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人形供養とは?大切な人形・ぬいぐるみと心残りなく別れる方法

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人形供養とは?大切な人形・ぬいぐるみと心残りなく別れる方法

何度も捨てようとしたものの、どうしても捨てられない人形やぬいぐるみがご自宅に眠っていませんか?子供のために祖父母が買ってくれた雛人形や五月人形、小さいときに可愛がっていたぬいぐるみなど、思い出が詰まっているものは、不要になった後もなかなか捨てづらいものですよね。一方、いつまでも持っていると、だんだん押し入れを圧迫していくのも事実です。
本記事では、思い入れのある人形・ぬいぐるみと気持ちよくお別れするための儀式、「人形供養」をご紹介します。ゴミとして処分してしまうのは忍びないとお考えの方々は、ぜひご一読ください。

人形供養とは?

人形供養とは、雛人形や五月人形、ぬいぐるみなどをお寺や神社、あるいは自分で供養する日本独自の文化です。日本には「万物に神や魂が宿るという思想」が古くから根づいています。ですから、長い時間を一緒に過ごした人形やぬいぐるみを粗末に扱うことに抵抗を感じる方は多いものです。
たとえば、以下のような人形は捨てにくいのではないでしょうか?

・故人が大事にしていたもの
・子供が愛用していたもの
・誕生日やウェディングなど記念日に贈られたもの

人形供養には、こうした心の痛みや罪悪感を和らげる効果があります。

人形供養の方法

一般的な4つの人形供養の方法をご紹介します。

方法①お寺や神社にお願いする

全てのお寺や神社で受け付けているわけではありませんが、「お焚き上げ」していただくことが可能です。初詣に行くと前の年のお札や、破魔矢を焼いているのを見かけると思います。あれが「お焚き上げ」です。焼いた煙と共にお札や破魔矢を天に返すという意味があります。
お寺や神社にお願いするメリットは、やはりその道のプロが行うので信頼がおけることです。申し込みをすると、人形の魂を抜く読経の時間を焼く前に設けて、丁重に処分いただけます。また、目の前で焼いていただけることで、人形がしっかりと供養されているのを自分で確認できます。
お焚き上げにかかる費用は、無料のところもあれば、有料のところもあります。また、いつでも受け付けているところもあれば、あらかじめ日程が決まっているところもあります。つまり、お寺や神社によってまちまちです。興味が湧いたら、まずは情報収集してみましょう。

方法②人形供養専門の業者にお焚き上げを頼む

人形供養を受け付けているお寺や神社が家の近くにない場合は、インターネットなどで検索して、専門の業者に依頼するという方法もあります。申し込みをすると、郵送用の段ボール箱が送られてきますので、中に人形を入れて送り返してください。供養が終わるとその報告書が送られてきます。
人形供養を行っているお寺や神社と提携している場合が多いので、ちゃんと焼いてもらえているはずなのですが、あまりにもカンタンに終わるので釈然としない方もいらっしゃるかもしれません。自分が納得できるかどうかは、お願いする前によく考えておいた方がいいでしょう。

方法③葬儀社に依頼する

人形供養を受け付けている葬儀社もあります。葬儀に使うホールに僧侶を招き、まるで人間のお葬式と同じように、祭壇に並んだ人形の前で焼香や読経を行います。その後は、葬儀社と関係のあるお寺や神社でお焚き上げされます。

方法④自分で供養する

ひと手間かけて気持ちを整理し、通常のゴミと同じように処分するという方法です。
まず、人形やぬいぐるみを丁寧に拭き、汚れを落とします。次に、清める意味で塩を振ります。最後に白い紙に包み、感謝や葬いの言葉をかけながら、新しいゴミ袋に人形を入れます。他のゴミは決して混ぜないようにしてください。この作法は、仏教由来のものではありません。自分の気持ちを納得させるための、いわば、おまじないのような儀式です。
また、お焚き上げを真似して、自分で焼いてはいけません。ご家庭でのごみの焼却(野焼き)は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって禁止されています。

ちなみに、供養する以外にも道はあります。例えば、「知人・友人に譲り渡す」「リサイクルショップに売る」「寄付する」などです。別の方のもとで新たな生を受けたと考えると、譲るのも気持ちいい選択だと思われます。

どの方法が最善かは一概に言えません。ただし、ご自分で供養した後に怪我や病気など不幸な目にあった場合、「人形を捨てたせいでは…?」と気になってしまう人もいるでしょう。想像力が豊かな方は、自分で供養するより、お寺や神社にお願いしたほうが懸命です。

人形供養のよくある質問

本項では、人形供養にまつわるちょっとした疑問を解決します。

人形供養に決まった日取りや吉日はあるの?

特に決まりはありません。「人形供養祭」といった名前で特定の日に行うお寺や神社もありますが、通年で行うお寺や神社ではいつでも受け付けていますので、ご自身の都合の良い日取りを選んで大丈夫です。

人形は直接持ち込むべき?

縁起を考慮して、「人形は直接持ち込むべき」と思っている人も多いものです。しかし、ご本人の気持ちが第一なので、納得できるのであれば郵送でも構わないようです。

人形供養以外の物の供養はどうすればいいの?

手紙・写真など想いのこもった物は、人形と同様に捨てにくいものです。お寺・神社によっては、こうしたものもお焚き上げしてもらえます。他には、こどものおもちゃ・こけし・故人の大切にしていた物なども丁重にお別れしたいものです。お寺や神社に確認してみるとよろしいでしょう。

人形供養で良いお別れを

愛着のあった人形・ぬいぐるみを捨てるのを心苦しく思うのは、仕方のないことです。しかし私たちには、過去を捨ててでも前に進まなければいけないときもあります。引っ越しなどはその良い例です。自分の人生にそういうタイミングが来たことを自覚し、気持ちが整理できるのであれば、思い切って供養することは誰も咎められないでしょう。役目を終えた物を捨てるのは決して悪いことではありませんし、それは人形・ぬいぐるみでも変わりません。大切なのは物体ではなく、一緒に過ごしてきた時間や贈ってくれた人の気持ちです。人形が手元からなくなったとしても、それはあなたの中に残っています。

大切なものとのお別れをきっかけに、供養とは何かを見直してみませんか?
そもそもご供養の意味とは?