お役立ちコラム お墓の色々

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お墓の移動・引っ越しってどうやる?できる?詳しく解説します

墓地・墓石コラム

お墓の移動・引っ越しってどうやる?できる?詳しく解説します

核家族化が進む日本では、「お墓が遠くて滅多にお参りできない」「田舎の家族が管理できなくなった」などの事情を抱えている人も珍しくありません。だからと言って、予備知識がないまま気軽に引っ越しできないのがお墓というモノ。そこで今回は、お墓を移動させる方法や必要な手続き、具体的な手順や費用などについて詳しく解説します。

お墓の移動「改葬」ってなに?

改葬とは、すでに納めている遺骨を別の場所に移動させる行為を指しており、お墓はもちろん納骨堂からの移動も改葬に含まれます。遺骨の引っ越しと言った方がイメージしやすいかもしれません。一般的な改葬の方法を大きく分類すると、元の墓地を更地に戻す方法2つと既存のお墓をそのまま残す方法2つの計4種類に分けられます。

その中で最も多いと言われているのが、新しく用意した墓石や納骨堂へ、遺骨だけを全部移動させたうえで墓地を更地に戻す方法です。2つ目に、墓石ごと遺骨を移動させて元の墓地を更地に戻す方法が挙げられます。ただし、改葬先によっては墓石の持ち込みを認めていない墓地や霊園もありますので、墓石のサイズも含めて事前に確認しておきましょう。

3つ目の方法は、移動元を残しつつ新しく用意したお墓や納骨堂へ遺骨の一部を移動させる方法です。ここで言う「遺骨の一部」とは亡くなった人の人数を指しており、1つのお墓に複数の遺骨が納められている家庭に選ばれている傾向が見られます。4つ目の方法として一人分の遺骨を移動元と移動先の2カ所に納める分骨が挙げられますが、この場合は分骨証明書を既存墓地の管理者もしくは火葬場から発行してもらわなければなりません。

お墓の引っ越し「改葬」に必要な手続きとは

お墓の改葬は遺骨の引っ越しと言われるだけあって、手続きの方法も賃貸物件に住んでいる人が移転する時と似ています。住んでいる賃貸物件から別の物件へと引っ越しをする場合は管理会社や大家へ引き払う旨の連絡を行いますが、お墓の改葬でも同様の手続きが必要です。そもそも、お墓は国に認められた墓地にしか建立できません。たとえ先祖代々のお墓であっても、実際は寺院や霊園から借りている土地に墓石を建てている状態なのです。つまり、土地を貸し出している寺院や霊園は「墓地の大家」もしくは「墓地の管理者」という位置づけになります。そのため、お墓の改葬を行う時は既存の墓地を管理している寺院や霊園などへ連絡をしなければなりません。

お墓を移動する流れ

では、実際にお墓を移動するにはどのような手順で行えば良いのでしょうか。中には、「何から始めたら良いのか分からない」と悩んでいる人も少なくありません。ここでは、一般的な手順を取り挙げながら特徴や注意事項についても解説していきます。

移動先を決める

最初にすべきは遺骨の移動先、つまり新しい墓地とお墓を用意しておくことです。なぜなら、墓地埋葬法第4条によって墓地以外で遺骨を保管することが認められていないからです。新しい移動先が決まっていないからと言って、自宅で遺骨を保管する行為はルール違反なのです。

移動先の受入証明書、権利書の準備

新しい移動先が決まったら、次は必要書類の準備です。新しい移動先へ遺骨を納骨するには墓所使用許可書とも呼ばれる「受入証明書」が必要で、寺院や霊園によっては権利書や永代使用承諾証として発行されます。改葬先の墓地を管理している寺院や霊園などの窓口に申請しましょう。

改葬許可証の取得

次に準備するのは、移転元から遺骨を取り出す時や移動先へ遺骨を納骨する時に欠かせない「改葬許可証」です。この自治体が発行する公的な認可証がないまま納骨すると、死体遺棄とみなされ兼ねません。改葬許可証の発行に必要な書類は、移転元の管理者から発行される「埋蔵証明書」と移転先の管理者から発行される「受入証明書」、移転元の市区町村役場でもらえる「改葬許可申請書」の3種類。この3種類を移転元の市区町村役場へ提出すると改葬許可証が発行されます。ちなみに改葬許可申請書は必要事項の記入が必要ですが、書式をダウンロードできるケースもあるので確認してみましょう。

墓じまい

移動元のお墓から遺骨を取り出す一連の作業を「墓じまい」と言い、既存のお墓を残さない場合は墓石の撤去や墓地を更地にする作業も含まれます。墓じまいを行う際には、僧侶に依頼して「閉眼供養」や「抜魂供養」などの供養を行うのが一般的ですが、供養の呼び方は宗派によって異なりますので移動元の管理者に確認してみましょう。

移動先のお墓での開眼供養・納骨式

改葬の最後を締めくくるのが、新しいお墓への納骨です。基本的には初めて遺骨を納めた時と同じ手順で行いますが、改めて僧侶による開眼供養や納骨式を行うのが一般的。ちなみに、遺骨を納める墓石の蓋が重たければ石材店に依頼して開けてもらうことも可能です。

お墓の移動にかかる費用

改葬の際にかかる費用を大きく分類すると、お墓の移動元で発生する費用とお墓の移動先で発生する費用の2種類に分けられます。お墓の移動元で発生する費用として代表的なのは3種類。遺骨を取り出して閉眼供養を行う費用の相場は4~6万円、墓石を撤去したうえで区画を処分する費用の相場は30~50万円ほどが目安です。離檀料の費用は0~数十万円と明確な相場はありませんが、法外な要求だと思ったときはまず詳しくその理由や見積内容について相手に聞いてみましょう。それでも納得がいかない場合には消費生活センターに問い合わせてみることも検討しましょう。

一方、お墓の移動先で発生する費用として代表的なのは4種類。新しいお墓に魂を込める開眼法要の相場は3~5万円、永代使用料の相場は公営・民営・寺院墓地かどうか、また地域によっても差がでるため相場の幅も広いですが、まとめるとおおよそ70~300万円ほどが目安です。加えて、お墓ごと移動する場合の運搬費は約10万円、お墓を新調する場合の施工費と石代の相場は100~300万円ほどと言われています。ただし、費用の相場は宗派や地域によってはもちろん改葬の方法によっても異なるのが実情です。

お墓の移動に悩んでいるなら信頼できる石材店に相談を

お墓から遺骨を移動させる場合、既存の墓石を解体撤去して遺骨だけ移動する人もいれば墓石ごと遺骨を移動する方法を選ぶ人もいます。とはいえ、大切な人の遺骨が納められているお墓だからこそ気軽に移動できないのも当然かもしれません。お墓の引っ越しについて悩んでいるなら、信頼できる石材店に相談してみるのも解決策の一つです。