自然葬の費用は？海洋散骨と樹木葬の相場を探る

メディアで取り上げられる機会が増えたこともあり、「散骨」や「樹木葬」という弔い方を検討する人が近年増えてきました。

散骨や樹木葬…いわゆる「自然葬」を選んだ場合、その費用はどのくらいかかるのでしょうか。相場を探ってみましょう。

自然葬とは

自然葬とは、遺骨を墓地に納めるのではなく、大地や海などの「自然に還す」という考え方に基づく弔いの形です。

近年注目を集めているため“新しいスタイル”のように受け取られがちですが、自然に回帰するという葬送の形は昔から行われていました。現在の日本ではほぼ見かけることはありませんが、「風葬」や「鳥葬」「土葬」など自然に回帰する様々な弔い方が存在します。

現在の日本における「自然葬」は、「散骨」と「樹木葬」のみを指すことが多いです。

散骨（海洋散骨）

遺体を埋葬するための手順や条件が記された法律である「墓埋法」では、自宅の庭など墓地ではない場所への遺体の埋葬を禁止しています。

ただ、散骨を禁止する規定はなく、一部地域の条例を除いて散骨は法規制の対象外です。

日本における散骨は、火葬後の遺骨を粉末状にし、船などで海の沖合まで運んで散骨をする「海洋散骨」が一般的となっています。そのやり方は大きく分けて2通りで、船を借りて個別で散骨をする場合、または代行業者に任せる場合とがあります。

散骨は法規制の対象外ではありますが、節度を持って行うことや、周囲の権利者や住民などに配慮する必要があるとされています。以下に代表的なものを抜粋しますのでご覧ください。

・遺骨は1mm〜2mm程度の粉末にする
・海岸ではなく、陸地から1海里以上離れた沖に散骨する
・養魚場・養殖場や航路を避けて散骨する
・自然に還らない副葬品などは撒かない
・花を海に手向ける場合は花びらだけにする
・桟橋やマリーナにいる他の利用者の心情に配慮するため喪服の着用を避ける

樹木葬

樹木葬とは、従来のような「石造りのお墓に遺骨を納骨する」のではなく、「墓地や霊園に植えられた樹木の下へ埋葬する」という埋葬方法です。墓標の代わりには樹木や花、石のプレートなどを使います。

自然物の樹木を墓標としますが、墓地や霊園内にあり、従来同様にお参りに訪れることができるのが特徴です。そのため「樹木葬は厳密には自然葬ではない」という考え方もあります。

また、法律的にも墓地と同様に扱われるため、墓地として許可を受けた土地でなければ樹木葬を行うことはできません。

樹木葬には「里山型」と「公園・都市型」の2種類あります。

里山型は、都心部から離れた森林や山林などに遺骨を埋葬する方式です。
もともと樹木葬は、里山の自然環境保全を目的に、岩手県にある寺院・知勝院が提唱したもので、自然のままの環境を生かした弔い方となっています。

一方の公園・都市型は、霊園内に併設された樹木葬区画を指し、比較的都市部近くにあるのが特徴です。樹木が植えられた区画内に遺骨を埋める方法のほか、埋葬後に樹木を植樹するという方式もあります。施設によっては一般的な墓地のように区画を代々継承できる場合もありますが、ほとんどの場合、一定の年月を経た後に、永代供養塔などに合祀されます。

自然葬の費用は？

＜海洋散骨＞

海洋散骨に必要とされる費用の相場は以下の通りです。

◆遺族が参加する場合
・業者に粉骨と船のチャーター等をパッケージで依頼した場合：合計 約30万円前後
※その他、現地までの交通費や宿泊費、散骨する際の献花やお供え物の費用がかかります。

◆遺族が参加しない場合
・業者に散骨のすべてを委託する場合：約5万円程度（粉骨料込み）

＜樹木葬＞

樹木葬に必要とされる費用の相場は以下の通りです。

◆合祀型樹木葬の場合
（シンボルツリーなどと呼ばれる大きな樹木の下に、他の家族と一緒に埋葬する）
約5〜20万円
年間の管理費不要のケースが多い。

◆個別型樹木葬の場合
（大きな樹木の下で区分けされた場所に埋葬する）

1人で埋葬の場合
約15〜50万円
年間管理費：約8千円〜2万円

2人以上の複数名で埋葬の場合
約50〜80万円
年間管理費：約8千円〜2万円


なお、樹木葬の場合、埋葬場所の広さや立地などによって費用が異なる他、上記以外にも、法要料や銘版彫刻料が必要となるケースもあるため、注意が必要です。


以上が、自然葬の費用の相場でした。
自然葬を検討する場合の材料にしていただけると幸いです。

自然葬に関しては他にも記事がございますので、ぜひご覧ください。


◆散骨をするために押さえておきたい5つのこと

◆樹木葬の注意点　お墓とはどんな違いがあるの？

◆日本とは違う世界のお墓事情