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世界文化遺産「玉陵」謎の石厨子と悲運の占い師・木田大時

供養・埋葬・風習コラム

世界文化遺産「玉陵」謎の石厨子と悲運の占い師・木田大時

琉球王国の名君・尚真王が築いた王族の墓・玉陵(たまうどぅん)。玉陵に眠っているのは歴代の国王、王妃。あとは王子、王女ら王族です。しかし、ひとつだけ、誰のものかわからない石厨子が中室(洗骨前に遺体を安置する部屋)にあるそうです。それと符合するかのように、尚真王時代に誤って処刑されてしまった占い師が玉陵に葬られたという言い伝えがあります。今回はこの言い伝えと玉陵をご紹介します。

尚真王とは

尚真王(1465~1526年)は琉球王国の黄金期を築き上げた名君とされます。尚真王の治世は約50年間。歴代の国王の中では最も長く、その間に多くの功績を残しました。尚真王が基礎を築いた第二尚王統は明治まで続きました。

尚真王は各地に住んでいた地方の有力者・按司(あじ)たちから武器を取り上げて首里に集めて住まわせ、厳格な身分制度を確立して琉球王国の中央集権化を進めました。また、現在も首里城近くの金城町に残る石畳・真珠道(まだまみち)の整備も行っています。
今回ご紹介する玉陵だけでなく、世界文化遺産にもなっている園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)、王家の菩提寺でもあった円覚寺も尚真王によってつくられたものです。

尚真王と玉陵についての記事もあります。こちらもあわせてどうぞ。
世界遺産「玉陵」名君・尚真王が築いた歴代琉球国王の墓

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玉陵とは

玉陵は1469年から1879年まで410年間続いた琉球国王・第二尚王統の墓です。第二尚氏の三代目の尚真王が父王・尚円王のために1501年に築いたとされます。
1945年の沖縄戦で大きな被害を受けましたが、修復工事が行われ、元の姿を取り戻しました。2000年には首里城などとともに世界文化遺産に登録され、2018年には国宝にも指定されています。

沖縄特有の三角屋根のついた家のような形をした墓・破風墓(はふばか)で現存する破風墓の中でも最大にして最古の墓です。

東室、中室、西室の3室の墓室があり、東室には国王と王妃の遺骨が、西室にはそれ以外の王族の遺骨が納められています。

悲運の占い師・木田大時(むくた うふとぅち)

尚真王時代、現在の沖縄本島南部・南城市に木田という男がいました。木田は風水や天文学、易学を学び王府に勤めていましたが、不思議な力があり、評判の占い師でもありました。

ある時、尚真王の王子が原因不明の病を患い、懸命の治療にも関わらずその容態は悪くなる一方でした。困り果てた王は評判の占い師の木田を呼びました。木田は病の原因が悪霊であることを占いでつきとめて、王子についていた悪霊を払い、見事、王子を助けます。王は喜んで木田に「大時(うふとぅち)」の称号とたくさんの褒美を授け、重用しました。「時」は当時の琉球で占いをする男性を指します。「大」は「もっとも、すばらしい」という意味で「大時」は「国一番の占い師」ともいえる栄誉ある称号でした。

王の大きな信頼を受けていた木田大時はその活躍を妬む者の策略で王の前でその力を試されることになります。木箱に1匹ネズミを入れておき、「箱には何匹のネズミがいるか?」と数あての占いをさせられたのです。木田大時は3匹と答えました(ネズミの数は5匹という説もあります)。しかし、箱に入れたネズミは1匹。王の絶大な信頼を受けてきた木田大時は王をたばかった罪人として、処刑されることになります。

ところが、後で箱を開けてみるとネズミは3匹に増えていました。ネズミは妊娠していて子供を産んでいたのです。木田大時の占いは当たっていました。王はあわてて処刑を中止させようとしましたが、時すでに遅し。木田大時は処刑された後でした。
誤って木田大時を処刑した王は悔やみ、木田大時を王族の墓である玉陵に葬ったとも伝えられています。

玉陵の中室にある謎の立派な石厨子

そして、実際に玉陵の中室には誰のものか分からない立派な石厨子がひとつあるそうです。
木田大時の話は木田大時の子孫にも伝わっていて、現在でも子孫にあたる人たちが沖縄の墓参りの行事である清明(しーみー)の季節になると毎年、玉陵にお参りに訪れるそうです。また、南城市にある木田大時の屋敷跡も拝所として今でも大切に管理されています。

まとめ

今回は玉陵と玉陵にある謎の石厨子にまつわる言い伝えをご紹介しました。
現在でも、ご子孫が墓参りに訪れるところを見ると、この話はただの言い伝えではなく本当かもしれません。また、言い伝えを信じ、数百年もの間、お参りを続けているというエピソードからは先祖を大切にする沖縄県民の県民性が伝わってきます。世界文化遺産にもなっている玉陵。尚真王や木田大時に思いをはせつつ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

玉陵への交通アクセス

住所:〒903-0815 沖縄県那覇市首里金城町1丁目3
※玉陵を見学するには入場料が必要です(大人300円、子供150円)。

モノレール

ゆいレール首里駅より徒歩約15分

バス

バス停「首里城公園入口」徒歩5分