お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
墓じまい後の墓石はどうなる?リサイクルと再利用の流れ

少子高齢化が進むなかで「お墓を継ぐ人がいない」、「年齢を重ね、遠方にあるお墓へのお参りが難しくなってきた」といった理由から、やむを得ず墓じまいを行なうケースが増えています。しかし、お墓に使われていた墓石はその後どのように扱われるのでしょうか。
墓じまいされた墓石は、一般的には専門業者によって産業廃棄物として処理され、砕石などの形で新たな建築資材へとリサイクルされます。
しかし、墓じまいをされた方の中には「先祖代々大切に守ってきたお墓がそのまま廃棄されてしまうのは忍びない」「思い出の詰まった石を何らかの形で残したい」と考える方もいらっしゃいます。
そこで今回は、「墓石がリサイクルされるまでの流れ」と「思い出を受け継ぐための再利用方法」についてわかりやすくご紹介します。
墓石のリサイクルと再利用方法
墓じまいを行った後、不要になった墓石は多くの場合、専門業者によってリサイクルされますが、「必ずリサイクルしなければならない」という決まりはなく、希望すれば墓石の一部を手元に残し、別の形に再加工して活用することも可能です。
ここでは、一般的に墓じまいされた墓石がどのように再利用されるのか、その流れや主な使い道についてご紹介します。
墓石がリサイクルされるまでの流れ
①石材店に墓じまいを依頼
②お墓の解体工事
③解体したお墓を石材店が回収
④専門業者への引き渡し
⑤土木資材として再利用
墓じまいによって取り外された墓石は、石材店が回収した後に、各都道府県知事から産業廃棄物の処理を正式に認められた専門業者によって産業廃棄物として適切に処理されます。 処理の過程で粉砕され、砂利や路盤材(アスファルトの下に敷く道路の基礎部分)などの土木資材として再利用されます。路盤材は車の重みや振動を支える重要な役割を持っており、強度の高い石材が求められます。もともと墓石には硬くて品質の良い御影石などが使われているため、こうした用途に非常に適しています。通常、墓じまいの見積書には処分費用も含まれており、工事を依頼された石材店が処理業者への手配を行うのが一般的です。
墓石を新しい墓地で再利用する
墓じまいをした墓石を再利用する方もいらっしゃいます。いわゆるお墓のお引っ越しともいわれるお墓の「改葬」です。ただし、改葬先によっては受け入れをしていないところもありますので、事前の確認が必要です。
再利用できる墓石の範囲
改葬先の墓所が、墓じまいした墓石本体(石塔部分)を設置できる広さがあれば持込ことが可能です。一方で、墓石を囲う外柵や納骨室(カロート)は、墓地ごとに区画サイズや形状が異なるため、再利用が難しいのが現状です。
また、外柵などは構造的に解体が難しく、損傷なしで移設するのは困難です。そのため、新しい墓地で取り外した外柵を使用するケースはほとんどありません。
再利用する際の費用
墓石を再利用する場合、傷をつけずに解体・運搬・再設置を行う必要があるため専門的な作業とその作業内容に応じた費用が必要となります。
これらの費用(解体・運搬・据付など)を合計すると、新たに墓石を建てる場合と同程度、またはそれ以上の金額になることも少なくありません。
そのため、費用を重視する場合は、新しい墓石を建立する方が結果的に安く済む場合もあります。
事前に霊園の規定を確認しておく
墓石の再利用を検討している方は、まず改葬を検討している霊園が墓石の持ち込みを許可しているかどうかを調べておきましょう。霊園によっては、景観や規格を統一するために墓石の持ち込みを禁止している場合があります。
また、持ち込みが可能な霊園でも、サイズやデザインに制限が設けられていることがあり、その場合は再加工が必要になることもあります。墓石の再利用を希望する際は、移設の手続きを始める前に、必ず改葬先の霊園へ持ち込みの可否や条件を確認しておくことが大切です。
改葬などに関しましてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。合わせてご覧ください。
◆お墓の移動・引っ越しってどうやる?できる?詳しく解説します
お墓を再加工して手元に残す
墓石の一部を再加工する例としては、数珠やお地蔵さま、小さな置物や記念碑、ペーパーウエイトなどが挙げられます。
余談ですが、一般的には「竿石」と呼ばれる、家名を彫ってある一番上の石を再加工します。お墓という形を離れても、先祖代々大切にしてきたお墓を形として残せる方法です。
まずは、墓石の再加工に対応している石材店や加工業者を探して、仕上がりのイメージ(大きさ・形・用途など)を相談し、見積もりを依頼します。
石材店によっては、自社で加工を行わず、専門の加工業者と提携している場合もあります。 墓石の再加工を行っている石材店や専門の加工業者と提携している石材店の場合は、墓じまいから再加工までを一括で依頼できることもあります。
一方で、そのどちらにも当てはまらない石材店の場合は墓じまいを依頼する際に「墓石の一部を残したい」と伝えておくとスムーズです。
残した石材を別途、加工業者へ持ち込んで再利用する流れになります。
費用を抑えたい場合の選択肢
再加工には、デザインや仕上げの工程に応じた費用がかかります。
コストをできるだけ抑えたい場合は、小さくてシンプルや形のものを選ぶのがよいでしょう。
墓石を再加工して別のものとして手元に残すというのは、墓石への感謝とご先祖への敬意を形として残す方法のひとつです。
思い出を大切にしながら、自分たちの想いに合った方法を選ぶことが大切です。
まとめ
墓じまいのあと、これまで代々見守ってきた墓石をどうするかは、多くの方が悩まれるところです。可能であれば、お墓参りに負担のない改葬先に移設して守り続けるのが一番なのですが、墓石の再利用には解体・運搬・据付といった費用もかかり、結果的に新しくお墓を建てるのと同じ、あるいはそれ以上の負担になってしまう場合もあります。
さらに、霊園によっては墓石の持ち込みを制限していることもあり、思いどおりに再利用できないケースも少なくありません。
そんな時は、小さな置物などに加工して思い出を手元に残したりするという選択肢もあります。また、やむなく処分をせざるを得ない場合であっても、専門業者によってリサイクルされて社会の中で再利用されたりします。
墓じまい後の墓石を再利用する方法に迷ったときは、まず信頼できる石材店に相談し、ご家族の気持ちに寄り添うお墓づくりを検討してみてはいかがでしょうか。