お役立ちコラム お墓の色々

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一度は見ておきたい重要文化財シリーズ・京都の旅編

供養・埋葬・風習コラム

一度は見ておきたい重要文化財シリーズ・京都の旅編

日本では、国内にある建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財の中で、歴史上・芸術上の価値が高いもの、または学術的に価値の高いものを、文化財保護法に基づき重要文化財として指定、保護しています。

全国各地にある石仏や石塔の中にも、重要文化財の指定を受けているものがいくつもあり、その所有者や地域の人々によって、石仏や石塔に込められた想いや由来が語り継がれてきたことで、今もなお私たちに歴史や文化の息吹を感じさせてくれます。

今回は「一度は見ておきたい重要文化財シリーズ」と題し、歴史的価値、学術的価値の高い石仏や石塔をご紹介し、その魅力に迫っていきます。

観光情報も添えていますので、ぜひ実際に足を運んでいただき、その雰囲気を肌で感じ、目で愉しみ、心で歴史に触れてみてはいかがでしょうか?

一度は見ておきたい重要文化財シリーズ・京都の旅編

石清水八幡宮五輪塔(京都府八幡市八幡高坊)

石清水八幡宮五輪塔は、高さが6m以上ある日本最大級の石塔です。大阪府境にも近い八幡市の、男山(おとこやま)頂上に鎮座する石清水八幡宮(いわしみず はちまんぐう)。その御旅所として知られる頓宮(とんぐう)から西側に200メートルほどの場所、京阪石清水八幡宮駅から南へ徒歩5分ほどのところにあります。

五輪塔とは

五輪塔は平安時代に誕生したといわれる墓石デザインです。
上段から「空輪」「風輪」「火輪」「水輪」「地輪」と呼ばれる墓石があり、それぞれ自然の五大元素を評しています。

五輪塔の他、お墓のデザインに関しての記事がございますので、ぜひご覧ください。

お墓のデザインはどんなものがある?

特徴

花崗岩(かこうがん)製で、塔高約6m、地輪幅約2.4m。日本最大級の石塔です。
下から、基壇は一辺が約3.2mある反花座(かえりばなざ・蓮華の花が開き外側の花弁が反り返った様子が彫られた台座)。彫られた花弁は幅58cmの広い単弁です。
地輪は一辺が約2.4mあり、数個の石材が組み合わされています。水輪は背が低く安定感のある球形、火輪は軒が厚く端へ向かう反りが力強く感じられます。風輪は深めの鉢型、空輪は美しい宝珠の形をしています。
塔全体の均整と造詣の確かさが見てとれ、見事な石工の技を感じられます。

歴史

かつて、石清水八幡宮頓宮のある場所に宮寺(みやでら/神社と寺院を一体と考えていた時代に神社に付属して置かれた寺院)として建てられていた極楽寺の境内に建立されたのが、石清水八幡宮五輪塔です。寺は廃寺となり、この石塔だけが残されました。
建立された経緯や作者については諸説あり不明確ですが、一説によると、平安時代の末期、宋(中国)と貿易をしていた尼崎の商人が、石清水八幡宮に祈り海難を逃れたため、その感謝の証として建立したと言われています。このことから航海安全の祈願に人が訪れるようになり「航海記念塔」とも呼ばれています。

なお、1899年2月19日に国の重要文化財に指定されました。

周辺の観光情報

石清水八幡宮五輪塔の周辺には、紅葉の名所でもある神應寺(じんのうじ)、「徒然草」に登場する高良神社、石清水八幡宮の年に一度の祭礼の際の御旅所となる石清水八幡宮頓宮などがあります。
中でも石清水八幡宮は日本三大八幡宮のひとつに数えられ、本殿を含む建造物10棟が国宝に指定されています。朱塗の社殿や内部の彫刻など、絢爛豪華な美しい外観・内観が見どころです。

交通アクセス

石清水八幡宮の一ノ鳥居前から右へ道なりに行くと神應寺(じんのうじ)山門が、その左側に石清水八幡宮五輪塔が見えてきます。

<鉄道>
京阪電気鉄道京阪本線・石清水八幡宮駅から南へ徒歩5分

<自動車>
京都・名古屋方面から:名神高速・瀬田東JCTあるいは第2京阪道路から京滋バイパス「久御山・淀IC」
神戸・大阪方面から:名神高速道路「大山崎IC」

(石清水八幡宮 頓宮)

一度は見ておきたい重要文化財シリーズ・京都の旅編

安養寺宝塔(京都府京都市東山区円山町)

