お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
神道だとお墓はどうするのが普通?仏教との違いとは
私達が墓というとイメージするのは仏教のお墓が多いのではないでしょうか。墓地は、お寺に隣接している所も多く、仏教各宗派を合わせると檀信徒数も多いため、日本では各家の 先祖の宗派の墓に入るのが一般的になっています。一方、日本には寺と同様に数々の神社があります。この神社で祭事を行う神道も日本の宗教です。最近は御朱印ブームもあり、神社を訪れる人も多くなったので自分の終活を考える上で気になる人もいるかもしれません。では、あまり知られていない神道の墓とはどんなものなのでしょうか?
神道のお墓はどんなもの?
仏教であれば、歴史上の人物としても有名な人が創始者の宗教や、古来伝わる由緒ある宗教がいくつかあります。中には創始者が現在生きている人だというものもあるでしょう。一方、神道には開祖と呼ばれる宗教の創始者のような人はいません。日本に大昔から伝わる神話や、自然などに基づいて生まれたものであり、「祖先を大切にする」と考える民族信仰から始まっています。神は自然にあるものと一体化していると考えられ、その神と生きている人類を結びつけるものが、祭祀や年中行事であり、それを行う場所が神社となります。
神道にも、もちろん墓がありますが、仏教と決定的に違う点があります。それは、仏教が各宗派の寺の敷地内や隣接する場所に墓を建てるのに対し、神道の場合は、神社の中に墓を建てることはない、という点です。神道において、神社とはあくまでも祭祀を行う場所としています。死にまつわることは、けがれ、ともされ、昔から避けられているのが一般的です。そのため、神道の人達の墓は、神社から離れた霊園にあることが多いです。そういった霊園では、宗派不問であるところが多いので、神道の人も墓を建てることができます。
仏教のお墓との違い
〇形
神道の墓の形は、仏教の墓と形がとても似たものが多くあります。また、家名が書かれている棹石(さおいし)の先が少し細くなっている点が、神道の墓の特徴と言えます。棹石の上の部分は、角兜巾(かくときん)型といい、四面を斜めに切り、三角の形になっています。この先が細く尖った形は、三種の神器の一つである、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を表していると言われています。天叢雲剣は熱田神宮の御神体の一つです。また、仏教の墓との大きな違いは、焼香をしないので、香炉がない点です。その代わり、お供え物を置くための八足台と呼ばれるものが設置されています。
※併せて、神道のお墓の写真を載せておくとわかりやすいでしょうね
〇お墓に刻む言葉・文字
神道の墓に刻まれる言葉や文字にも特徴があります。仏教の墓との大きく違う点が、「戒名」を使わないという点です。神道には仏教にある、戒名というものがありません。戒名と同じようなもので、「諡(おくりな)」「霊名」があります。これらは年代と性別で変わるのが特徴です。そして仏教の墓には家名の下に「家之墓」と刻まれるのに対して、神道の墓の場合は、家名の下に「〇〇家 奥津城」や「〇〇家 奥郡城」と書かれ、奥津城・奥郡城はいずれも“おくつき”と読みます。これ以外にも神道式の墓には、自然にある石に家名が書かれたものや、鳥居が墓の前にあるものなど、それぞれの地方により代々続いている、その地域独自のものも存在します。
神道のお墓はどこに建てる?
〇神社が運営する霊園
仏教の墓と比べると数は少ないのですが、神社が運営する神道の墓が集まる霊園もあります。日本の墓事情において、墓じまい、などという言葉も聞かれるようになる中で、神道専門の墓地は増加していると言われています。神道の墓を買って、そちらに入りたいと考える人にとっては、神道専用の霊園ということであれば安心感もあるでしょう。各地方にそういった比較的大きな神道専門の霊園がありますので、気になる人は問い合わせして相談するとよいでしょう。
〇宗旨・宗派不問の霊園
また、神道専門でなくても、宗旨、宗派不問としている霊園であれば、宗教に関わらず墓を持つことができます。ただ、大型のこういった霊園であっても、神道の墓は認めていないとしているところもありますので、きちんと確認することが大切です。たとえ、自分の住んでいる場所や、両親の実家の近くの霊園であっても、霊園ごとに決まりごとがあるので、調べておく必要があるでしょう。
神道のお墓参りやマナーについて
〇神道のお墓参りの時期
仏教では、お盆やお彼岸の時期にお墓参りをするのが一般的です。では神道のお墓参りはどうなのかというと、神道でもお盆の時期には故人に感謝をし、祭りなどを執り行います。仏式では初盆、新盆と呼ぶものを、神道式では、新盆祭・新御霊祭としています。またお彼岸の時期について神道では、先祖と自然界に感謝する大切な日とされています。そして、仏教では法要というものを行いますが、神道では、それを霊祭と呼び、仏教でいう四十九日法要にあたるものを、神道では、五十日祭、一年祭として大切に執り行ないます。
〇神道のお墓参りのマナー
神道のお墓参りでは、花ではなく、榊(さかき)という植物を供えます。また、仏式では線香をたくのが一般的ですが、神道式では、ろうそくに火を灯すことが多いです。持ち物としては、榊、ろうそく、お神酒、塩、水、米などが代表的なものになります。地域によって違いがあるので確認が必要です。仏式とは違うので、花や線香を持って行かないようにしましょう。服装については、一般的なお墓参りと同じで、派手な服装、露出の目立つ服装はやめましょう。また、靴は女性であれば黒のパンプス、男性なら草履などではない、しっかりとした靴を履くようにしましょう。神道式のお墓参りでは亡くなった人は神様と同じ扱いになるので、神社で参拝する時と同じように、二礼二拍手一礼で拝礼します。
神道式のお墓を考えるならばその特徴を知っておくことが大切
日本で一般的な墓とされる仏式とは違った神道式の墓ならではの様々な特徴を紹介しました。日本古来伝わる神道式の墓についてよく理解しておくことは大切です。基本的には神道の場合は、霊園に墓を建てることになりますので、検討するならば、しっかりと霊園側に確認しておく必要もあります。また神道式のお墓参りの正しい知識を持っておくことも重要です。