お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
墓地・霊園に関する法律を解説します。建墓のルールを確認しましょう。
本記事では、「墓地、埋葬等に関する法律」から、知っておくと便利な情報や知識に絞って、わかりやすく解説いたします。法律と聞くと、「難しい」「読むのが大変」といったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、ご安心ください。お墓を建てる際には、最低限の理解だけで大丈夫です。必要な知識だけを、カンタンにご紹介いたします。
墓地・霊園に関する法律とは
墓地に関する法律は「墓地、埋葬等に関する法律」という名称で昭和23年に制定されました。別名で「墓埋法」「埋葬法」と呼ばれています。この法律は、墓地だけではなく、火葬、埋葬、改装など、墓石や遺骨についてのあらゆる事柄が定められています。
*本記事では、以後「墓埋法」と表記します。
詳細は厚生労働省のHPで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15/
墓地・霊園に関する法律で押さえておきたいこと
墓埋法第1条ではこの法律の目的に触れています。
第1条
『この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。』
注目すべきは墓埋法では墓地や火葬場、遺骨や遺体の処理などが、「公衆衛生の観点」から定められていることです。葬儀や供養の方法には言及していません。日本国憲法では「信教の自由」が保証されていますので、葬儀や供養のやり方に制限はかけられないのです。つまり、遺骨や遺体の扱い方には法律上の決まりがありますが、葬儀や供養については特に決まりがなく、各人の宗教や考え方に基づいて自由に行うことができるということです。
墓地・霊園に関する法律からお墓づくりのルールを解説
本項からは、ご遺体の扱い方やお墓を建てる際に知っておきたい基本的なルールを3つご紹介します。
すぐに埋葬したり、火葬してはいけない
第3条
『埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない』
第3条では、死亡後すぐに遺体を埋葬・火葬することを禁じています。この法律が制定された昭和23年の頃は今ほど医療技術が発達していなかったので、蘇生の可能性があったことが理由といわれています。現在では確実な死亡診断が可能となったので、蘇生することはありませんが、昔の名残で今も24時間経過後でないと埋葬・火葬はできません。
遺体を焼かずに直接土に埋める「埋葬(土葬)」も、法律上禁止されているわけではないことが、第3条を読むとわかります。ただし、埋葬を許可している墓地はほとんどありません。
最近では、通夜・告別式を経ずご遺体を火葬する「直葬」と呼ばれる葬儀方法もありますが、この場合でも病院からすぐ火葬場に運ぶことはできません。一般的には、ご家庭などで一度ご遺体を安置して、死亡後24時間経過するのを待ちます。
墓地・霊園以外の場所に埋めたり、お墓を建ててはいけない
第4条
『埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。』
第4条では、墓地として指定されている区域以外で遺骨を埋蔵することを禁じています。これは自宅の庭や所有している山林などの、私有地であろうと許されません。
ちなみに最近では、海や山に遺骨を撒く「散骨」という方法もありますが、これは遺骨を埋めるのではなく、撒く程度に済ませているから許されていることです。埋めたり、墓標に相当するものを建てたりしてしまうと、焼骨の埋蔵になってしまいます。
埋葬・火葬にはまず許可が必要
第5条
『埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。』
身近な方が亡くなると、気が動転してしまうかもしれません。葬儀の手配や親戚縁者への連絡など、やることもたくさんあります。役所への死亡届をつい忘れがちになりますが、この条文を覚えていればそうした事態も防げるでしょう。火葬には、自治体の許可が必要です。火葬許可証は死亡届を提出することで発行してもらえます。つまり、死亡届の提出は、葬儀を次のステップへ進めるために欠かせないものなのです。
法律に違反した場合の罰則は?
第21条
『左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する』
墓埋法に違反した場合の罰則は、第20条~第22条に載っています。
左の各号の一は『第3条、第4条、第5条第1項又は第12条から第17条までの規定に違反した者』を指します。
墓地・霊園に関する法律を知っておく意味
「墓地、埋葬等に関する法律」から、お墓を建てるときに押さえておくべき点を抜粋してご紹介いたしました。墓埋法を把握していなくてもお墓は建てられますが、法律を知っておくことでふとした疑問が解決することもあります。石材店との打ち合わせや墓地・霊園選びの際もきっと助けになるでしょう。