お役立ちコラム お墓の色々
お役立ちコラム お墓の色々
- 供養をきわめる -
お墓のリフォームを考えるタイミングと、依頼時の注意点
自宅で「経年劣化による雨漏りが生じた」等の問題が起きた場合、その対策として「家をリフォームしよう」と考える方は少なくないと思います。
お墓も同様に、建ててからの時間が経過するにつれて、問題が生じる可能性が徐々に増えていきます。そのため、お墓を代々受け継いでいくには定期的な修繕が必要です。
ただ自宅と違い、お墓は多くの人にとって毎日目にする場所ではないため、緊急性を意識することなく、場合によっては修繕が必要であること自体に気がつかずに、そのままになっていることもあるでしょう。
そこで今回はお墓のリフォームを考えるタイミングと、リフォームを依頼する際の注意点をまとめました。
お墓のリフォームを考えるタイミング
お墓のリフォームを考えるタイミングは人それぞれかもしれません。ただ「まぁいいか」とスルーすることなく、リフォームを検討してほしい時がいくつかあります。
なぜなら、今からお伝えする項目は、放っておくと、後に大規模な施工が必要となり、場合によってはリフォーム費用がかさむ可能性があるからです。
該当する項目があれば、ぜひ早期のリフォームをご検討ください。
墓石が傾いている時
墓石が傾く理由は大きくわけて2つあります。
1つは地盤の問題、もう1つは施工の問題です。
まずは地盤の問題。「墓石の重さなどで土地が少しずつ下がりお墓が傾く」といったことが、田んぼを埋め立てて作られた墓地などで起こる場合があります。
そして、施工の問題。
施工を理由に墓石が傾く可能性が高いのは、古いお墓の場合です。
昔は「布基礎(ぬのきそ)」という施工が多く、これは墓石の下にだけコンクリートの基礎を作るものでした。
現在はお墓の面積全体に基礎工事を行う「ベタ基礎工事」という施工が多く取り入れられ、墓石が傾くことを防いでいます。
“点で支える”布基礎に対し、より安定するのは“面で支える”ベタ基礎の方です。ただ、
コストのことや、もともとの地盤の強固さ等を考慮し布基礎が選択されるケースもあります。
つまり墓石の傾きは「地盤」と「施工」2つの要素が絡み合って起こります。
そしてその問題を解決するためには「お墓のプロ」の目と技術が必要です。
傾きを発見したら、石材店に相談しましょう。
なお、基礎工事をするときは全ての墓石を一旦撤去する必要があるため、大掛かりなリフォームになります。もし基礎工事を行う場合は、耐震対策なども同時に検討してみてもよいかもしれません。
ひび割れや傷が多く目立つ時
墓石のひび割れや傷を放っておいても何もよいことはありません。そのひび割れや傷をきっかけにしてより新しいひびが広がるだけです。
その場合、見た目が悪くなることはもちろんですが、たとえば雨水がひびから入っていき、遺骨を納める「カロート」が水浸しになるといった問題にもつながります。
なお、墓石のひび割れは基本的には自然風化や経年劣化によるものが多く、寒冷地などでは吸水された水分が凍結してひび割れが生じたりすることがあります。
また、夏の暑い時期だと、急な雷雨などで極端な温度差が発生し、墓石がひび割れする場合もあります。
人の病気と同じように、早期に発見して早期に直せば、時間や費用を抑えることができますので、お墓参りの際などにきちんと点検することが大切です。
汚れが目立つ時
お墓は屋根のない屋外に設置されているため、時間が経てばどうしても汚れてしまいます。何度も何度もお墓に掃除に行けるのであれば、綺麗な状態を保つことができるかもしれませんが、実際はなかなか難しいものです。
汚れの中には長い間放置してしまうと、掃除をしても簡単に落とすことができなくなってしまうものもあります。
パッと見てわかる傾きや、ひび割れ・傷がない場合でも、経年による汚れが目立ち、簡単には落ちないようになってきた時は、リフォームのタイミングといえるでしょう。
なお、当コラムでは、お墓の点検項目をまとめたチェックリストをご用意しています。
解説記事もありますので、どうぞご活用ください。
