お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

樹木葬の注意点 お墓とはどんな違いがあるの?

墓地・墓石コラム

樹木葬の注意点 お墓とはどんな違いがあるの?

樹木葬とは、従来のような「石造りのお墓に遺骨を納骨する」のではなく、「墓地や霊園に植えられた樹木の下へ埋葬する」という埋葬方法です。墓標の代わりには樹木や花、石のプレートなどを使います。「明るい雰囲気で良い」「自然に還りたい」「従来のお墓よりも安価」「今話題だから」などの理由で支持されていますが、樹木葬と従来のお墓は、特徴がかなり異なるものです。よく知らずに決めてしまっては後悔のもとになりかねません。
今回は、樹木葬についてご紹介しつつ、従来のお墓との違いや注意点をご紹介します。従来のお墓にも樹木葬にもそれぞれ長所・短所があります。あなたが望む、供養の形を選ぶことが大切です。

樹木葬とお墓の違いは?

樹木葬は自然豊かな雰囲気?

墓石の代わりに樹木を使うわけですから、墓地・霊園は緑豊かな雰囲気になります。特に、郊外の森や山に最小限の整備を行った、「里山型」と呼ばれる墓地・霊園では、自然そのものの雰囲気を味わえるでしょう。
ただし、従来のお墓を建てる場合でも、郊外の墓地・霊園を選べば、自然はたっぷりあります。日当たりの良い斜面のお墓などは、春秋のお彼岸のお参りには、気持ちよくお墓参りできるでしょう。「樹木葬だけが自然豊か」というわけではありません。墓地・霊園選びが肝心です。

樹木葬は埋葬方法が異なる?

樹木葬では、遺骨は直接土中へ埋めるのが一般的です。土に埋められた骨はいずれは分解され、自然へ還っていきます。
樹木葬は、もともとは里山の自然環境保全を目的に、岩手県のお寺、知勝院が提唱したものでした。「自然回帰」を魅力的に感じる方にとっては理想の埋葬方法だと思います。ただし、樹木葬でも骨壺のまま土の中へ埋める墓地・霊園もあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
ちなみに、従来のお墓の場合でも、納骨室の構造によっては土に還すことはできます。納骨室の下の土が露出しているお墓は、骨壺に入れずにさらしなどに巻いて置いておけば、土に還っていくのです。実際、納骨室がいっぱいになってしまったお墓では、古い遺骨から土に還していくという対応が取られています。

供養の仕組みは?

樹木葬では、個人や夫婦などの一代限りの永代供養式のものが中心です。
永代供養とは、最初にお墓の費用を一括して支払い、以後のお墓の管理や供養を霊園管理者に一任する契約形態です。納骨後、維持費を支払う必要はなく、お墓掃除もいらないので後継者がいない人も安心です。ただし、「生前契約の場合は、実際に納骨するまで管理費が発生する場合もある」というデメリットもあります。
樹木葬は故人を自然に還すという発想のものです。代々継承していくことが前提の従来の墓とは、そもそもの考え方が異なる点を理解しましょう。供養や故人について、あなたがどう考えているかによって、最適な供養は異なります。

樹木葬の注意点

火気厳禁なところもある

樹木葬の墓地・霊園では、火事を防ぐために火気厳禁にしているところも多いです。火気厳禁の墓地・霊園では、お線香やロウソクをお供えすることができません。熱心な仏教徒の方や、年配の方には、こうした習慣を大切にしている方もいらっしゃいますので、後々トラブルにならないように配慮が必要です。また、お供え物が制限されている墓地・霊園もあります。

「イメージと違った」と感じる方も

樹木を墓標にしたお墓と聞くと、個人個人の遺骨の上に、まるで生まれ変わったかのように立派な樹木が生えているとイメージしがちです。しかし、多くの墓地・霊園では、一本の樹の周辺に複数の遺骨が埋葬されています。一本の樹の下にいくつもの石のプレートが並んだ光景は、従来のお墓に見慣れている私たちには窮屈に感じるかもしれません。イメージと違いがないか、現地で確認した方がよろしいでしょう。
樹木一本を生かすには、従来のお墓の区画よりずっと広い面積が必要です。そのため、都市にある墓地・霊園では一本の木の下に複数のお墓を作らざるをえないのです。一本の樹を占有する区画もないわけではありませんが、費用は増えますし、都心では数も少ないでしょう。

遺骨を返してもらうことができない

遺骨が自然に還る樹木葬では、一度埋めた骨は基本的には掘り起こすことはできません。
また、永代供養の樹木葬では、事前に定めた一定期間を過ぎた遺骨は、合祀墓に移されます。いずれにしろ、一度埋めた後は返ってこないものです。
故人の供養はまず心がけが第一ですが、形として残らないとその気持ちをどこに向けたればいいかわからない方もいらっしゃいます。遺骨が残らないという形が、本当に後悔しないかよく考えたほうがよろしいでしょう。

樹木葬の注意点 本当にお墓は高いのか?

樹木葬には「従来のお墓と比べて安価」という意見もありますが、本当にそうなのでしょうか?本記事の内容をまとめると、樹木葬には、以下のような特徴があります。
・墓標には、樹木や石のプレートが使われることが多い
・区画が小さく、詰められている墓地・霊園も多い
・代々受け継ぐものよりも一代限りのものが多い
この特徴を踏まえて考えると、従来のお墓と比べるのは難しいものであると言えるでしょう。そもそも墓標が違いますし、お借りする土地の広さも違います。個別で維持する期間も違います。それぞれ特徴があるものですから、一概に「安価」「高価」と比べるのは無理があります。
お墓にはお墓の良さが、樹木葬には樹木葬の良さがあります。いずれにしろ、故人とご家族の希望が叶えられる埋葬方法を、よく話し合って決めることが大切です。迷ったときは霊園や石材店等の専門家に相談してみるのもよいでしょう。