お役立ちコラム お墓の色々

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お墓は誰が継承するもの?継承者の決め方を解説

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お墓は誰が継承するもの?継承者の決め方を解説

お墓の継承問題は継ぐ方にとっても継いでもらう方にとっても他人事ではありません。「うちは長男(兄さん)がいるから大丈夫!」と思っていても、長男が海外に永住するというケースもあり得ます。そういった場合には誰が後を継ぐのでしょうか?本記事では、お墓の継承の知られざるルール・継承者を選ぶ際の判断基準などをご紹介いたします。

お墓の継承・大前提

土地や建物同様に、お墓にも「名義人」が存在します。名義人とは、管理責任を負うそのお墓の持ち主、つまり「継承者」です。
お墓の名義人が亡くなった場合、残されたお墓は「祭祀財産」となり、「祭祀承継者」を決めなくてはいけません。これが「お墓の継承」です。

実際のお墓の継承には、以下のような例があります。
・親が亡くなったので、その子供がお墓を継承した
・夫が亡くなったので、妻がお墓を継承した
・兄が亡くなったので、弟がお墓を継承した

「祭祀財産」は、複数の相続人で分割することができないものです。そのためお墓の名義は、一人の方が所有することになります。

お墓は、長男が継承するものなの?

慣習として長男が継承するパターンが多いだけで、「長男でなければ継承できない」という法律はありません。他家に嫁いだ長女でも、姪や甥でも、血のつながりのない親族でも継承することができます。友人に継承することも可能です。
必ずしも長男が継ぐ必要はありませんし、長男が何らかの事情で承継できない場合、別の方に継承してもらうことが可能です。

お墓の継承は「墓地・霊園の使用規則」も確認

ここでひとつ、注意点があります。先述した通り、法律上は継承者に決まりはありません。しかし、墓地・霊園の使用規則に「原則として3親等まで」「原則として使用者の親族であること」といった決まりが存在する可能性があります。この場合は、使用規則に従って継承者を選ばなければいけません。
遠縁の親戚や友人が継承の候補に挙がる場合は、墓地の使用規則を確認する必要があります。

お墓の継承者を決める方法

実際には、どのような判断で継承者が決まるのでしょうか?お墓の継承者の選び方には、民法897条で決められたルールがあります。優先度が高いものから順番にご紹介します。

1.現・名義人が指定する

現在の名義人が、口頭や遺言書で継承者を指定するという決め方です。実際にお墓を継承している方のご意思ですので、最も優先度の高い判断となります。
なお、名義人の変更は、現在の名義人が亡くなる前でも可能です。本人を交えて話しあうことで、ご家族・ご親族にとっても納得の行く結果に落ち着きやすいかもしれません。「終活」のひとつとして、あらかじめ話し合っておくのもよいでしょう。ただし、墓地・霊園によっては生前の名義変更が不可能なところもあります。

2.慣習に従って決める

前の継承者からの指名がない場合、それまでの家の通例や地域の慣習で判断する方が多いです。ただし、現代は価値観が多様化していますので、「慣習だから」といっても受け入れられない方も多いでしょう。地方出身者が集まる都市部では、慣習自体が多様で判断しづらい側面もあります。

3.話し合いで決める

慣習で決められない場合は、話し合いで決めることになります。その際は、お墓の一番近くに住んでいる方や、お墓参りに行く機会を作りやすい方も、継承者の候補として挙がるでしょう。
慣習に従って長男が継承しようとしても、実際は管理が難しいという状況もあり得ます。そんなときは、お墓参りに行きやすい方が名義を持つ方が、後々トラブルになる可能性を抑えられるでしょう。

【親族内でトラブルが発生する例】
「遠くに住む長男が名義を持ち、実際の管理は近くに住む次男が行う」という形で継承。しかし次男が、全くお墓参りに行かなかった。ある日、隣のお墓の持ち主から「お宅のお墓の生け垣が伸び放題のせいで、うちのお墓が汚れた。責任をとってくれ」とのクレームが長男に届いてしまう。

この場合、責任を問われてしまうのは長男です。このような問題が発生すると、親族同士でも根深い揉め事に発展する可能性がありますので、「管理しやすい人が管理する」という合理的な判断をするのも良いでしょう。

4.家庭裁判所の調停・審判で決める

こちらは「判断」というより「手段」の話です。
話し合いがまとまらない場合でも、誰かが名義人になる必要があります。ご家族・ご親戚で話がまとまらなければ、家庭裁判所に判断をお願いすることができます。どうにもならない時の最後の手段として、覚えておくとよいでしょう。

「お墓は誰が継承するもの?」まとめ

本記事をまとめますと、以下のようになります。
・お墓は、誰かが継承する必要がある
・お墓の継承は長男以外でもOK
・お墓の継承者に法律上の決まりは無いが、墓地の使用規則で制限される場合もある
・継承者を決める際は、前名義人の意志が優先される
・継承者が決まらない場合は、家庭裁判所に判断してもらうことになる
なお、「継承してからの管理がどうしても難しい…」という場合には、墓地・霊園へ「永代供養」をお願いしたり、お墓参りに行きやすい場所に「改葬」するという手もあります。ご家族・ご親戚でよく話し合い、納得のいく方法を探しましょう。また、お墓の管理事務所やお寺などに相談してみるのも良いでしょう。

「永代供養」や「改葬」についてはこちらの記事をご覧ください。
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