お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

2つの家をまとめる2世帯のお墓「両家墓」

墓地・墓石コラム

2つの家をまとめる2世帯のお墓「両家墓」

もともと日本では「長男が自分の家の墓を継ぐ」という形式がほとんどで、他家に嫁いだ人はその家のお墓に埋葬されるのが一般的でした。この形式は現在も多いですが、近年は少子化が進み、たとえば「一人娘を嫁がせた側の家でお墓の継承者がいなくなる」「自分たちの子供はいるが次の代で墓を受け継ぐ孫がいない」など、将来お墓を維持できなくなるとお悩みの方が増えてきています。

「お墓の継承者がいない」という問題に対し、近年1つの解決策となっているのが「両家墓」です。

両家墓(りょうけぼ・りょうけばか)とは

両家墓とは、複数の家のお墓を一つにまとめたものです。
両家墓自体は昔からありましたが、あまり一般的ではありませんでした。
しかしながら近年の少子化や核家族化を背景として、その数を徐々に増やしています。

両家墓の種類

両家墓にはいくつかの形式があります。

① 1区画に2つの墓石を建てる

同一区画の中に、両家のお墓を1つずつ合計2つ建てる形式です。
新しく墓石を建てる場合と、もともとあったお墓を移動させる場合があります。
広い区画と相応の費用が必要とはなりますが、家系ごとにご遺骨を埋葬できます。

② 1つの墓石に両家の家名を並べて刻む

墓石に両家の家名を2つ並べて記載し、それぞれに「○○家之墓」と彫刻します。または、家名だけを2つ並べる場合もあります。
納骨室が1つのものが多いですが、ご遺骨の数が多い場合は2つになっているものもあります。

③1つの墓石に家名以外のものを刻む

近年多くみられるのは、洋型墓石に家名以外のものを彫刻したタイプです。
好きな言葉を中央に大きく刻み、棹石の下部や花立、外柵の門柱などに両家の家名や家紋を刻みます。
また、家紋以外にも好きな花や故人やご先祖様の好きだったものなどを自由に刻む場合もあります。

④五輪塔による供養

「複数のお墓に眠っているご遺骨を1つのお墓に改葬し、残りのお墓は墓じまいをして、最終的に管理するお墓を1つにする」という供養の方法は昔から行われていました。いわゆる、寄せ墓と言われるこの方法は、1つの墓域に夫婦墓や先祖代々の墓、複数の家の墓などが林立している場合に、そのお墓をいったん撤去して1つの納骨室にそれぞれの遺骨を納め、その上に供養塔として五輪塔などを建てるというものです。
梵字が彫られた五輪塔は古くから「諸仏諸尊をお迎えし、仏様をお祀りする塔」として建てられてきた歴史があり、両家墓にも最適な形と言えます。

両家墓が選ばれる理由

①お墓参りやお手入れを一度に済ませられる

たとえば両家のお墓が離れている場合、その両方にお参りしようとすると移動の時間や費用がかかります。
その点、両家墓にすると両家のお墓参りやお手入れが一度に済ませられます。
ご自身の負担を減らすことはもちろん、残される家族のためを思い「両家墓」を選ぶ方が多いようです。

②お墓の継承が難しい場合

夫と妻のどちらにも継承しなければならないお墓がある場合、両家墓とすることで双方のお墓の継承に関する悩みを解消することができます。
たとえば、どちらかのお墓が将来的に継承できなくなる場合や、お墓の管理が難しくなる場合に、お墓を1つにまとめることで両家のお墓を継続して管理することができるのです。
「一人娘が嫁いでしまい、お墓を継承する人がいない」「自分たちの子供は複数人いるが内孫がいない」といった場合に選ばれることが多いです。

③墓石建立と管理の費用が、お墓を1つにすることで安くなる

2家のお墓をまとめて1つの両家墓にすると、2基建立する費用と比べ半分ほどに抑えられます。
当然、管理の費用も1基分で済みますので、管理の負担が軽くなります。

④新たに墓地を買わなくてもよい

すでにお墓がある場合、そのお墓を両家墓にリフォームすることもできます。
その場合、墓石の上部・棹石と呼ばれる部分をだけを取り換えることで両家墓にすることが可能です。新たに墓地を購入する必要がありません。

両家墓に決める前に…確認すべきポイント

両家墓にはメリットがありますが、事前に確認すべきポイントもあります。

①親族や継承者の同意

親族や継承者から両家墓への理解を得られない可能性もあります。
お墓を発端に家族親族内で揉めることは、ご先祖様もきっと望んではいません。
両家墓を建てる場合は、事前に親族や継承者の同意を得てからにしましょう。

②墓石に刻む家名

両家墓の場合、墓石に2つの「家名」を並べるケースが多いですが、墓地によってはそれができない場合があります。
その場合は家名でなく家紋にしたり、「先祖代々之墓」や「倶会一処」と彫ることが多いです。

③墓地・霊園規約に注意する

公営の墓地や霊園では「お墓の維持管理の責任の所在がわかりにくい」と判断され、両家墓にできないケースがあります。
また、寺院の場合は宗教や宗派の確認が重要です。たとえば寺院に両家墓を建てる場合、両家の宗教・宗派によっては両家墓を建てられない場合や、改宗・改派が必要になる場合もあります。あらかじめ宗派を問わない霊園を選ぶという方法もありますが、いずれにせよ宗教や宗派の確認を事前に行いましょう。
民営の墓地や霊園ではほとんどの場合で両家墓にできますが、家名を2つ入れることを禁じていたり承継者の親等制限がある場合もあります。
両家墓にする場合は、墓地・霊園の規約に注意しましょう。

まとめ

両家墓にはさまざまなメリットがありますが、建てる際は、親族や継承者への配慮と相談がかかせません。しっかりと相談を重ねた上で、判断していきましょう。
ご不明な点があれば、お近くの石材店にご相談ください。