お役立ちコラム お墓の色々

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家族葬ならではの香典のマナーを解説します

葬祭基礎知識

家族葬ならではの香典のマナーを解説します

家族葬とは、家族や親族、親しい友人だけで行う規模の小さなお葬式です。比較的新しい葬儀方法で、近年増加傾向にあります。今後、身近な方の葬儀に家族葬が選ばれることもあるかもしれません。
本記事では、家族葬ならではの香典のマナーについて解説します。香典はご遺族のためにお渡しするものですが、取り扱いを間違えるとかえってご負担になってしまうこともあります。いざという時に困らないように、家族葬の知識を深めておきましょう。

香典とは

香典とは、お葬式に参列した方が故人へのお気持ちとして持参するお金のことで、通夜・葬儀・告別式いずれかの際にご遺族にお渡します。「香」には「線香の代わりに」、「典」には「死者に供える金品」という意味があります。遺族の葬儀費用の負担を助けるという「援助」の役割を持っています。

家族葬での香典 基本的な考え方

家族葬の場合も、基本的には香典を持参します。一般的な葬儀よりも参列者が少ないので、親族はやや多めの金額を包む傾向があります。
ただし、家族葬ではご遺族が香典を辞退(受け取りをお断りする)されることも多いです。葬儀の場で香典のやりとりをする場合、受付の設置や金品の管理が必要になります。また、香典返しと呼ばれる返礼品を用意しなければいけません。こうした事務をなるべく減らし、故人との別れの時間に集中したいというのが、家族葬を選ぶ方の意図である場合が多いのです。何も渡さないのは気が引けるかもしれませんが、ご遺族の意思を尊重しましょう。

香典を用意するか迷いがちな家族葬の3つのケース

家族葬が執り行われる場合、友人やお知り合いの方の状況としては「親族ではないが呼ばれた」「死亡通知状は届いたものの、葬儀には呼ばれていない」「葬儀後に訃報を知った」の3つのケースが想定されます。本項では、それぞれのケースの香典の有無を解説します。

ケース1 親族ではないが呼ばれた場合

家族葬に参列するのは家族・親族が中心ですが、故人と特に縁の深かった友人や恩師の方などは呼ばれる可能性があります。香典をお渡しするべきかどうかは、以下のような方法で判断できます。
死亡通知状に「弔問および香典はご辞退申し上げます」「香典、供花は遠慮いたします」などの香典辞退の旨が記されている場合は、文面に従いましょう。また、書面ではなく電話で連絡があった場合も、辞退されるのであればその旨をお伝えいただけるはずです。ただし、ご遺族の心情を察すると、伝え忘れてしまう可能性もあります。当日辞退されることもあるかもしれませんが、その時は大人しく引き下げましょう。
死亡通知状でも電話連絡でも、辞退の旨がなかった場合は用意しておくのが無難です。家族葬では当然のように香典なしと考えている人もいるようですが、あなたが参列するお葬式の喪主の方がどう考えているかは判断がつきません。当日どちらの状況にも対応できるように準備しておきましょう。

ケース2 死亡通知状は届いたものの、葬儀には呼ばれていない場合

家族葬は故人の家族や親戚を中心に行われるものなので、友人や会社の関係の方には死亡通知状だけ届く場合があります。「故人の希望により家族葬にさせていただきます」「内々の者だけで送らせて頂きますので・・」といった文言があれば家族葬ですので、参列は控えましょう。
死亡通知状に香典辞退の旨が書いてある場合もありますが、もし何も書いていなかったら香典は渡すべきなのでしょうか?もし一般葬だったら、あなたも参加していて、香典もお渡ししていたかもしれませんよね。
基本的には、呼ばれていない場合は香典を送らなくても問題はありません。香典を送ると、香典返しが必要になり、ご遺族が家族葬を選んだ意図にそぐわない可能性があるからです。

ケース3 葬儀後に訃報を知った場合

家族葬では、葬儀後に死亡通知状が届く場合もあります。悪意があるわけではなく、お呼びすることのできない参列者に配慮したためです。遺族に香典をお渡しするべきか悩むかもしれませんが、葬儀に参列していない方は基本的にはお渡ししなくても大丈夫です。

どうしても香典をお渡ししたい場合

故人に特にお世話になった方や縁の深かった方にとっては、香典をお渡しできないのは残念なことかもしれません。もし、香典辞退が明らかになっていなければ、ご遺族の都合によってはお渡しできる可能性もあります。どうしても香典をお渡ししたいなら、率直にその旨を相談してみてください。ご遺族としても、あなたの気持ちを無下にはしたくないはずです。相談する際は、他の参加者もいる葬儀中や葬儀前後の忙しい時間を控えましょう。
ただし、あらためて相談しても、お断りされる可能性もあります。他の参列者からの香典を辞退している手前、一人だけ特別扱いはできないからです。ご好意を何度もお断りするのはご遺族も辛いでしょうから、その気持ちを汲んで潔く身を引きましょう。また、弔電や供花といった、一般的に返礼が不要のものを送る方法もあります。ただし、供花の場合、地域の習慣や金額によってはご遺族が気を遣うかもしれませんので、「返礼不要」の旨を添えるとよいでしょう。

まとめ「家族葬の香典はご遺族の意思を尊重して」

本記事をまとめると、以下のようになります。
・家族葬でも香典は必要だが、辞退される喪主の方も多い
・ご遺族が香典を辞退する場合、言葉通りに従ってよい
・参列していない場合は、基本的には香典は不要
・どうしてもお渡ししたい場合は、あらかじめご遺族に相談するべき
ただし、家族葬は、従来のお葬式ほどマナーやしきたりがはっきり決まっていないので、喪主の方によっては、今回紹介した内容が当てはまらない可能性もあります。しかし、どんな場合でも、ご遺族の意思を尊重して行動すれば失敗するようなことはないはずです。

家族葬について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「家族葬の参列には注意が必要。喪主側と友人側に分けて解説」