お役立ちコラム お墓の色々

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年間8000柱超え、増加する無縁仏とその対処法

供養・埋葬・風習コラム

年間8000柱超え、増加する無縁仏とその対処法

江戸時代には、引き取り手のない遺体は、投げ込み寺と呼ばれるお寺に持ち込まれていました。投げ込み寺は各地に存在し、身よりのない遊女や行き倒れた人の遺体や、身元不明の遺体などが運び込まれたことからそう呼ばれていたそうです。寺ではその遺体を「無縁仏(むえんぼとけ)」として供養しました。

無縁仏とは、供養してくれる方のいないご遺体や、管理・供養する人のいないお墓のことです。「無縁」には死者を弔う縁者がいない、という意味があります。

増加する無縁仏

供養してくれる方のいないご遺体、無縁仏は近年増加の傾向にあります。日本経済新聞の取材によると2018年度に全国20の政令指定都市が身寄りがないなどの理由で受け入れた無縁仏の遺骨数は計8287柱に上るとのことです。13年度に比べ1.4倍に増え、この間の全国の死亡者数の増加割合を上回り、政令指定都市全体では13年度以降、右肩上がりで年々増えています。

無縁仏の増えている背景には、少子高齢化や核家族化など、現代社会での生活環境や社会構造の変化があります。身寄りのない方が亡くなった場合、縁の薄い親戚等遺族が引き取りを拒否するケースなどもその要因となっているとのことです。家族や親族とのつながりの薄い高齢者が多い実態が浮き彫りになっています。無縁仏は生活保護を受けていた人がその多くを占め、特に生活保護受給者の割合が多いと言われる大阪市では受け入れ数の9割が生前生活保護を受けていた方だった年もあります。

また、管理する人がいなくなったお墓が無縁仏になってしまうケースもあります。お墓は先祖代々で継承するのが従来の姿でしたが、現在は跡継ぎがいないことを理由に、お墓が途絶えてしまうということも少なくありません。

無縁仏になるとどうなる?

引き取り手のいない遺体については、多くの自治体で遺骨を骨つぼなどで一時保管し、定められた期間内に引き取り手が現れなければ、公費を使って市営霊園の納骨堂などに合葬しています。

一方、管理・供養する人がいなくなったお墓については、平成11年3月に「墓地、埋葬等に関する法律施行規則の改訂」が行われ、これにより、墓地の使用者が一定期間以上管理料を支払わずに放置した場合、霊園などの管理業者は契約を解除して、墓地の整理をすることができるようになりました。
この場合、管理料を支払わない霊園の使用者に未払いの旨を伝えることを目的として、官報に情報を掲載し、墓地のわかりやすい場所に立て札を1年間設置する必要があります。
それでもなお、未払いが続くと、当該墓地を整理し、お墓は無縁仏として扱われることになります。

無縁仏となると、その処理に関して管理者に迷惑がかかることがあります。
例えば、本来はお墓を使用する人が寺院や霊園などに管理費を支払うべきものですが、承継者がいないお墓の場合お墓の管理費を支払う人がいないため、寺院や霊園などが管理費を負担する形になります。本来はお墓を使用する人が管理を行い供養するものです。寺院や霊園などに迷惑のかからないようにしましょう。

また、無縁仏でも供養はされるものの、無縁塚等のスペースに限りもあるため、遺骨は収納しやすいよう粉砕したり、一部だけを埋葬し残りを産業廃棄物として処分することがあります。無縁仏は不憫な扱いを受けることになり、故人のことを思えば、無縁仏とならないようできる限り注意したいものです。

無縁仏とならないために

承継者がいないお墓になることを避ける手段として、お墓のお引越し「改葬」があります。
自治体の決めた手続きにしたがい許可を得た上で行うものですが、たとえばお墓が遠方にあって維持管理が難しい場合、改葬を行うことで、お墓を近くに移して、無縁仏になることを防ぐことができます。
また、その他には永代供養付墓地、永代供養墓という方法があります。永代供養付墓地、永代供養墓とは寺院や霊園が遺骨を管理し供養するお墓のことです。お墓を引き継ぐ方がいない場合や、お墓の維持管理のことで子供に面倒をかけたくないと思う方などを中心に選ばれています。承継者がいないお墓と違い、管理者が存在し、継続して供養をしてもらえるのが両者の特徴です。

先祖代々続いてきたお墓が途絶えてしまったり、身寄りがいないために無縁仏になったりすることは、やむを得ない側面もあるとは思いますが、大変に悲しいことです。ぜひ、ご先祖様との縁、家族の縁がもっと大切にされる現代になることを願います。ご自身が無縁仏にならない為にも、周囲との縁を絶やさず、家族や親戚、近隣縁者、お近くの石材店等専門家にも相談し、しっかり備えて準備しておきましょう。