お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

葬儀で送るお供え物「供物」とは?送り方(贈り方)や相場など基本のマナーを解説します

葬祭基礎知識

通夜や葬儀などで、祭壇の両脇に飾られる果物やお菓子などのお供え物を、「供物(くもつ)」と呼びます。葬儀に参列した際に目にすることも多いと思いますが、「どのような間柄の場合に用意するのだろう?」「どうやって手配するのだろう?」と疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今回は、供物を送る意味と合わせて、相場や選び方、手配の方法などについて解説していきます。いざ、大切な人へのお悔やみの気持ちを伝えたいと思った時に慌てないよう、送る方法やマナー、注意点について確認しておきましょう。

供物とは?

供物は、弔意を込めて送るお供え物

供物(くもつ)とは、通夜や葬儀、告別式の場で祭壇の脇に飾られる、果物や菓子、線香などのお供え物のことです。(四十九日や年忌法要などで、霊前や仏前にお供えする品物を指すこともあります。)故人や仏様への敬意や感謝を示し弔意を伝える意味があり、祭壇や会場を彩るとともに、遺族への心遣いとしての役割も担っています。

 

通夜や葬儀の際には、果物や菓子などを見栄えよく籠に詰めた「盛籠」を送ることが多いですが、菓子折りなど箱詰めされたお供え物に弔事用ののし紙をかけて送る方もいらっしゃいます。送り主が分かるように名札を付けて飾られるのが一般的です。

日本では古くから、神々や霊に収穫した作物や食べ物をお供えすることで、感謝の意を示し、祈りを捧げる儀式が行われていました。これが供物やお供え物の起源と考えられています。

誰が送る?

基本的に、通夜や葬儀の一般の参列者は香典を持参するのが慣例となっており、祭壇の周りに飾られる供物や供花については、故人の親族や、故人が所属していた会社・学校・団体などの関係者が送るというイメージが強いかもしれません。

しかし、供物も供花も、誰が送るのか、どの立場の人が送るのかについて特別な決まりや制限はなく、故人や親族と特に親しい方が送る場合もありますし、遠方で参列が難しい方が送ることもあります。

香典・供花・供物、どれを送るべき?

香典、供花、供物は、どれも弔意を示すという同じ意味合いがあり、その中でも供花と供物は、名札を付けて会場に飾るという同じ位置付けのものになるため、香典か、供花または供物のいずれかを送ればよいというのが基本的な考え方です。

ただ、どちらかしか送ってはいけないという決まりもなく、故人や親族と特に親しくしていて供花や供物と合わせて香典も包むという方、会社や団体で供花か供物を送り、式に参列する際には別途個別で香典を包むという方もいらっしゃいます。

どんなものを送る?NGなものは?

供物に選ばれるものとしてはお菓子や果物が多く、仏教では線香やローソクもよく選ばれますが、その他に、飲み物や乾物、缶詰、調味料など日常で使用する物や、故人の好きだった物が送られる場合もあります。 ただ、宗教や宗派・地域によって供物に対する考え方が異なりますので、ここでは、宗教ごとの基本的な考え方と代表的な供物を紹介します。

仏教

仏教の代表的な供物といえば、お墓や仏壇でもお供えする、線香、ローソク、果物、菓子などが挙げられます。一方で、殺生を想起するような肉類や海産物を送ることはタブーとされています。また、お酒はお祝い事をイメージさせ、葬儀の供物にふさわしくないという考え方もあるため、遺族に相談するなど気をつける必要があります。

神道

神道の供物としては、果物、菓子、海産物、お酒などを送ることが多いようです。仏教と違い、海産物やお酒は神社や神棚にお供えする神饌(しんせん)になっており、供物としても問題ないとされています。ただ線香やローソクは、一般的には仏教のお供え物と考えられているため、避けた方が無難でしょう。

キリスト教

キリスト教には、生花以外の供物を祭壇に飾ったり線香を焚いたりする習慣がありません。そのため、供物は送らず、仏教の香典にあたる御花料(献花料)や生花を送るのが一般的です。

供物としてふさわしくないもの

宗教などに関わらず、ニンニクやネギなどの匂いの強いもの、生ものですぐに傷むものは相応しくないと考えられています。また、鉢植えの花なども「不幸が根付く」ことをイメージさせるため避けた方が良いでしょう。 供物のサイズについても注意が必要です。近年、家族葬などの増加に伴って会場も小型化しているため、大きすぎる物は置けない可能性があります。遺族が持ち帰る際に負担をかけないためにも、どのくらいのサイズが良いのか葬儀場に相談することをお勧めします。

供物の相場

供物を送る際の相場は、5,000円〜20,000円程度が目安とされています。故人や親族との間柄や付き合いの程度によっても変わりますが、香典に包む金額を基準に、遺族側の負担になりすぎない範囲で検討すると良いでしょう。

通夜や葬儀で飾られる盛籠の場合、祭壇の両側に1基ずつ1対で送ることが基本とされていましたが、最近では小規模の会場も増えているため、会場の大きさなどに合わせて1基で送ることも増えているようです。

