お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

お墓参りで唱えるのは、南無阿弥陀仏?それとも南無妙法蓮華経?

葬祭基礎知識

お墓参りで唱えるのは、南無阿弥陀仏?それとも南無妙法蓮華経?

「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」は、唱えることで故人の供養につながるとされています。お葬式や法要の場には欠かせませんが、お墓参りのときにも唱えるのがよいとされています。しかし、現代は無宗教の方も多いですから、故人のためにこれらの言葉を唱えようと思っても、「はて?どっちを唱えたらいいのかわからない」方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、これらの「念仏」「お題目」と呼ばれる言葉の意味や違いについて解説いたします。間違ったものを唱えてしまうと、故人やお寺に失礼ですし、ご親戚の前で恥をかいてしまう可能性もあります。ぜひご一読ください。

南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経は、似ているけれど違うもの!

まず簡単に説明すると、ご供養の場でよく使われるこの2つの言葉は、使用する宗派が異なります。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱えるのは浄土宗・浄土真宗・真宗・天台宗などです。一方、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」は日蓮宗で唱えられているものです。

南無阿弥陀仏の意味とは?

「南無阿弥陀仏」は「南無」と「阿弥陀仏」という2つの言葉が組み合わさっています。「南無」は「帰依する(心のよりどころとしてあがめる)」という意味があり、「阿弥陀仏」は阿弥陀如来を指します。つまり、仏様への信心を口に出すことで、その功徳にあやかり、救いの手を差し伸べてもらおうという行いです。「仏」様の名前を「念じる」ことから、「念仏」と呼ばれています。
ちなみに、「ナンマンダブ」「ナンマイダー」という念仏も、「南無阿弥陀仏」と同一のものです。

南無妙法蓮華経の意味とは?

「南無妙法蓮華経」は、「南無」と「妙法蓮華経」という2つの言葉が組み合わさっています。「南無」は先述した通り、「帰依する」を意味します。では、「妙法蓮華経」とはどんな一体何なのでしょうか?
「妙法蓮華経」とは、日蓮宗が最も大事にしている経典「法華経」の別名です。なので、「南無妙法蓮華経」には、「仏の教えを大切にします」という意味があり、「念仏」とは言わず、「お題目」と呼ばれます。
「法華経」の教えでは、人・動物・植物を問わず、どのようなものにも「仏の心」が備わっていると説かれています。お題目を唱えることは全ての仏さまに感謝し、手を合わせることにつながり、また自分の中の仏の心を見出すことができると考えられています。

「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」どちらを唱えればいいの?

もうおわかりかと思いますが、故人の宗派と同じものを唱えるべきです。ただし、ご自身も信仰する宗教・宗派がある場合、「故人のためとはいえ口に出しづらい…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。その場合、無理に口に出す必要はありません。大切なのは故人に対する供養の気持ちですので、ご自身の宗派のものを心の中で唱えましょう。
また、少し拡大して考えてみると、「故人と施主の宗教・宗派が異なる場合、お葬式や法要はどちらの宗派に従うべきか?」という課題に行き当たります。この場合も、どうすべきかは特に決まっていません。一例として紹介すると、「故人の宗派にあわせる」「読経などを行わない、無宗教葬儀で執り行う」といった方法があります。

他にもある念仏…「南無釈迦牟尼佛」「南無大師遍照金剛」

最後に、臨済宗・曹洞宗・真言宗の念仏をご紹介します。

臨済宗:南無釈迦牟尼佛(なむしゃかにぶつ)
曹洞宗:南無釈迦牟尼佛(なむしゃかにぶつ)
真言宗:南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)

いずれも「南無」の後に、それぞれの宗派の本尊の名前が添えられています。臨済宗・曹洞宗の「釈迦牟尼佛」はお釈迦様の別名です。真言宗の「大師遍照金剛」とは、本尊である大日如来と開祖・空海を指しています。

お墓参りにひと手間を

本記事をまとめますと以下のようになります。
・「南無阿弥陀仏」は念仏、「南無妙法蓮華経」はお題目。似ているようで違うもの
・念仏やお題目は、基本的には故人の宗派に合わせて唱える
・故人と宗派が違う場合、無理に唱える必要はない
ここまで読んでくださったあなたには、ぜひお墓の前で唱えていただければと思います。「故人の宗派を調べ、念仏・題目について学び、墓前で唱える」。故人のために勉強されたのですから、これも立派なご供養です。恥ずかしがらずに、口に出してみてはいかがでしょうか。故人もきっとお喜びになるでしょう。

お墓参りのマナーや常識はこちらの記事で紹介しています。
【保存版】お墓参りのマナーや常識 5つのポイント

各宗派のお参りの作法はこちらで解説しています。
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう