お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

日本とは違う世界のお墓事情

墓地・墓石コラム

日本とは違う世界のお墓事情

お墓といえば灰色の四角い石が設置されているものを連想しますが、世界には様々なお墓があります。歴史的価値のある墓地や、観光名所になっている場所も存在します。日本とはお墓事情が違う故に、埋葬方法も多種多様です。国内の仏教とは違う死生観や、供養に対する考えの違いは、どのように海外のお墓に影響を与えているのでしょう。

観光地や世界遺産はお墓が多い?

〇エジプト(メンフィス、ギザ、テーベ、王家の谷)

エジプトは墓地遺跡が多く、都市遺跡メンフィスにはギザのピラミッドがあり、テーベのナイル川西岸にも岩窟墓群の王家の谷があります。

〇トルコ(ネムルト山)

トルコのネムルト山の山頂には、コンマゲネ王朝アンティオコス1世が築いた巨大墳墓があります。

〇インド(タージ・マハル、デリーのフマユーン廟)

インドのタージ・マハルとデリーのフマユーン廟は、どちらも有名な墓廟です

〇中国(始皇帝陵)

中国の始皇帝陵は世界遺産に登録されている広大な墓です。

〇フランス(モンパルナス墓地、モンマルト墓地)

フランスのパリには有名な墓地が複数存在し、モンパルナス墓地やモンマルト墓地などがあります。

〇イタリア(サン・ミケーレ島)

イタリアのサン・ミケーレ島は、島全体がベネチアの墓として機能しています。元々は沼地の多い無人島で、嵐の時に避難所として活用されていたといいます。歴史のある場所のため、土地つきの標準的な墓地と古い時代の区画が島中に混合して存在します

〇アイルランド(グレンダーロッホ)

アイルランドのグレンダーロッホは1500年前に建てられた修道院があり、教会跡地には墓地が併設されています。

〇スウェーデン(森の墓地)

スウェーデンの森の墓地と呼ばれる共同墓地、スコーグスシュルコゴーデンは世界遺産に登録されています。

〇チェコ(セドレツ納骨堂)

チェコのセドレツ納骨堂は約4万人の人骨を保管し、そのうち約1万人分の人骨は礼拝堂内の装飾になっています。14世紀に伝染病が流行り、亡くなった犠牲者がこの場所に埋葬されています。

〇ルクセンブルク「アメリカ軍墓地」

ルクセンブルクにあるアメリカ軍墓地は、第二次世界大戦中に亡くなったアメリカ軍兵士が眠る墓地です。

〇リトアニア「十字架の丘」

リトアニアの十字架の丘は墓地ではありませんが、流刑されたリトアニア人を慎んだ人々が、十字架を建て始めたといわれています。

現代の世界お墓事情

〇アジア

アジアの国々のお墓事情は異なります。韓国では火葬が推奨され、ロッカー式の納骨堂に遺骨を納めるのが一般的になりつつあります。中国は、お墓に個人か夫婦でしか入れないため、土地を圧迫しないように国が樹木葬や海洋葬を推進しています。韓国と中国に共通するのは、土地不足によって場所を取らない埋葬方法を模索していることです。台湾も同様の理由で、昔からある土葬式の大きいお墓が減少し、火葬が増えています。インドは火葬をして遺骨をガンジス川に流すヒンドゥー教徒が多いため、お墓を持たない人がほとんどです。

〇ヨーロッパ

ヨーロッパでは特定のお墓が、観光名所や憩いの場として生活圏内にあります。フランスではカトリック教徒が多い時代は土葬が基本でしたが、移民の受け入れによる無宗教派の増加や経済的な理由から火葬が増えています。有名な芸術家のお墓は観光客が訪れる人気スポットとなっています。イギリスはプロテスタントに属するキリスト教や、様々な宗教を崇拝する移民が混在するため、埋葬方法やお墓も多種多様です。墓地が価格高騰した影響から、火葬後に遺骨を灰にして好きな場所に散骨する人が増えています。スペインでは昔ながらの穴を掘る土葬と、大きな壁に穴を開けて棺を納める埋葬方法が存在します。各国が墓地の確保問題を抱える一方でスウェーデンは、森の墓地と呼ばれ世界遺産に登録された巨大な公営墓地を郊外に設置しています。

火葬以外の様々な埋葬方法

〇塔葬

塔葬はチベット族特有の葬儀方法です。遺体に塩をつけ乾燥させたあと、霊塔に遺体を安置し埋葬するこの方法は、有名な法王に対してのみ行われます。

〇天葬(鳥葬)

鳥葬とも呼ばれる天葬は、天葬師が故人の遺体を解体しハゲタカなどの野鳥に食べさせる葬儀方法です。主にチベット国内で僧侶以外の一般人に行われます。

〇水葬

水葬は天葬するのが難しいチベット東部の山間部で行われる埋葬方法で、チベット仏教の僧侶に経を読んでもらい遺体を川に流す葬儀です。

〇樹木葬

樹木葬は、墓石を建てず樹木を墓標にして遺骨を埋葬する自然葬の一つです。永代供養の一種で、宗派や宗旨を問わず埋葬できます。墓石を建てないので必要な区画がコンパクトで、費用が安いことも特徴です。

国が違っても故人への思いは共通

世界各地に日本と違う様々な文化があり、文化の数だけお墓や埋葬の種類が存在します。墓地の確保という各国共通で抱える問題に対しては、火葬後に場所を取らない遺骨の保存方法を模索している国が多いようです。時代の変化とともに埋葬方法も変化させる傾向が強いですが、どの国にも共通している大切なことは故人への思いです。