お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

写経のやり方は?初心者向けの作法や道具を解説

供養・埋葬・風習コラム

近年、写経が人気となっています。道具をそろえれば自宅で気軽に始められる上に、ストレス解消や脳トレなどの効果が得られる点が魅力となっています。

しかし初めて写経をする際は、どうすればいいかわからないという人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、写経のやり方や必要な準備などをわかりやすく解説します。

そもそも写経とは?

文字通り、お経を書き写すことです。お経はお釈迦様の教えをまとめたもので、8万種類以上存在すると言われています。

お釈迦様は約2500年前に悟りを開いて弟子たちに教えを広めましたが、当時は文字ではなく口頭で伝えていました。のちに弟子たちがサンスクリット語などの文書としてまとめたものがお経だとされています。

印刷技術がなかった時代には、仏教の教えを広めるためにサンスクリット語からそれぞれの国の言葉に翻訳してから写経を行い、お経の写しを用意する必要がありました。日本でも1300年以上前の飛鳥時代に、写経が行われていたという記録もあります。 そして平安時代ごろから、先祖の供養や病気が治るようにといった個人的な願いを込めた写経が行われるようになりました。

一般の人が写経を行う目的

もともと写経は仏教を広めたり、功徳を積む修行をしたりする目的で行われていましたが、現代では別の目的でも行われるようになりました。

気持ちを安定させるため

写経をしている間、書くことに集中することで、普段感じているストレスや余計な思考から離れ、心を落ち着けることができます。

脳トレのため

写経が脳の活性化に役立つという研究も行われており、脳のトレーニング方法としても利用されています。

亡くなった人の供養のため

亡くなった人のことを思いながら写経し、お寺に納めたりお焚き上げしてもらったりすることで供養ができます。

納棺の前であれば、書き終えた写経を棺の中に入れて、一緒に火葬してもらうことも可能です。悲しみを落ち着けたいときにも役立つでしょう。

また納骨の際に写経を一緒に納める人も増えてきました。下の「書き終わった写経はどうする?」の項目でも紹介していますが、自宅では仏壇に供えることもよく行われています。

写経に必要なもの

写経に必要となる道具は下記の通りです。書道の道具を持っている場合は、新しいものを買わずに手持ちのものを使っても問題ありません。

  • 細い筆
  • 写経用紙

なぞり書きできるように、薄く手本が印刷されているタイプもあります。

  • 手本となる経典

初心者には文字数の少なく、もっともよく手本とされている般若心経(はんにゃしんぎょう)がおすすめです。

  • 書道用の下敷き
  • 文鎮

硯で墨をする時間も心を整える大切な時間となるため、写経では市販の墨汁は使わず、自分で墨をすることが基本となります。しかし慣れないうちは、筆ペンや墨汁を使って書いても構いません。

まだ道具を持っていないなら、必要な道具が一式揃う写経セットを買うとよいでしょう。書店や雑貨店、仏具店などで購入可能です。

またお寺で独自に写経セットを作り、販売している場合もあります。この場合、書き終えたあとに納経するための返信用封筒がついていることもあるため、書き終わったらすぐにお寺に納めたいときに便利です。

写経のやり方

細かい作法は宗派などによって変わりますが、文字を書き写すだけでなく、気持ちや環境を整えることが大切という点は共通となります。

写経の基本的な流れ

  1. 周りが静かで集中できる時間を選ぶ
  2. 写経を行う部屋を整頓してきれいな状態にする
  3. 手を洗う、口をすすぐなどして体を清め、服を清潔にする
  4. 机の前に座ったら背筋を伸ばし、深呼吸して呼吸を整え合掌、一礼する
  5. 心を落ち着けて墨をする
  6. 胸の前で手を合わせ合掌する
  7. お経を黙読するか声に出して唱える
  8. 1行目を開けて2行目に内題(タイトル)を書く
  9. 3行目から本文を書き始める
  10. 1行が17文字になるよう、1文字ずつ集中して書く
  11. 本文を書き終わったら1行あけて、下記の「願い事の書き方」を参考に願い事を書く
  12. 次の行に日付を書く
  13. さらに次の行に自分の名前を書く
  14. 写経が終わったらまた合掌する

願い事の書き方

願い事がある場合は、「為」と書いたあと、下記の例のように願い事を記入します。

先祖を供養したい場合:為○○家先祖代々之供養

家内安全や無病息災を願いたい場合:為家内安全無病息災  リラックスが目的など、特に願うことがない場合は書く必要はありません。

文字を書き間違えたときは

書き間違えないことが基本ですが、万一間違えたときでも、お経が書かれた紙を捨てることはできるだけ避けましょう。

文字を誤った場合は、右横に点を打って、同じ行の空いているところに正しい文字を書き直します。 脱字があったときには、本来その文字が入るはずだった場所に点を打ち、同じ行の一番下に抜けた文字を書き、こちらにも目印として点を打ちましょう。

書き終わった写経はどうする?

書き写した写経は、仏像のように大切な存在であると考えてください。折れたり汚れたりしないように、箱などに入れて大切に保管します。

市販されている、写経用紙を保管するための桐箱を使用するのもよいでしょう。仏壇がある場合、仏壇で保管します。また、お墓の納骨室に納めることも可能です。

数枚溜まってきたら、お寺に奉納したり、お焚き上げしてもらったりするのもおすすめです。

直接お寺に行けなくても、郵送で受け付けているお寺もあります。失敗した写経用紙はお寺によって受け付けてくれるかどうかが変わるため、問い合わせてみましょう。

写経を捨てることは避けたほうがよいとされていますが、もし燃えるゴミに出すときには、写経用紙をほかのごみとはわけて袋に入れ、感謝の気持ちを込めて合掌し、塩をかけて出します。

写経で心を落ち着けてみませんか

写経では、文字を上手く書くことよりも、一文字ずつ心を込めて書いていくことが大切です。

最初のうちは筆で文字を書くこと自体に苦労するかもしれませんが、続けていくうちに、日常から離れて無心に筆を動かす時間が心地よいと感じられるでしょう。

自宅で落ち着いて写経できる環境を用意するのが難しいときは、お寺などで開催される写経教室に行くのもおすすめです。お寺の厳かな空気の中で集中して書くことで、リラックス効果もアップするでしょう。

写経をしている間、どういう気持ちでいればいいかわからないときは、ご先祖様への感謝の気持ちを思い浮かべてみてください。

そして写経が終わったら、お墓に奉納してみてはいかがでしょうか。お墓に納める写経には、大切な人に送る最後の手紙という意味合いもあります。心を込めて書いた手紙は、きっと大切な人に喜んでもらえるはずです。