お役立ちコラム お墓の色々
お役立ちコラム お墓の色々
－ 供養をきわめる －
葬儀での供花の送り方（贈り方）〜相場・選び方・手配方法など基本のマナーを解説
通夜や葬儀などで祭壇の両脇に飾られる供花は、故人の冥福を祈ると共に、葬儀会場を彩り、悲しみを癒す役割があります。弔意を伝えるために誰でも送ることができるのですが、初めての場合は「どのように手配したらいいの？」と悩んだり、会社名や団体名で送られることも多いので、「自分個人で送ってもいいの？やめたほうがいいの？」と判断に迷ったりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、供花を送る意味と合わせて、相場や選び方、手配の方法などについて解説していきます。大切な人のために送りたいと思った時や、いざ、ご自身が手配するとなった時のために、送る方法やマナー、注意点について確認しておきましょう。
供花とは
意味や役割
供花（きょうか、くげ）とは、お通夜や葬儀・告別式の場で、祭壇の両脇に飾られる盛花（もりばな）のことです。以前は、背の高いスタンドにアレンジされているものがほとんどでした。しかし、家族葬などが増えている近年では、スペースを考慮して、スタンドを使わない一般的なフラワーアレンジメントのような形で送られることも増えています。どちらの場合も、送り主が誰か分かるよう、上部か下部に名札がつけられるのが一般的です。
故人の冥福を祈り、弔意を伝えるために送られる供花は、会場や祭壇を美しく彩るとともに、遺族の悲しみを慰め参列者の心を癒す役割も果たしています。
古代の日本では、榊（さかき）を立てたり花を供えたりして神様をお祀りしていたそうです。さらに、仏教の伝来とともに、仏様やその周辺を花で飾る「供華（くげ）」とよばれる風習が伝わったことが、供花の由来ではないかと言われています。
誰が送る？
供花を誰が送るかについて、特別な決まりや制限はなく、弔意を伝えたい方は誰でも、どの立場の方でも送ることができます。
一般的には、故人の親族や親しかった友人、会社など仕事上のつながりがある人、遠方で参列が難しい人など、故人や親族との親交が深かった方や、所属していた会社や団体の方が送る場合が多く、喪主が送る場合もあります。
香典の代わりに供花を送るという場合もありますが、どちらかしか送ってはいけないという決まりはないため、所属している会社や団体で供花を送り、式に参列する際に個人で香典を包むという方もいらっしゃいます。
献花、枕花、花輪との違い
葬儀に際して送る花といえば、供花の他に、キリスト教式の葬儀やお別れの会などで1輪ずつ花を供える「献花」、故人の枕元にお供えする「枕花」、生花や造花を輪の形に組んだ葬儀会場の外に飾られる「花輪（花環）」などもあります。どれも、故人を偲んで手向けられるお花ですが、故人との関係性や葬儀の形式、地域などによって、送り方の作法やマナーがあります。
供花、献花、枕花、花輪の違いについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。
供花の相場
供花は、1基、2基と数えます。以前は、祭壇の両側に飾れるよう1対（2基）で送るのが基本とされていました。しかし最近では、小規模な葬儀も増えているため、会場の大きさに合わせて１基で送る方も増えています。
通夜・葬儀用の供花は、葬儀社や生花店において、8,000円〜30,000円（税抜）くらいの間でいくつかのプランを用意しているところが多く、花の種類やアレンジのボリュームによってはそれ以上のものもあります。
供花にかける費用の相場については、依頼する葬儀社や生花店にもよりますが、1基あたり10,000円〜20,000円程度のものを１基または１対で送る方が多いようです。
送る際は、故人や遺族との関係性や予算から、適したものを選びます。香典を包む際の相場を参考にしても良いでしょう。とはいえ、地域によっても違いがありますし、どの程度のものがよいのか迷う場合には、葬儀社に相談してみると良いでしょう。
香典の相場についてはこちらで解説しています。
花の種類
供花として送る花の種類は、宗教や宗派によって異なります。
仏式の葬儀
仏教式の葬儀の場合は、白を基調として、薄い紫や青、ピンクなど淡い色味の差し色を加えた、落ち着いた雰囲気の物が一般的です。
キリスト教式の葬儀
キリスト教式の場合は、百合、胡蝶蘭、カーネーションなどの白やピンクの花を用いることが多く、菊はほとんど使用しません。自宅に送ることも多く、小ぶりのバスケットにアレンジしたものも喜ばれるようです。
神式の葬儀
神式では、榊（さかき）をお供えするのが基本でしたが、最近ではお悔やみの気持ちを伝えるために供花を送る習慣も根付いてきているようです。仏教と同じように、白を基調に菊や百合、ラン、カーネーションなどを組み合わせるのが一般的です。
通夜や葬儀にふさわしくないとされる花
