お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

ブラックフォーマル・喪服のマナー【男性編】

葬祭基礎知識

男性側の喪服としてのブラックフォーマルについて、マナーや現代の傾向などを詳しく解説していきます

通夜や葬儀・法事などで着用する服装は、ブラックフォーマルと呼ばれ、「喪服」などもそれにあたります。「既に喪服と呼ばれる黒のスーツを一着は持っている」という方が多いと思いますが、ブラックフォーマルにはいくつかの種類があり、場面や立場によって選び方が決まっています。
今回は、男性側の喪服としてのブラックフォーマルについて、マナーや現代の傾向などを詳しく解説していきます。

ブラックフォーマルと喪服について

冠婚葬祭などの公の場や改まった場で、威儀や敬意を表すために着用される正装のことを「礼服(礼装服)」「フォーマルウエア」、その中でも特に黒い衣服のことを「ブラックフォーマル」と言います。日本ではブラックフォーマルというと喪服というイメージを持っておられる方も多いのですが、場面や立場によっては慶事においても着用されることがあり、男性の場合にはネクタイの色で慶弔の区別がされます。

喪服とは、ブラックフォーマルの中でも、喪中に着る黒や薄墨色の衣服のことを言います。正喪服、準喪服、略喪服という3段階の格式に分かれており、参列する式や立場によって選ぶ喪服の格式が変わります。

弔辞の服装の基本マナー

具体的な服装について解説する前に、弔事における服装の基本マナーを押さえておきましょう。

弔辞の場に相応しくないものを避ける

まず、殺生をイメージさせる、皮や毛皮素材のものは避けます。
また、華美にならないことがマナーですので、光沢のあるものや装飾品も控えるようにしましょう。

肌の露出・シャツだけになることは避ける

弔辞の際、特に葬儀の場では、肌を見せないようにすることが基本のマナーです。
特に夏場など気温が高い時期は、長袖のジャケットやシャツは暑く感じます。けれど、腕まくりをして肌を出すことは控えましょう。
また、男性の場合、ジャケットとシャツをセットで着用することがマナーとされていますので、ジャケットを脱ぐことも控えなければなりません。ジャケットの下に半袖のシャツを着る、夏用のスーツを選ぶ、汗を吸収し安く乾きやすい肌着やシャツを選ぶ、ジャケットを脱ぐのは控え室に入ってからにするなど工夫すると良いでしょう。

ネクタイはしっかりとしめる

男性の場合、特に夏場はネクタイを締めているだけでも暑く感じるものです。そのため、最近ではクールビズが推奨され、ノーネクタイがかなり浸透してきています。しかし、通夜や葬儀などの改まった場ではノーネクタイはマナー違反となりますし、ネクタイを緩めるのも厳粛な場に相応しくないので、黒いネクタイをきちんと着用するようにしましょう。

男性における喪服のマナー

正喪服

正喪服は最も格式の高い礼装で、公式の葬儀や一周忌までの法要などにおいて、喪主や世話役代表、葬儀委員長といった立場の方が着用します。

正喪服の基本のスタイル

・黒のモーニングコート
・レギュラーカラーで白無地のワイシャツ
・黒無地の結び下げネクタイ
・黒無地の靴下
・光沢や装飾のない黒の靴
・光沢や装飾のない黒のベルト

男性は黒のモーニングコートが正喪服になります。
モーニングコートとは、前裾から後ろ裾にかけて曲線的にカットされた上着に、上着と対になったベスト、コールズボンと呼ばれる縦縞が入ったグレーのスラックス合わせた服装のことを言います。慶事でも着用されるものですが、弔事の場合、白襟は必ず外し、ズボンにはサスペンダーをつけます。
このモーニングコートに、レギュラーカラー(衿羽根の開き角度が75~90度の標準的な襟のスタイル)で白無地のワイシャツ、黒無地の結び下げネクタイ、黒無地の靴下、光沢や装飾のない黒の靴、光沢や装飾のない黒のベルトを合わせるのが、正喪服の基本のスタイルとなります。
なお、モーニングコートは昼間(日中)の正礼装とされており、明るい時間に着用を限定するものですので、夕方から行われるお通夜の場合には、喪主であっても準礼装となるブラックスーツというスタイルが一般的となります。

最近では昼夜にかかわらず、喪主であっても準礼服を着用する方が多くなっており、正喪服が必要な場合には葬儀場や業者などレンタルできるところも増えています。正喪服を持っていないからといって慌てず、遺族や親族とも相談して決めると良いでしょう。

準喪服

弔事において最も一般的に着用されるのが準喪服で、男性の喪服(ブラックフォーマル)と言うと、通常この準喪服を指します。一般的な葬儀や通夜・一周忌までの法事など多くの場合で着用でき、喪主以外の遺族や親族もこのスタイルが基本になります。

