お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

お墓の相続(承継)の流れを解説します

墓地・墓石コラム

お墓の相続(承継)の流れを解説します

お墓の相続(承継)とは、お墓の権利と管理を引き継ぐことです。
実は「お墓の相続」には、他の財産の相続と異なる点があります。

お墓や仏壇仏具は「祭祀財産」

お墓や仏壇仏具は「祭祀(さいし)財産」と呼ばれます。その種類は大きく分けて3つです。

系譜(けいふ)

系譜とは、先祖との血縁関係が確認できる記録や絵図をいいます。
代表的なのが、巻物などで保管されている家系図です。

祭具(さいぐ)

祭具とは、祭祀が行われる際に使用する器具などをいいます。
位牌や仏像、仏壇などが祭具に該当します。

墳墓(ふんぼ)

墳墓とは、亡くなった人が保管されている設備やお墓です。
墓石や埋葬地などが該当し、墓石が設置されている部分の墓地も墳墓に該当します。

「祭祀財産の相続」と「他の財産の相続」の違い

遺された預貯金や不動産などの財産は相続人が受け継ぎますが、お墓や仏壇仏具などの祭祀財産は相続財産とはみなされず、一般の遺産相続の対象になりません。

また、預金や不動産は、相続人間で財産を分けるなど区分所有ができますが、祭祀財産は承継人が単独で引き継ぐことになります。財産的価値を付けて遺産分割協議で分けるものではないためで、法要の主宰もお墓と共に引き継ぐことが一般的です。

祭祀財産は非課税

財産を相続した場合、その財産に対し相続税がかかります。
その範囲は、被相続人が亡くなった時点のすべての財産(預金や不動産などの“正の財産”と借金や未払い金などの“負の財産”)となります。

ただ、相続税の対象になる財産には非課税となるものがあり、お墓などの祭祀財産は相続税の非課税財産に分類されます。

つまり、お墓や仏壇、仏像に対して相続税は課税されず、相続税の計算から除外されます。
墓石の敷地として利用している墓地も非課税財産となります。

お墓の相続税に関する記事は他にもございますので、ぜひご覧ください。

◆お墓が相続税対策(節税)になるってホント?税金について解説

お墓の相続の流れ

①祭祀承継者を決める

「ご先祖さまをまつる」「法要を行う」などの祭祀全般を引き継ぐ人のことを「祭祀承継者」といいます。祭祀承継者は、祭祀に必要なお墓や仏壇仏具、その他の祭具、家系図や先祖代々の系譜などを引き継ぎ管理します。

祭祀承継者の決め方は民法897条に規定されています。この規定に従って祭祀承継者を決めることになります。祭祀承継者を選ぶ方法は次の通りです。(数字は優先順位)

①被相続人(=財産を遺して亡くなった方。前の祭祀承継者)が指定した者が祭祀承継者になる
②被相続人の指定がない場合は、慣習にしたがって祖先の祭祀を主宰すべき者が祭祀承継者になる
③被相続人の指定がなく、慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所の調停・審判で指定する

祭祀承継者を指定する方法は文書だけでなく口頭でも可能ですが、被相続人による遺言書での指定が一般的です。
なお法律上は相続人や親族以外の方が祭祀承継者になることもできます。ただし、墓地によっては規則で承継者を相続人や親族に限定している場合もあるので注意が必要です。
本人の同意がなくても祭祀承継者を指定することはできますが、トラブルにならないよう事前に了承を取り付けておきましょう。

②名義書換をする

名義書換の申請は墓地や霊園を管理している管理者に対して行います。
つまり、 境内にお墓を持つ「寺院墓地」は寺院に、市町村が運営する「公営霊園」は市町村役場に、「民間霊園」は管理事務所に対してとなります。

祭祀承継者が決まりましたら、お墓のある霊園やお寺に「相続が発生した」ことを伝え、名義書換の手続きに入ります。

ここではお墓の名義書換に必要なものをご紹介します。霊園ごとに異なる箇所もありますので、詳細は墓地の各管理事務所や寺院にお問い合わせください。
一般的なものとされるのは次の通りです。

○墓地の管理者からもらう書類

・名義変更申請書(墓地によって様式が異なります)
・墓地使用許可証(永代使用許可証)

○区役所や市役所などでもらう書類

・前の祭祀承継者の死亡が記載された戸籍謄本
・祭祀承継者の戸籍謄本・住民票(本籍も分かるもの)

前の祭祀承継者と新しい祭祀承継者の続柄を確認するための書類です。
3か月以内に発行されたものを墓地の管理者に提出しましょう。

・祭祀承継者の印鑑登録証明書
名義変更申請書に押す祭祀承継者の実印を証明するために必要です。
こちらも3か月以内に発行されたものを準備します。

※墓地によっては次の書類が必要な場合もあります。
・遺言書などのお墓を受け継いだことが分かる書類
・親族以外が祭祀承継者となる場合はその理由が分かる書類
・前の祭祀承継者から墓地管理を委託される場合はその書類(同意書)
・会葬礼状や葬儀費用などの領収書(前の祭祀承継者との関係を確認するもの)

上記の書類の他、「祭祀承継者の実印」「名義変更にかかる手数料(3,000円~10,000円前後)」や「年間管理費」も必要です。

年間管理費は、墓地や霊園の共用部分についてかかる費用のことで、「共用部分の設備」「清掃や修繕の費用」「上下水道代」などが含まれます。

おおまかな年間管理料の相場ですが、民間の霊園の場合で5,000円から15,000円、自治体が運営する公営の霊園の場合で4,000円から10,000円、寺院墓地の場合で10,000円です。

まとめ

お墓に限らず「相続」は、いつ起こるかわからないものです。
「引き継ぐ財産は少ないから自分には関係ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、手続きは多岐にわたり、専門の知識も必要となるため、いざという時に困ってしまうケースも考えられます。

あらかじめ備えておくことで、ご自分も、またご家族も安心して過ごしていけると思いますので、日頃から情報を集めたり、ご家族とお話しておくことをおすすめいたします。

「お役立ちコラム」の中には、終活や相続に関する記事もございますので、ぜひお役立てください。

◆より良い終活のために知っておきたい「相続」について

◆そもそも終活が必要な理由は?