どの宗教、宗派でも、毒がある花、棘がある花、ツルがある花は、葬儀の場にふさわしくないと考えられています。また、通夜や葬儀で飾られる花は、生花が基本と考えられており、参列者によってはマナー違反と感じる方もいらっしゃいますので、造花やプリザーブドフラワーも避けるほうが無難でしょう。
手配する方法
供花は、葬儀社に依頼するのが一般的ですが、生花店に直接依頼することも可能です。
葬儀社に依頼する
葬儀社では、供花のプランが決まっており、予算に合わせて選びます。
花の種類を変えるなど細かいアレンジの指定はできませんが、祭壇のイメージや宗教宗派などに合わせて用意してもらうことができ、届ける場所やタイミングも任せておくことができるので安心です。確認事項が少なくて済むため、トラブルのリスクが低く、遺族や葬儀社スタッフの手を煩わせる心配がないこともメリットと言えるでしょう。
葬儀が行われる葬儀社と喪家の名前、葬儀日程を確認したら、電話かインターネットから注文します。どのプランを選ぶか迷う場合には、葬儀社に関係性などを伝えて相談すると良いでしょう。
生花店に依頼する
「故人が好きだった花や故人のイメージに合う花を選びたい」、「自分なりのアレンジを加えたいと」いった場合には、生花店に依頼するのも良いでしょう。最近では、インターネットから注文できるサイトもあります。
ただし葬儀社によっては、外部からの供花を受け付けていない、生花店の指定があるという場合があるため、事前に葬儀社に問い合わせて確認しましょう。また、葬儀がどの宗教式で行われるかによって供花にふさわしい花が異なるため、その点も忘れず確認しましょう。
生花店に依頼する場合は、葬儀社、喪主の名前、葬儀日程と合わせて、届ける時間や場所についても確認し、きちんと伝えるようにしましょう。
名札の書き方
供花には、送り主の名札を立て、送り主が誰か分かるようにしておくのが一般的で、注文の際に、どのように書くかを指定します。書き方としては、下記のように、会社名や団体名、「〇〇一同」といった、送り主の立場や関係性を一括りにして表したり、個人名を書いたりします。連名にするのは３人までとし、人数が多い場合は「〇〇一同」とするのが基本となっています。
また、葬儀によっては、名札を付けない場合もありますので、事前に確認しましょう。
親族の場合
「子供一同」「孫一同」「〇〇家一同」などと書くのが一般的です。人数が少なければ連名でも問題ありません。喪主の場合は、「喪主」または氏名を記載します。
会社の場合
正式な会社名に代表者の役職と氏名を添えるのが一般的ですが、部署ごとや有志で送る場合は、「〇〇部一同」「〇〇部有志一同」などと書く場合もあります。
友人の場合
「友人一同」として送るのが一般的ですが、学校名やクラス、部活やサークルの名称を入れる場合もあります。一人で送る場合は個人名、人数が少なければ連名としても良いでしょう。
夫婦の場合
夫婦で送る場合は、連名で送ります。
供花を送る際の注意点
辞退されている場合は控える
葬儀の形式や規模、遺族の負担などを考えて、香典や供花を辞退されている場合があります。その場合は遺族の意向に沿うようにし、供花も送らないようにしましょう。葬儀案内を受け取っている場合には、香典や供花などを辞退する旨が書かれている場合もありますが、はっきりしない場合は葬儀社や親族に連絡して確認しましょう。もし、喪主や遺族に連絡を取って確認する場合は、負担にならないよう、代表者が連絡して関係者に伝えるようにすると良いでしょう。
届ける時間を確認する
供花は、基本的には通夜が執り行われる当日の午前中のうちに、遅くなる場合でも通夜の開始の3〜４時間前までに到着するよう手配するのが一般的とされています。
供花を葬儀社に依頼する場合には、基本的に任せておいて問題ないですが、生花店などに依頼する場合には、何日の何時までに届ける必要があるのかを葬儀社に確認し、遅れないように手配しましょう。
複数人で送る場合はしっかり話し合う
親族一同、友人一同、会社など複数人で１つの供花を送る場合は、予算や手配の方法、名札への記載の仕方などについて、事前にしっかり話し合って決めておきましょう。また、葬儀社などとのやり取りは、間違いや行き違いが起こらないよう、代表者のみが連絡するようにしましょう。
まとめ
葬儀会場を彩り、遺族や参列者の心を慰める供花。仏教では、花の香りや美しさが心身や周囲を浄化するとも言われていますし、紹介した以外の宗教や日本以外の国でも、葬儀の際に花を飾ったり供えたりする風習があります。美しさと、それが永遠には続かない儚さを併せ持つ花の姿は、大切な人を見送る方々の冥福を祈る気持ちを表し、悲しみに寄り添ってくれるものでもあるのでしょう。
供花を「送る」ことは、故人や遺族へのあなたの想いを「贈る」ことでもあります。今回ご紹介した基本的なマナーも参考にしながら、一番辛い遺族の気持ちに寄り添えるよう心がけましょう。