安養寺(あんようじ)は、京都市東山区、円山公園の北東隅に位置する、時宗(じしゅう/鎌倉時代末期に起こった浄土教の宗派)の寺院です。浄土宗の開祖である法然(ほうねん)と、その弟子で浄土真宗の開祖である親鸞(しんらん)の念仏発祥の地「吉水草庵(よしみずそうあん)」としても知られています。この安養寺の境外にある吉水弁財天堂(よしみずべんざいてんどう)の裏手に静かに建つのが、安養寺宝塔です。

宝塔とは

宝塔とは、仏塔の建築形式の1つで、円筒型または瓶や壺型の軸部(塔身)に方形の笠(五輪塔の火輪のように四角錐に近い形の屋根)が乗り、頂上に相輪(そうりん)と呼ばれる長い柱のような飾りがある形式の一重塔をいいます。

相輪とは

五重の塔など仏塔の最上部にある部分のことを相輪(そうりん)といいます。インドの仏塔の傘蓋(さんがい) が発展したものです。
相輪は、上から宝珠(ほうじゅ)・竜舎(りゅうしゃ)・水煙(すいえん)・九輪(くりん)・請花(うけばな)・伏鉢(ふくばち)・露盤(ろばん)で構成されます。
また、九輪のみを指すこともあります。

特徴

花崗岩製で、塔高約3mある大きな宝塔です。基礎は失われており、平らな自然石の上に塔が据えられています。この自然石を除いた高さは約2.4mです。塔身は壺型で美しい曲線を示し、その正面に扉を開いたように彫られた窪みには、釈迦如来と多宝如来の2体の如来坐像が半肉彫り(半浮き彫り)されています。これは、法華経の中の「見宝塔品」という章にある「法華経を説く釈迦如来の元に多宝如来が現れ、並坐して説法を続けられた」という内容を表現したものです。
笠は軒が厚く、ゆるやかな反りを見せており、相輪は凹凸がしっかりと刻み出されています。

歴史

安養寺宝塔は鎌倉時代後期に建立されたと言われています。
安養寺は、元は延暦年間(782~806)に最澄(さいちょう/日本の天台宗の開祖)が開創したと伝えられています。ここに法然が吉水草庵を建てて浄土宗の教えを広め、親鸞も入信。その後一度廃れたところを、建久年間(1190~1199)に天台宗の高僧である慈鎮和尚(じちんかしょう/百人一首にも登場する前大僧正慈円)が復興・回復させ「慈円山 安養寺」とします。更に至徳年間(1384~1387)に時宗の僧であった国阿(こくあ)により再興され、今の安養寺が残っています。このような歴史があり、宝塔は「慈鎮和尚多宝塔」とも呼ばれています。

1960年2月9日に国の重要文化財に指定されました。

周辺の観光情報

安養寺の正面に広がるのが円山公園です。八坂神社、知恩院、高台寺などにも隣接する円山公園は、公園全体に「文化財」としての価値があるとして、国の名勝に指定されています。円山公園は桜の名所でもあり、公園の中央にある「祇園枝垂桜」(正式名称「一重白彼岸枝垂桜(ひとえしろひがんしだれざくら)」の樹齢約80年にもなる大木に咲く桜は見応えがあります。そのほか、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、ヤエシダレザクラなど約630本の桜があり、夜のライトアップも含め、毎年多くの花見客で賑わいます。
園内は回遊式日本庭園となっており、歩くだけでも京都らしさを感じることができます。また、隣接する社寺では静かに息づく歴史を感じられるとともに、1年を通して庭園の美しさや季節の行事などを楽しむことができます。

交通アクセス

<バス>
市バス・京阪バス:「祇園」下車、徒歩約15分
東(八坂神社、円山公園方面)へ

<鉄道>
京阪電車「祇園四条」駅より徒歩約20分
阪急電鉄「京都河原町」駅より徒歩約25分
京都市営地下鉄東西線「東山」駅から徒歩約17分

<自動車>
名神高速道路「京都東IC」より約30分

まとめ

今回は、京都府にある石清水八幡宮五輪塔と安養寺宝塔をご紹介いたしました。

石塔とその土地に刻まれた歴史に触れると、何百年も遡ったその時代に確かに生きていた人々の息遣いを感じることができます。

また、世の中の安寧を祈り、人に感謝し、故人を偲ぶ思いの強さが、確かな造形を残している石工の技術とも深く関わっているのだろうと思わずにはいられません。

人と神仏との繋がりを重んじる、先人の思いが受け継がれてきた石塔。時代の流れが残るその佇まいを、ぜひ現地に足を運んで体感してみてはいかがでしょうか。