お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

ニッポンのお墓参り 各地の特長的なお供え物と風習

供養・埋葬・風習コラム

ニッポンのお墓参り 各地の特長的なお供え物と風習

お墓参りには欠かすことのできない「お供え物」と、古くから日本各地で受け継がれてきた「供養の風習」。一口に「お供え物」や「風習」と言っても地域によってその形態は様々で、「自分の住んでいる地域のお供え物や風習が実はその地域特有のものだった」…という事もあります。そこで今回は地域によっての違いと特長を紐解いていきます。

一般的なお供え物

お供え物に五供(ごくう)というものがあります。五供とは、「お香」「花」「灯燭」「浄水」「飲食物」の5つを指し、宗派によって多少の違いはありますが、基本のお供え物とされています。
具体的にどういったものを指すか、五供に関する詳しい記事がリンク先にございますので合わせてご覧下さい。
お墓参りに何を持って行けばよいの?

各地の特長的なお供え物と風習

「法界折」をお供えする(青森県)

青森県の津軽地方では、お盆のお墓参りの際に「法界折(ほうかいおり)」というお弁当を持って行きます。 各家庭で準備される方も多く、その家々や製造元によって差はありますが、一般的な内容は、黒豆ご飯、山菜(または根菜)の煮物、落雁、季節の果物や野菜、煮豆、お菓子(大福など)、鏡天(水ようかんのようなもの)などです。
その習慣は津軽藩の初代藩主・津軽為信(ためのぶ)の時代に始まったとも言われています。
また現在では、秋田県北部地域でもこの「法界折」の風習が浸透しています。

「ずんだ餅」と「おくずかけ」をお供えする(宮城県)

宮城県の一部地域では、「ずんだ餅」と「おくずかけ」をお供えするという風習があります。
ずんだ餅とは枝豆の餡をお餅に和えた仙台市発祥の宮城県を代表する郷土料理です。
名前の由来には諸説ありますが、豆を打つ=「ずんだ(豆ん打)」から来ていると言われています。
おくずかけとは、数種類の野菜や、豆腐、油揚げ、豆麩などをだし汁で煮込み、白石温麺を加えてとろみをつけた具だくさんの汁物で、宮城県南部を中心に食べられている郷土料理です。肉類を使用していないので精進料理としても食べられます。
名前の由来は「葛(くず)」でとろみをつけることから「お葛かけ」と呼ばれるようになったそうです。
これは家族が食べるだけでなく、お仏壇やお墓にもお供えして、ご先祖様と一緒に食事をいただきます。また葬儀から四十九日忌までの期間にお墓参りをする時に、草履(ぞうり)などを供える風習があります。これは仏教で「死後四十九日間の旅に出る」とされている為、道中で草履が傷んだ時に履き替えるためにお供えするという考えから来ています。

「焼酎」をお供えする(宮崎県)

宮崎県の一部地域では焼酎をお供えすることが多いです。お供え用の「スナック(360ml)」と呼ばれる焼酎もあるほどです。お供えした後は持ち帰り、その日の内にいただきます。
いわゆる「ワンカップ」の様に持ち運びに便利だったので、お供え物として重宝されています。

カラフルな実をつける植物を花代わりにお供えする(鹿児島県)

鹿児島県では時にカラフルな実をつける植物も花としてお供えされます。お供えの花として大事なのは長く日持ちすることとされており、南国の強い日差しが照り付ける地域ではその他の地域ではあまり見ないお花がお供えされます。エキゾチックな美人蕉、極楽鳥花、ウコンの花クルクマ、さらには実であるツノナスやゴシキトウガラシなども花としてお供えされます。お墓でよくみられる「お花」は長い歴史の中でその土地土地の環境に適したものが主流になるようです。

次にお盆時期の風習の違いを見てみましょう。
迎え火や送り火でご先祖様を迎え送るのが一般的ですが、迎え火の代わりに盆提灯でご先祖様をお迎えしたり、精霊馬を作ったりと様々な風習があります。
その中でも特に珍しいお供え物や風習の違いをご紹介いたします。

地域によるお盆時期の風習の違い

「切籠(きりこ)」をお供えする(石川県)

石川県金沢市等の一部ではいわゆる「お盆提灯」の代わりに、お墓の周りに切籠(きりこ※地域によっては「奉燈(ほうとう)、お明かし」等と言われる)を吊るす風習があります。
お祭りの方が有名ですが元々はお盆の飾り付けが起源とされています。

松明かしと花火(岩手県)

岩手県の宮古市では8月1日の「迎え火」から、7日、13~16日、20日、そして31日の「送り火」までの合計8日間、夕方から夜の間に、自分の家の前で松を燃やす「松明かし」と呼ばれる風習があります。
また、お盆中にお墓の前で花火をするという風習があります。
線香花火や手持ち花火ではなく、爆竹やロケット花火などの「打ち上げ系」のものが使われます。
ちなみに松明かしの時も、特にお子様のいるご家庭では送り火・迎え火の時にも花火を使用することがあるそうです。

苧殻(おがら)で迎え火と送り火を焚く(鳥取県)

鳥取県の一部では、麻の皮を剥いだ後に残る芯の部分の「苧殻(おがら)」で迎え火や送り火を焚くと言う風習があります。

迎え火の13日と14日夜におがらを川端で燃やしながら、
「コナカイ(この明かり) コナカイ じいさんも ばあさんも ござーい ござーい」ととなえ、送り火の15日夜と16日早朝にもおがらを川端で燃やしながら
「コナカイ コナカイ じいさんも ばあさんも いなはーい いなはーい」
という言葉をとなえます(大同小異あります)。

「おがら」を燃やす理由は、麻は古来より清浄な植物とされてきたためで、燃やした際の煙が「悪いものを寄せ付けない空間を作り出す」と考えられていたためです。

「ウチカビ」「シルカビ」を燃やす(沖縄県)

沖縄ではお盆の時期に、あの世のお金と考えられている「ウチカビ」や「シルカビ」を燃やします。
ウチカビとは藁を原料とした黄色い紙に小判のような丸い刻印が打たれたもので、沖縄ではスーパーなどで販売されています。
一方「シルカビ」とは「白紙」と書き、読んで字のごとく白い紙を長方形に切って作ったものです。こちらは販売されておらず、ハサミなどを「使わず」書道紙などを手で切って自作します。畏敬する対象(神様、仏様)に刃物を向けてはならないと言う意味合いから、ハサミやナイフなどは使用せず手で切ります。
ウチカビはご先祖様の通貨(=お金)、シルカビは神様へ渡す通貨(≒ 税金)と言われています。
また、沖縄のお供え物の重箱料理「ウサンミ(御三味)」を持ち出す際に用いられる、沖縄の魔除けの道具に、大きいススキで作られた「サン」があります。
食べ物の魂が悪霊に取られないために、ウサンミにサンを乗せて持ち歩くのです。

まとめ

同じ日本でもその都道府県、地域によってお墓参りに関係する風習は様々です。
中にはその地域特有の風習も多く、引っ越した先、あるいは嫁いだ先で思いもよらないお墓参りの風習を目にすることもあるでしょう。
その土地土地で形は違えど、心の根底にある供養の心は皆同じだと思います。お供え物を通した「ご供養」の意味を改めて知っていただく機会になれば幸いです。

ご供養に関する記事は下記のリンクにございますので、合わせてご覧ください。
そもそもご供養の意味とは?
追善供養とは?生者が故人のためにできる唯一のこと