お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
灰色や黒だけじゃない墓石の色。どんな色があるの?
墓石と言うと、黒や灰色のイメージが強い方もいらっしゃるかと思いますが、現在はさまざまな色の石で建てることができます。石材選びはお墓の値段や雰囲気を左右する大きなポイントです。ぜひ実物をいろいろ見比べて、気に入った石を探してみてください。本記事では、墓石の色の種類についてご紹介します。
墓石の色に決まりはあるの?
「黒い墓石は太陽光で熱くなるので、眠っているご先祖様が辛い思いをする」「赤い墓石は火事や血を連想させる」と言われていた風潮があり、昔はあまり使われていませんでした。しかし、仏教ではお墓の色について特に決まりごとはなく、地域によって産出されていた石の色の差によって生まれた迷信と、今では考えられています。
少し前までは日本の各地方でお墓の色が異なりました。これは、地場で採れる石を墓石にしていた名残から、慣れ親しんだ色に近い石が使われ続けてきたからです。例えば、関西や中国・四国では、大島石などを使った灰色系のお墓が多いですし、浮金石などを使っていた関東なら、お墓は黒色系が多いです。
現在ではお墓の形も多様化しており、故人の人柄や雰囲気を石材や墓石の形で表現したような、自由なお墓選びをする方が増えています。
墓石の色の種類
灰色系
灰色系の墓石は落ち着いた雰囲気で、昔から人気があります。今でも日本全国で最も一般的な色で、石の種類も豊富です。一口に「灰色」と言っても、白に近い灰色、黒に近い灰色など、色合いは様々ですので、検討する際はぜひ現物を見比べてみましょう。
灰色系墓石の代表格は、関西圏で昔から特に人気の高い、愛媛県の「大島石(おおしまいし)」です。その質の高さから100年品質と評されています。時間が経つにつれて、味わい深く青みがかると言われる美しい石です。
外国産では、インドの「アーバングレー」が、安価で質も高く、広く使われています。
黒色系
西日本では迷信もあって縁起の悪い色とされていた時期もありましたが、現在では人気の色の一つです。福島県の「浮金石(うきがねいし)」は、古くから最高級国産墓石材として、主に東日本地域でお墓に用いられてきました。関東のお墓に黒色系が多いのは、この浮金石がよく使われていたからと言うこともできます。名前の由来通り、金箔や白の班が浮くように散りばめられた模様をしています。また、見た目だけでなく、頑丈さも最高級と評価されています。
外国産墓石では、インドの「クンナム」が最高ランクのひとつです。こちらも美しさと品質の高さを兼ね備えています。また、インドは黒色系墓石の種類が豊富です。
白色系
縁起の良い色として古くから好まれています。白色系の石の代表格は「庵治石(あじいし)」で、石(花崗岩)のダイヤモンドとも称されています。御影石の最高峰で、斑(ふ)という独特な模様が特徴です(庵治石は白口と黒口に分けられ、中には黒系のものもあります)。
国産墓石では他にも福島の「紀山石(きざんせき)」や茨城県の「真壁小目(まかべこめ)」などがあります。特に関東では、真壁小目の色=関東のお墓の色といっても過言ではないくらい、真壁小目がよく使われていました。黒色系と並んで、関東では人気の石です。
外国産墓石では、中国の「G623」が安価で供給の多い墓石として広く使われています。
青色系
国産墓石では、佐賀県の高級青御影石「天山石(てんざんいし)」などがあります。特に、紫がかった独特の深い青みを持つ最高級品は、「紺碧」の異名にふさわしい石です。
外国産墓石では、中国の「黒龍石」が関西地方を中心に人気の高い石です。青みがかった艶が美しく、耐久性も高い、才色兼備の石です。
ピンク・赤色系
近年では、外国産の石もたくさん使われるようになり、お墓の洋風化とも相まって、明るい色の石も使われるようになりました。今ではピンク・赤色系の石材も一般的な色です。ピンク色系の墓石は温かみのある色合いで、特に女性から支持されています。国産墓石では、神奈川県産、東日本の最高級墓石「本小松石青目」、岡山県の「万成石(まんなりいし)」があります。淡く優しいその色合いは、別名「さくら御影」とも呼ばれています。
見栄えのする赤色系の墓石では、濃い赤が特徴的なインドの「ニューインペリアル」などがあります。
緑色系
実は緑色系の墓石もあります。緑色系の墓石は落ち着いた雰囲気になるので、和型墓石にもよく合います。国産墓石では、神奈川県産、東日本の最高級墓石「本小松石青目」、岡山県の「備中青みかげ」(別名 矢掛青)、外国産ではインドの「M1H」などがあります。最近では、黒緑系の色も人気の色になってきています。
茶色系
茶色系の石は世界的に見ても希少な石になり、種類は多くありません。
国産では、宮城県の「伊達冠石(だてかんむりいし)」があります。伊達冠石は非常に特徴的な石です。表面は泥がついたような明るい褐色をしていますが、内部は黒灰色をしています。墓石にする場合、表面の部分をある程度残して仕上げることで、2色のお墓を作ることができます。また、黒灰色の部分は、時間が経つにつれ錆色へと変化していきます。
外国産では、インドの「ロイヤルブラウン」やフィンランドの「フォックスブラウン」などがあります。
複数の石を組み合わせてお墓を作ることもできます。赤色の石と黒色の石を組み合わせてより高級感を出したり、赤とピンクで穏やかさの中にワンポイントを入れたり、同じ石で作ったお墓とはまた違った、個性的なお墓になるでしょう。
墓石の色を選ぶときの注意点
墓石の性質も考慮する
墓石の色を選ぶ時には、見た目だけで選ばず、石の性質も確認しましょう。見た目はきれいでも耐久性に優れない石もあります。また、石材は地域や環境によって向き不向きがありますので、検討している石がその墓所に向いているどうかは、石材店のアドバイスを参考にしましょう。お墓は代々使うものですから、長持ちさせることも大事なことです。
石材店によっては取り扱っていないこともあります
事前に石の目星をつけても、石材店で取り扱っていない可能性がありますのでご注意ください。石にこだわるなら石材店を変えなければいけませんが、墓地・霊園によっては、そこにお墓を建てられる石材店が決まっていることもあります。石材にこだわりたい方は、墓地・霊園選びと石材店選びは一緒に進めたほうが良いでしょう。
石選びは石材店と二人三脚で
石材は地球が長い年月をかけて育んだ、一点物の芸術品です。いろいろな石材を見れば見るほど迷ってしまうかもしれませんが、現実的には予算や墓所と石材の相性などが判断基準になります。うっかり予算オーバーになってしまったり、建てた後にトラブルが起きたりするのを防ぐために、石材店とよく相談して決めましょう。価格や耐久性の面でも、ご自身の事情にあった墓石を探すことが大切です。