒的な加工のしやすさ
日本のお墓の主流である御影石に比べると、大理石は比較的柔らかい石であるため、繊細な彫刻や曲線美を表現するのに適しています。デザイン性にこだわったオーダーメイドのお墓を作りたい方には、大きな魅力となります。
- 磨き上げるほどに増す「光沢」
大理石は磨き込むことで、鏡面のように滑らかで美しい光沢を放ちます。天然石ならではの高級感溢れる質感は、高い気品をお墓に与えてくれます。
お墓に向かないとされる理由
- 「酸性雨」で溶け出してしまう
大理石の主成分はサンゴや貝殻と同じ「炭酸カルシウム」です。これは酸に非常に弱く、屋外で長期間「酸性雨」にさらされると、表面が少しずつ溶け出してしまいます。数十年単位で見ると、せっかくの彫刻や光沢が失われてしまうリスクがあります。
- 非常に高い「吸水率」
大理石は御影石に比べて吸水率が高く、水を吸いやすい性質があります。吸い込んだ水分が原因で雨シミになったり、冬場に中の水分が凍ってひび割れの原因になったりすることもあります。雨の多い日本では、特に注意が必要です。
大理石でお墓を建てることはできるの?
結論から言えば、日本で大理石のお墓を建てることは可能です。
しかし、一般的ではないのには明確な理由があります。
日本のお墓に求められるのは「永続性」
日本のお墓の主流が「御影石」である理由は耐久性にあり、「お墓は代々受け継ぎ、100年以上保つもの」という価値観が強いため、風化に強い石が選ばれてきました。
一方で、ヨーロッパなど海外では大理石のお墓も珍しくなく、これは年月を経て石が丸みを帯びたり、質感が変化したりしていく様子を「歴史の深み」として受け入れる文化があるからだと言われています。
大理石のお墓を選ぶための「3つの条件」
もし日本で大理石のお墓を建てるなら、以下の3つのポイントを理解しておくことが大切です。
- メンテナンスの手間を惜しまない: 他の石材以上に、こまめなお手入れが必須となります。
- コストがかかることを想定する: 希少な天然大理石の調達や、特殊な加工、コーティング費用などが加算されます。
- 風化を「味」として受け入れる: 建立当時の状態を永遠に保つのは難しいため、経年変化を受け入れる必要があります。
大理石のお墓の具体的なお手入れとメンテナンス方法
大理石のお墓を美しく保つためには、御影石のお墓以上にこまめなケアが重要です。大理石の表面は時間が経つにつれてざらつきやすくなり、汚れが入り込みやすくなっていきます。
- 酸性の汚れに注意: 特に注意したいのが「鳥の糞」です。酸性が強いため、放置すると大理石の表面を溶かし、落ちないシミを作ってしまいます。見つけたらすぐに水で洗い流しましょう。
- 優しく拭き取る: 掃除の際は硬いタワシなどでゴシゴシ擦らず、柔らかい布を使い、水気をしっかり拭き取ることでシミを防ぐことができます。
- プロによる専門メンテナンス・代行サービスの活用:今の石材加工技術は非常に進歩しており、建立時に石材店に依頼して、専用の撥水コーティングを施すと強度や吸水性を改善することができますが、永久的ではありません。美しさを維持したいのであれば、定期的にプロの手によるメンテナンスを行う必要があり、石の状態を定期的にチェックし、適切な処置を施すことが必要となります。「墓地が遠くて頻繁に行けない」という方は、プロのお墓参り代行サービスをうまく活用するのをおすすめします。
お墓は、一人の代だけでなく、お子さんやその先の世代も管理していくものです。家族とよく話し合い、「定期的にメンテナンスが必要になること」を家族に共有し、理解を得ておくことが大切です。御影石のお墓以上に綿密な石材店との打ち合わせも必要になるでしょう。
お墓のお掃除の基本はご存知でしょうか?こちらの記事で説明しています。
お墓のプロへの相談やお墓参り代行サービスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
◆「お墓のプロによる代行」もある、お墓参りに行けない時に取れる選択肢
大理石に似た御影石という選択肢
「大理石のあの美しい模様が好き。でも、耐久性が心配……」という方には、大理石に似た模様を持つ「御影石」を選ぶという選択肢もあります。
実はお墓の主流である御影石にも、大理石のマーブル模様に近い模様のものが数多く存在します。
石材店に「大理石風の色合いで、模様のある御影石を探している」と相談すれば、予算や希望に合わせた最適な石種を提案してもらえるはずです。
まとめ
大理石は、その唯一無二の模様と高級感で、古来より人々を魅了し続けてきた石材です。
お墓として使うには、酸や水への弱さといったデメリットもありますが、最新のコーティング技術を活用したり、こまめなお手入れを欠かさないようにしたりすることで、理想の「大理石のお墓」を実現することは決して不可能ではありません。
どの石が正解というわけではなく、大切なのは「お墓」即ち「供養の場所」を大切にする気持ちです。
お墓は、故人やご先祖様と対話する大切な場所です。新しくお墓を建てる方はもちろん、すでに先代からのお墓がある方も、心を込めて定期的にお墓参りにいきましょう。
お墓きわめびとの会は、石材のプロです。お墓について悩んでいることがあれば、お気軽にご相談ください。