香典の相場についてはこちらで解説しています。

通夜・葬儀での香典はいくら包めばいい?香典を包む際

供物を手配する方法

通夜や葬儀で供物を送りたい場合は、葬儀社に直接依頼するのが一般的ですが、個人で用意することもできます。

葬儀社に依頼する場合

葬儀社に依頼する場合は、基本的に決まっているプランから選び、電話やインターネットを利用して注文します。遺族・親族分は、供花と合わせて遺族が取りまとめ、一括で依頼するのが一般的です。

葬儀社に直接依頼することで、地域の風習や宗教、祭壇のイメージ、会場の大きさに合わせてふさわしいものを用意してくれますし、手配のタイミングも任せておくことができるため安心です。また、確認事項が少なくて済むため、遺族や葬儀社スタッフに配慮をした負担をかけない方法とも言えるでしょう。

個人で用意する場合

故人が好きだったものを送りたい、葬儀社のプランにない物を送りたいといった場合には、

お店やインターネットで購入して届ける方法もあります。

ただ、葬儀社によっては外部からの持ち込みを受け付けていないところもあるので、事前の問い合わせを忘れてはいけません。持ち込みが可能な場合には、葬儀に適した品物の内容やサイズ、届ける時間や場所についても合わせて確認しましょう。

配送を手配する場合には、葬儀社、喪主の名前、葬儀日程、届ける時間と場所を忘れずに伝えましょう。小さいものであれば、葬儀の受付で渡して良い場合もあります。その際は、飾り付けに間に合うよう時間に余裕を持って持参し、「御霊前にお供えください」とひと言添えて渡しましょう。

箱詰めのものを送る場合

箱詰めのものを送る場合は、弔事用ののし紙(右上にのしが印刷されていないかけ紙)をかけ、送り主の名前を書きます。通夜や葬儀では、全国的に黒白5本で結び切りになっているものを使うのが一般的です。表書きは仏教では「御供」「御供物」、神道では「御供」「奉献」とします。

名札(のし紙)の、送り主の書き方

書き方の基本のマナー

供花と同様、供物にも送り主が分かるように名札を立てるのが一般的で、依頼する際にはその書き方も指定します。のし紙をかける際にも、送り主の前を書くのがマナーです。ただ、葬儀によっては名札を付けない場合もありますので、事前に確認しましょう。

書き方としては、送り主の立場や関係性を表すのが一般的で、個人名を書く場合もあります。連名の場合は3人までとし、それ以上の人数なら「〇〇一同」のように記載すると良いでしょう。

書き方の例

いくつかの例を紹介します。

親族:「子供一同」「孫一同」「〇〇家一同」「〇〇家 親戚一同」など。喪主の場合は、「喪主」または氏名を記載します。

会社や団体:「株式会社〇〇」「株式会社〇〇 代表取締役 △△□□」「〇〇株式会社 営業部」「〇〇株式会社 営業部 有志一同」「〇〇の会」「〇〇サークル 有志一同」

友人:「友人一同」「〇〇大学 友人一同」

夫婦の場合は夫の氏名のみでも良いですが、苗字に夫と妻の名前を記載する形で連名にしても問題ありません。外国人の場合、アルファベットは使わずカタカナ表記にします。

供物を送る時の注意点・マナー

遺族の意向を確認してから手配する

供物については、宗教や地域によって相応しいとされる品が異なる場合や、飾る場所が限られている場合などがあるため、事前に確認しておきましょう。その際、遺族の負担にならないよう、できる限り葬儀の世話役や葬儀社に問い合わせると良いですが、どうしても遺族への確認が必要な場合には、代表者が連絡をとり関係者に伝えるようにしましょう。

親族間で送る場合には、供花とのバランスなども考えて、内容やサイズ、誰が何を送るかなどを事前に話し合っておくと良いでしょう。

辞退されている場合は送らない

訃報や葬儀案内を通して、供物を辞退する旨が伝えられる場合もあります。このように事前に辞退の連絡を受けている場合には、遺族の意向を優先し、近しい間柄であっても供物を送らないのがマナーです。

届けるタイミングも確認する

余裕を持って会場の準備や飾り付けを進められるよう、配慮することが大切です。

基本的には、通夜当日の午前中のうちに依頼、または届くように手配するのが一般的とされています。

葬儀社に依頼する場合には、基本的に任せておいて問題ないですが、個人で手配する場合には、何日の何時までに届ける必要があるのかを葬儀社に確認し、時間を守って届けるようにしましょう。

まとめ

今回は、通夜・葬儀におけるお供え物である「供物」について解説しました。

人の死に際してお供え物をすることは、多くの宗教や国々で昔から行われてきました。大切な故人との絆を感じる心、感謝や敬意を込めて見送る心、遺族の悲しみに寄り添う心が、物を送る・供えるという形で受け継がれてきたと言えるのかもしれません。

供物は、供養のためのお供え物であると同時に、遺族への配慮を伝える「贈り物」でもあります。突然の訃報に慌ててしまうこともあるかもしれませんが、ここで紹介した意味やマナーも参考にしていただき、心のこもったお供えをしていただけたらと思います。

供物と同様に葬儀で送られる供花についても詳しく解説しています。

その他、通夜や葬儀に参列する際のマナーについての記事もありますので合わせてご覧ください。