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『どうする家康』でも注目!瀬名姫(築山殿)の墓がある八柱神社

墓地・墓石コラム

『どうする家康』でも注目!瀬名姫(築山殿)の墓がある八柱神社

2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、駿河国・遠江国(現在の静岡県)の守護大名・今川義元(演:野村萬斎さん)のもとで、のどかな人質生活を送っていた松平元信(後の徳川家康、演:松本潤さん)が、天下を治めるまでの波乱の生涯が描かれます。

今川家の人質として駿府(現在の静岡県中部)にいた元信は、 弘治3年(1557年)正月15日、今川家の重臣・関口氏純(演:渡部篤郎さん)の娘と結婚します。今川義元の姪でもある瀬名/瀬名姫(演:有村架純さん)です。

瀬名姫とは?その生涯と最期

瀬名姫は、築山殿(つきやまどの)、築山御前、駿河御前とも呼ばれ、徳川家康の最初の正室として知られる人物です。

家康と瀬名姫の長男・松平信康(演:細田佳央太さん)は、後に織田信長(演:岡田准一)の娘・五徳姫(五徳/徳姫)(演:久保史緒里さん)と政略結婚。徳川家と織田家の絆は強固なものとなりました。

しかし、天正7年(1579年)、信長はとある理由から家康に瀬名姫と信康の処断を迫ります。

諸説ある中で有力なものは、五徳姫による「十二ヶ条の訴状」です。
今川方の出身である瀬名姫が「ひそかに武田家と通じている」としたものなど、瀬名姫と信康の罪状を信長に訴えたもので、後に信康は自刃、瀬名姫は暗殺。家康は2人の命を奪うことになったのです。

数え年38歳の若さでこの世を去った瀬名姫。この出来事は、今でも戦国の世の悲劇として語り継がれています。

八柱神社にある築山御前首塚

家康の命により暗殺されたとされる瀬名姫の首は、もともとは同じ岡崎市にある祐傳寺(ゆうでんじ)に埋葬されましたが、正保3年(1646年)に当時の欠村石ヶ崎に移されることになります。これが現在八柱神社にある築山御前首塚です。

現在の築山御前首塚は、昭和52年(1977年)に八柱神社の氏子一同が建てた五輪塔で、境内の奥にあります。

上から「キャ・カ・ラ・ヴァ・ア」の梵字(古代インド語を表す文字)が石に刻まれ、柵となっている石には、徳川家の家紋である「三つ葉葵」が彫られています。

五輪塔とは?

五輪塔は、主に供養塔やお墓として使われる塔の一種です。

密教(7世紀後半にインドで興隆した一宗派)の教理にもとづいて作られた形で、上から、空・風・火・水・地という五大と呼ばれる宇宙を構成する5つの元素を表現しています。

五大で形作られた五輪塔で供養することにより、故人は宇宙(五大)に還元され、極楽浄土に往生するとされています。
五輪塔の歴史と特徴をわかりやすく解説します

八柱神社の他にもある、瀬名姫の墓

八柱神社以外にも瀬名姫の墓とされているものがあります。

祐傳寺

岡崎市役所のすぐ近くにある小さな寺院・祐傳寺。瀬名姫の首は信長の実検を受けた後、家康の家臣・石川数正(演:松重豊さん)がその首を持ち帰り、埋葬したといわれています。

八柱神社に移された今もなお、小さな五輪塔がひっそりと残っています。

西来院

西来院は、正長元年(1428年)に開かれた曹洞宗の寺院です。ここには、月窟廟(がっくつびょう)と呼ばれる瀬名姫の廟堂(びょうどう/故人の御霊を祀っている場所)があります。瀬名姫の胴体が葬られたこの地には、瀬名姫の百回忌である延宝6年(1678年)に廟堂が建立されました。しかしながら、昭和20年(1945年)の戦災によって焼失。現在の建物は、昭和52年(1977年)に再建されたものです。

同時期にこの世を去った、松平信康の墓

義理の父である信長に武田家への内通を疑われ、自刃という最期を迎えた松平信康。

愛知県岡崎市にある若宮八幡宮には、信康の首塚があります。瀬名姫と同じく、家康の家臣・石川数正が首を埋葬したと伝わるものです。

また、静岡県浜松市天竜区にある清瀧寺(せいりゅうじ)には、信康の廟堂があります。清龍寺という名は、家康自身が与えたものとされ、信康を供養するために建立した寺であると伝えられています。

まとめ

瀬名姫と信康は、本当に武田家と裏でつながっていたのか。
瀬名姫と信康が命を落とすこととなった、本当の理由はなんだったのか。
数ある説の中には、侍女が身代わりとなったことで、瀬名姫は難を逃れ、後に尼となったというものもあります。

今となっては、その真実を知る術はありませんが、家康が天下を獲るまでの過程で、この2人を失ったことは、大きなターニングポイントであったはずです。

後に「築山殿事件」と呼ばれることとなる、妻と子供を守ることのできなかった残酷で悲しい出来事。

大きな葛藤の末に決断を下し、そして無念とやるせなさと共に、2人の冥福を祈る家康の想い。そして、2人を弔い今日まで大切に守ってきた地域の方の想いを、ぜひ当地で感じてみてはいかがでしょうか。

なお、家康のお墓をご紹介している記事がございます。こちらも合わせてお読みください。
偉人のお墓が複数あるのはなぜ?〜徳川家康編

八柱神社への交通アクセス

自動車

東名高速岡崎ICから国道1号線経由 約7分

バス

名鉄「東岡崎駅」より、名鉄バス中央総合公園行他「西欠町」下車徒歩5分