お役立ちコラム お墓の色々

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お墓に使われる『御影石』ってどんな石?

墓地・墓石コラム

お墓に使われる『御影石』ってどんな石?

お墓に使われる最も一般的な石は、『御影石』という石材です。お墓はご先祖が眠る大切な場所、いわば故人にとってのマイホームのようなものです。もし、あなたが自分の家を建てるとしたら、「木造だと音がうるさいか…」「鉄筋だとコストが高いか…」など、建材についていろいろと思案するはずです。では、墓石に関してはどうでしょう?ご先祖の眠るお墓に使われている石材がどんな石なのか、ご存じでしょうか?
本記事では、御影石について解説します。ご一読いただければ、大切なお墓がさらに価値あるものに見えてくるでしょう。お墓を磨く手にも一層力がこもるはずです。

御影石とは?

御影石は、光沢のある美しさと、耐久性に優れた石です。一口に御影石と言っても、鉱物の混ざり方によって、さまざまな模様や色に分かれるのが特徴です。お墓で見かけるものは白や黒の石が多いですが、青・緑・赤系統の色もあります。墓石以外にも、住宅の建材として使用されています。
実は『御影石』という名前は、日本独自の「石材」としての呼び名です。この岩石の正しい名前は、『花崗岩(かこうがん)』といいます。旧兵庫県武庫郡御影町(現在は神戸市東灘区)で採れた花崗岩を、御影石と呼んでいたことが名前の由来となりました。現在は、花崗岩だけでなく、閃緑岩や斑レイ岩などの総称として使われています。

御影石はどうやってできるの?

では、花崗岩とは一体どんな石なのでしょうか?岩石の成り立ちを説明しながら、花崗岩がどのように生まれて、どこからやってくるのかを紹介します。

岩石は、大きく3つの種類に分けられます。
1. マグマが固まってできた火成岩(かせいがん)
2. 土砂などが積み重なり、固まってできた堆積岩(たいせきがん)
3. 既に存在する岩石が、高い温度・圧力を受けることで変化してできた変成岩(へんせいがん)

花崗岩は、1の火成岩にあたります。火成岩は、マグマが冷えた場所によってさらに2つのグループに分けられます。ひとつは、地表または地表付近で冷えて固まった『火山岩』です。もうひとつは、地下深くで冷え固まってできた『深成岩』です。花崗岩は深成岩に属しています。
では、なぜそのような地下に存在する岩石が、私たちの前にあるのでしょうか?それは長い年月をかけた地殻の隆起によって、地表付近までせりあがってきたからです。このように、御影石は遥かな時間と旅路の果てに、お墓や建材として私たちの前に姿を現します。

御影石と大理石の違いは?

「光沢のある石の建材」というと、大理石を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。どちらもさまざまな色調や模様があり、高級感のある石という点で似ています。大理石と御影石はどんな違いがあるのでしょうか?
岩石として分類すると、大理石は『石灰岩』にあたります。石灰岩とは、貝や動物の死骸等が海の底で積み重なってできた岩が、マグマの熱と圧力を受けて変質したものを指します。このような過程を経て形成されるものなので、成り立ちや構成する物質が御影石とは異なるものです。前項の区分でいうと、3の『変成岩』にあたります。
御影石と比べると、大理石は模様が大きくて落ち着いた印象を持っています。また、大理石は酸に弱く、シミになりやすいという特徴があります。そのため、お墓のような屋外建造物ではなく、主に建物の内装として使われてきました。屋外屋内どちらでも使える御影石は、大理石よりも頑強さで優れているのです。

御影石がお墓に使われる理由

前項で少しヒントが出ましたが、御影石が墓石として優れているのは「硬い」「水を吸いにくい」「耐久性に優れている」という点です。屋外に設けられることが圧倒的に多い墓石は、雨風に晒され、徐々に風化していくのを避けられません。数世代に渡って受け継がれることも多いものですから、高い耐久性が求められます。木材や金属、コンクリートなど…建材にも様々な種類がありますが、墓石に求められる耐久性を持つものは、実はなかなか存在しないのです。さらに、御影石のもつ高級感は、厳かな墓地・霊園の雰囲気にもふさわしいものです。お墓に使うには、まさに才色兼備な素材と言えます。

お墓以外で御影石はどんなところに使われているの?

建材としての御影石は、駅や大きなビル、マンション、デパートなどで利用されています。しかし、もっと身近なところに使われていることも多いものです。あなたの家や家の周りを見渡してみると、意外な発見があるかもしれません。

キッチンの天板

多くはステンレス、高級なところだと大理石が使われていたりするキッチンの天板。別名でワークトップとも呼びます。大理石は見た目がいいものの酸に弱いため、汚れや酸性洗剤と化学反応を起こし、表面がザラついてしまう恐れもあります。大理石と比べて酸に強い御影石はこうした心配はありません。また、硬くて耐水性にも優れているので、傷が付きにくく掃除もしやすいという利点もあります。

玄関

重厚な印象で家の高級感を引き立てることから、玄関に敷いて利用されることもあります。お墓のようにツルツルに仕上げてしまうと、雨で濡れたときに滑る危険があるので、表面を粗くして使われます。

浴室

浴室内の小さな傷は、汚れやカビの温床になりがちです。しかし、硬くて傷がつきにくく、水切れも良い御影石は、このような浴室の問題を改善してくれます。こちらも表面を粗く仕上げることで、滑り止め効果が出ます。

御影石ってどんな石? まとめ

本記事をまとめると、以下のようになります。
・御影石は、別名で花崗岩と呼ばれる。マグマが地下深くで冷え固まったものである
・御影石は、「硬い」「水を吸いにくい」「耐久性に優れている」という特徴がある
・高級感があって劣化しにくい御影石は、お墓にとって理想的な素材である
・御影石はさまざまなものに利用されていて、意外と身近な存在である
気の遠くなるような長い年月を経て形成された御影石は、高機能かつ貴重な素材です。家のお墓を大切にして、ぜひ末永く受け継いでください。

こちらの記事では御影石の主要産地や産地ごとの特色について紹介しています。
『墓石といえば御影石、国内産地などについて紹介します』

御影石についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
『花崗岩と御影石の違いや墓石としての特徴など』