お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
「無宗教」のお墓とは? まずは知っておきたい4つのこと
NHK放送文化研究所が2018年に行った調査によると、36%の方が「特定の宗教を信仰している」と回答しました。つまり、残り64%はどの宗教も信仰していないということとなります。
「どの宗教にも属していない」という方の割合は海外でも増えてきているそうですが、日本ではどうして無宗教の方が多いのでしょうか?
日本はもともと一般的に神仏習合、つまり仏教と神道は共存し、明確な区別がありませんでした。明治になり神仏分離し、仏教と神道は別の宗教として存在するようになったのですが、かつての習慣から仏教と神道のどちらか一方を選ぶことが難しく、その結果、「あなたの宗教は?」と問われた場合に「無宗教」と答える人が多くなったといわれています。
なお、日本国憲法第20条では「信教の自由」が定められ、各人がそれぞれの考えに基づいて納得できる宗教を選び、信仰できる自由が権利として認められています。それと同時に、「誰からも特定の宗教を強制されない」という自由、そして「信仰を持たない」という自由も保障されています。
「無宗教」とは
「無宗教」が定義するものは「特定の宗教を信じていない状態」や、「宗教そのものに関心がない状態のこと」です。
似たような言葉に「無神論」というものがありますが、これは神をはじめとした、超自然的な存在そのものを否定する考えのことです。
無宗教の方の中には、神仏の存在を否定している人(無神論者)もいることもありますが、あくまで特定の宗教・宗派に縛られないだけで、神仏の存在を信じている人もいます。つまり、無宗教=無神論ではないのです。
本項では「無宗教」の方についてのお墓選びや追悼の方法について、ご紹介していきます。
無宗教の葬儀
無宗教の葬儀は「自由葬」とも呼ばれ、僧侶や神主、神父・牧師などの宗教者を呼ぶことなく行われます。読経や説教など決まった流れや形式がないので、故人や喪主の趣向に合わせ、故人の好きだった音楽を流したり、お花を供えたりなど、式の内容を自由に決めることができます。一般的な仏式の葬儀から、仏教の要素を抜いたような形で行われる場合も多いようです。また、ガラリと雰囲気を変えて行うこともでき、アットホームな雰囲気の中で故人を偲ぶこともできます。
無宗教のお墓選び
無宗教のお墓を建てる場合、その場所に注意が必要です。なぜなら、例えば寺院の境内にある墓地等であれば、一般的に該当する宗旨・宗派に属していなければならないからです。つまり、無宗教でも建てられる場所を探す必要があります。
ではどこであれば建てられるのでしょうか?
まず、地方自治体が管理運営する公営霊園であれば一般的に宗教不問です。
また、財団法人や社団法人、民間企業が管理運営する民営霊園でも、一般的に無宗教の方であっても利用できるところが多いです。
一方で、宗旨宗派不問とあっても在来仏教に限るとしていることもあり、宗教不問ではない場合もありますので、まずは一度問い合わせてみましょう。
その他の選択肢として、寺院や霊園が管理運営する「永代供養墓」や「納骨堂」に遺骨を納める方法もあります。利用に条件がある場合もありますので、事前に確認してみてください。
永代供養とは、承継者がいない遺骨を寺院や霊園が代わりに供養してくれるというシステムで、近年は遺族にお墓を守る負担をかけないようにと選択する方も増えています。必要な経費は、供養・管理にかかる「永代供養料」と、納骨時に執り行われる「法要のお布施」、墓誌(戒名)に名前を入れる「刻字代」などです。いずれの場合でも、墓地に遺骨を納めるときには各地方自治体が発行する「埋葬許可証」が必要となります。
供養の形は1つではありません。最適な供養の形を探ってみましょう。
納骨の方法
仏教では仏教では四十九日を基点に、神道では五十日祭を目安に納骨を行うのが一般的となりますが、信仰対象がない無宗教の場合は、宗教や宗派による考え方を取り入れる必要がなく、いつでも納骨をすることができます。
手順にも決まりはなく、家族のみの数人で行うのであれば、必要なことは納骨やお供えなどに限られます。
一方で、参列者が多い場合は、事前に手順を決めておいた方が当日はスムーズに進められるでしょう。
代表的な流れは次のとおりです。
1. 日程とお声がけする範囲を決め、各人に連絡する。
2. 石材店に連絡し、納骨のお手伝いをお願いする。
※最近では、納骨室へのご納骨から日除けテントの貸し出しまで、セットプランを組んでいるお店も多くなってきました。
3. 当日を迎え、墓地・霊園の管理者に埋葬許可証と受入許可証を渡す。
4. お墓に花や食べ物をお供えする。
5. 施主が開式の挨拶を行う。
6. 石材店の方に納骨をしてもらう。
7. お香を焚き献花を行う。
8. 会食を行う。
無宗教の墓石
無宗教のお墓を建てる場合、宗教・宗派ごとのきまりや慣習を考慮しなくてよいので、最も一般的で仏教色を感じやすい和型ではなく、洋型やオリジナルデザインなどを選ぶ方が多いようです。和風の雰囲気を好まれる場合は、五輪塔をはじめとした各種供養塔という選択肢もあります。
洋型の墓石は和型よりもデザインバリエーションが豊富で、鮮やかな色の墓石に、座右の銘やイラスト・美しい彫刻を施すなど、自由にスタイルを選ぶことができます。また、カロート(納骨棺)を地下に設けたロータイプの墓石もあります。和型墓石と比べて圧迫感が少なく、背が低いので掃除がしやすいということから高齢者の方にも人気が高いようです。
和型・洋型などの既製の形にとらわれないオリジナルデザインの場合、形はもちろんのこと墓石の素材から自由に選ぶことができます。この世に生きた証として、故人の人柄が偲ばれるような、個性あふれるデザインのお墓も増えています。
デザイン墓石の需要は増えていますが、実際はどこでも建てられるわけではありません。墓地の中には、景観の統一性を重んじるために、デザイン墓石を受け付けてもらえないところもあります。
宗教色を出さないお墓のデザインを希望する場合など、まずは専門家である石材店に相談してみましょう。