基本のスタイル

・ブラックスーツ
・レギュラーカラーで白無地のワイシャツ
・黒無地の結び下げネクタイ
・黒無地の靴下
・光沢や装飾のない黒の靴
・光沢や装飾のない黒のベルト

男性の準喪服として多く着用されるのは、ブラックスーツです。
ブラックスーツは「ブラックフォーマルスーツ」とも呼ばれ、漆黒に近い濃い黒に染められています。ビジネスシーンで使われる黒のダークスーツとは異なるので、間違えないよう注意しましょう。ジャケットについてはシングルでもダブルでも問題ありません。

その他身につけるものは正喪服と同様、レギュラーカラーの白無地のワイシャツ、黒の結び下げネクタイ・靴・靴下・ベルトとなります。最近ではショートソックスを履く方もよく見かけますが、スーツスタイルとしてふさわしくなく、喪服としてもNGとなりますので、座っても素肌が見えないようすねくらいまである丈のものを選びましょう。

通夜については、「急いで駆けつけた」という意味合いを込めて略喪服で参列するのがマナーという考え方もありましたが、現代ではお通夜にのみ参列するということも多くなっていることから、通夜でも準喪服を着用する方が増えており、新たなマナーになりつつあります。

略喪服

略喪服とは、三回忌以降の法事や、急な弔問や通夜でどうしても喪服が準備できない場合に着用する服装を指します。最近では、小規模な家族葬などの場合にも略喪服で問題ないとされることが増えています。
最近多くなっている「お別れ会」など服装の指定が「平服」であった場合にも、略喪服を選ぶのが基本です。

基本のスタイル

・地味なダークスーツ
・レギュラーカラーで白無地のワイシャツ
・黒無地の結び下げネクタイ
・黒無地の靴下
・光沢や装飾のない黒の靴

略喪服の場合は、ブラックスーツのように濃い黒に染めたものではなく、黒や濃紺・グレーなどのダークスーツを着用します。上着はノーステッチ(襟の端に縫い目のないもの)、ノーベント(スーツの背中の裾部分にある切れ込みがないもの)の華美でないもの、パンツの裾はシングル(裾に折り返しがないもの)またはモーニングカット(裾の前方を短く、後方を長く仕上げたもの)がよいでしょう。
その他のものは、レギュラーカラーの白無地のワイシャツ、黒の結び下げネクタイ・靴・靴下・ベルトと、正喪服・準喪服と同様のものを揃えます。略喪服の場合も、ショートソックスはNGとなることを覚えておきましょう。

防寒着について

寒い季節はコートを着用しても問題ありません。無地で黒や紺のできるだけシンプルなデザインのものを選びましょう。光沢のあるものや派手なデザインのもの、カジュアルなもの、殺生をイメージさせる皮や毛皮素材のものは避けることがマナーです。
チェスターコート(襟がスーツのような形のコート)やステンカラーコート(立て襟がついたコート)・丈の長いトレンチコートであれば失敗がないでしょう。
マフラーや手袋などの小物をつける場合には、葬儀場に入る前に外すようにします。

スーツのジャケットの下に何か着たい場合、黒で無地のセーターを着用することはNGではありませんが、ジャケットの袖や胸元から見えないよう注意が必要です。薄手で暖かいインナーで調節したりカイロを使用したりするのも、外見にひびかないのでおすすめです。

身につける物のマナー

ベルトは光沢や装飾のない黒のものを選び、アクセサリー類については、結婚指輪以外は基本的に全てはずし、腕時計をつける場合は派手なものを避けるのがマナーです。
その他、香典、袱紗(ふくさ)、数珠、ハンカチも、マナーに沿うものを準備し、忘れないようにしましょう。

このような所持品の詳しいマナーや選び方については、こちらに詳しく解説していますので合わせてお読みください。
通夜・葬儀に参列する際の持ち物リスト〜所持品のマナーも紹介〜

和装の場合

最近では、特に男性で和装という方はほとんど見かけませんが、着物の喪服についても装いのマナーがあります。一般的には機会は少ないですが、喪主を務めることになった場合や、地域や親族間での慣わしがある場合には、和装を求められることもあるかもしれません。

和装の喪服についてはこちらの記事にまとめていますので、よろしければお読みください。
喪服の着物は誰が着るのか?〜押さえておきたい基礎知識と基本のマナー〜

まとめ

男性のブラックフォーマル・喪服について詳しく紹介してきました。立場や場面によって、選ぶべき服装の形や素材などに違いがあることを知っていただけたと思います。
フォーマルな服装は、年齢を重ねるごとに身につける機会が増え、正しいマナーを求められるようになっていきます。いざというときに慌てないよう、また恥ずかしい思いをしないように、記事の内容を参考にしていただき、準備を整えていただけましたら幸いです。

最近増えている家族葬についてもまとめています。
家族葬の参列には注意が必要。喪主側と友人側に分けて解説