◆お墓参りの時に確認!お墓の点検チェックリスト(解説記事)
◆お墓の点検 チェックリスト(PDF)
※ダウンロード・プリントアウトしてお使いください。
リフォームを依頼する際の注意点
お墓のリフォームを依頼する際、いくつか注意点があります。
知っておくと得をするものもありますので、ぜひ押さえておいてください。
家族親族にきちんと相談してからリフォームを…
お墓の名義人(使用権所有者)は、祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)です。
そのため、祭祀承継者の許可なくお墓をリフォームすることはできません。
もしあなたがお墓の名義人ではなく、しかしながらお墓のリフォームを検討する場合は、許可を得るべき人間が誰なのか(どなたが祭祀承継者なのか?)事前に確認を取りましょう。
一方で、お墓の名義人であるからといって、独断でお墓のリフォームをすることもおすすめできません。
家族親族の中には、受け継いできた古いお墓への愛着を持つ方もいるかもしれませんし、独断で進めること自体に不快感を持つ方もいるかもしれません。
お墓は、先祖・故人の供養をするとともに、家族・親族の絆を深めるものでもあります。そんなお墓をきっかけとしたトラブルは、きっと先祖・故人も望まれないでしょう。
きちんと事前に話をし、皆が納得した状態でリフォームに臨まれることをおすすめいたします。
なお、お墓の名義人「祭祀承継者」についてなど、お墓の相続などについてはこちらの記事をご覧ください。
◆お墓の相続(承継)の流れを解説します
◆お墓の相続、配偶者や子どもに迷惑をかけないために必要なコト
お彼岸やお盆前の依頼は避ける
お墓のリフォームは基本的に石材店へ依頼することになりますが、お彼岸やお盆前は石材店の繁忙期にあたるので、避けた方がよいでしょう。
繁忙期の場合だと、繁忙期料金で割高になったり、リフォーム日程がかなり先に伸びてしまう可能性があるからです。
しっかりとしたリフォームを実現するには、入念な下見などの事前準備が要ります。
たとえば、珍しい種類の石材や、現在は採掘量が少なくなっている石材を今のお墓で使用していたとします。そのような場合は、同じ石材を調達するのに時間がかかったり、手に入らない可能性もありますので、スケジュールに余裕をもって、早め早めに依頼できるようにしましょう。
信用できる石材店に頼む
理想のリフォームを実現するためには、なんといっても信用できる石材店に依頼するのがベストです。
リフォームは墓石の状態のみならず、そのお墓のある立地や条件などによっても大きく異なってきます。そのため、今のお墓のことを熟知する、実際に建立した石材店に頼むのがよいでしょう。
もし、建立した石材店がわからない場合や、お付き合いのある石材店が近くにない場合は、お墓きわめびとの会に下記リンクからぜひご相談ください。安心の石材店をご紹介いたします。
◆「お墓きわめびとの会」お問合せ・ご相談フォーム
また、施工ごとによる費用の目安をまとめた記事もあります。ぜひ参考になさってください。
◆お墓のリフォームにかかる費用の目安について
まとめ
お墓のリフォームを考えるタイミングと、依頼時の注意点を見てまいりました。どのケースでも共通することは「早期に着手することが吉」ということです。
リフォームを依頼する際、日程に余裕をもたせて早めに申し込めば、理想的なリフォームを実現することができるでしょう。
また、お墓の異変に早く気づくことができれば、大がかりなリフォームではなく、小さな修繕で済むかもしれません。
お墓参り自体は、お墓の点検のために行うわけではありませんが、普段から行っている些細なことで、お墓を良い状態で長持ちさせることもできます。
お墓がいつまでも綺麗であれば、お祀りしているご先祖様や大切な方もきっと喜ばれるでしょう。
この記事をきっかけに、お墓参りの習慣を受け継いでいただけるとうれしいです。
基本的なお墓参りのマナーや常識をご紹介した記事もございますので、ぜひご覧ください。
◆【保存版】お墓参りのマナーや常識 5つのポイント